783 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/06/28(火) 22:42:25.66 ID:HtJd3PKa
鳥羽候[稲垣氏]の邸は麹町八丁目にあった。
伯母光照夫人がここにいましたので、予は中年の頃まではしばしばこの邸を訪れていた。
邸の裏道を隔てて、向こうは彦根侯[井伊氏]の中荘で、高崖の上に大きな屋が見えた。
千畳鋪と人はいう。
この屋は以前加藤清正の邸であった時のもので、
屋瓦の面にはその家紋、円中に桔梗花が出てくるという。
この千畳鋪の天井に乗物[駕籠だという]を釣下げてあり。人が開き見ることを禁じているという。
清正の妻の屍を入れてある、
もしくは、中に妖怪がいて時として内より戸を開いているのを見ると、老婆の形である者が見える、
といった話を幾人かから聞いた。
しかしその後かの荘も火災の為類焼して、千畳鋪も存在しなくなった。
きっと天井の乗物も焚亡したのだろう。
妖も鬼も共に三界火宅であった。
(甲子夜話)
鳥羽候[稲垣氏]の邸は麹町八丁目にあった。
伯母光照夫人がここにいましたので、予は中年の頃まではしばしばこの邸を訪れていた。
邸の裏道を隔てて、向こうは彦根侯[井伊氏]の中荘で、高崖の上に大きな屋が見えた。
千畳鋪と人はいう。
この屋は以前加藤清正の邸であった時のもので、
屋瓦の面にはその家紋、円中に桔梗花が出てくるという。
この千畳鋪の天井に乗物[駕籠だという]を釣下げてあり。人が開き見ることを禁じているという。
清正の妻の屍を入れてある、
もしくは、中に妖怪がいて時として内より戸を開いているのを見ると、老婆の形である者が見える、
といった話を幾人かから聞いた。
しかしその後かの荘も火災の為類焼して、千畳鋪も存在しなくなった。
きっと天井の乗物も焚亡したのだろう。
妖も鬼も共に三界火宅であった。
(甲子夜話)
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コメント
人間七七四年 | URL | -
今の北区の麹町か。半蔵門から西へ行った方なんだね。
( 2016年06月30日 15:13 )
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