侍妾等宗旨の話次、太閤の宗旨の尋に当惑せし事

2016年12月03日 09:01

370 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/12/03(土) 01:07:04.40 ID:YNCSQY1u
侍妾等宗旨の話次、太閤の宗旨の尋に当惑せし事

 一笑のことを記す。
ある夜、予の書机の傍らで待妾等が居て話しているのを聞いた。
「私は何宗です。」、「私は何宗ですよ」...等と言っていた。
やがて予に向かって、

「公儀の御宗旨は何ですか?」

と質問してきた。

「御先祖の頃から浄土宗である。
上野の寛永寺は天台宗だが別に理由がある。」

と答えた。そして、こうも質問してきた。

「ならば太閤様の御宗旨は何ですか?」

予は返答に当惑した。
思ってみると、足利は尊氏以来禅宗だというのは世の知るところで、
信長も総見寺のことをみれば同宗である。しかし太閤に至ってはまだ知らない。
よって「全く知らない」とその場では笑って過ぎた。

 それから明日天祥寺に詣でたときに、和尚二人に出逢ったのでこのことに及ぶと、
両和尚の答えもあれやこれやで的を射たものでなかった。
また林氏(述斎)へも便りにこのことを問うと

「御宗旨は大仏殿などのものと同じかもしれない。
しかし私は元来儒家で、釈子のことには関わっていない。
なので審査しないので答辞に及ばない。」

そこで隣宅の荻野長に問うた。

「高野山行人方の木食高山上人のことについて、黒田如水の覚書に記した文に、
『御所様はまだ御小身の御時から、高野山行人の衆を御信仰と云々』というものがあります。
また高山上人の取り成しにより豊太閤の助勢を得て、高野山は再興しました。
ゆえに今も高野山奥院大師の廟は行人方で管理しています。
行人方は秀吉の取り立てで高山寺を頭頂としましたので、
学侶は青厳寺を本寺としたようです。
阿弥陀が峰も高山寺の持ちであります。
今は妙法院でお持ちになられていて、慶長十二・十三年の頃から天台座主のお持ちとされたそうです。」

ならば秀吉は真言宗である。

『秀吉譜』で云う
「十八日、前ノ関白秀吉伏見の城に薨ズ。洛東ノ南辺阿弥陀ガ峰ニ葬る。
木食興山上人経始之事ヲ監ス。墓を其巓ニ築キ、祠ヲ其麓ニ構フ。
廟社既築、後妙法院ニ於テ、秀吉之月忌毎ニ必ズ諸宗ノ僧徒ヲ聚メ、斎ヲ設ク。
聖護院門跡道澄ヲ以ッテ大仏殿ノ住持ト為ス。
〔院号ヲ改テ照高ト曰フ〕」

(甲子夜話続編)

確か、方広寺の大仏殿で秀吉の先祖の供養ために
不受不施派以外に宗派を呼んだたしいので、
秀吉は不受不施派以外全てであるでも正解かもしれません。



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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    現代人に近い感覚で、あまりこだわりが無かったと考えていいのかな?

  2. 人間七七四年 | URL | -

    現代人でも法事の関係上、自分の家の宗派が何であるかは割と関心があるのでは?

  3. 人間七七四年 | URL | -

    林先生のにべもない態度ワロタ
    「専門外のことには答えられません」というのは学者として誠実とも言えるが

  4. 人間七七四年 | URL | -

    えっ!?「ビリケン教」じゃないの

  5. 人間七七四年 | URL | -

    スレ主のコメントもかなり的外れだなぁ。

    当時は方広寺という施設ではなく京都大仏だし、諸宗派へ出仕させたのは国家事業の一つであって
    秀吉自身の宗旨とは無関係なんだけどね。

    家康も幾多の宗派の宗論を聞いてはいるけど、家や個人の信仰とは別の話だしさ。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    ついつい現代の感覚で考えてしまうけど、神仏分離とか寺請制度より前の感覚って、どうだったんだろうか

  7. 人間七七四年 | URL | -

    平安時代から鎌倉時代までは、真言宗と天台宗の勢力が強かったけど、鎌倉時代から色々な宗派が誕生して、入り乱れてたからね。戦国時代は、「浄土真宗」が強いイメージがあるけど、実際は、どうだったのかな

  8. 人間七七四年 | URL | -

    ※6
    寺請制度以前は一般人は宗派という考え自体があまり無かったんじゃないかな。
    あくまで仏教というくくりの中で、できるだけ極楽に行けそうなことを言ってる坊主に従ってただけかと。
    追善供養や寺参り・墓参りなんてのは檀家じゃなきゃ関係ないわけだし。

  9. 人間七七四年 | URL | -

    フロイスは秀吉は禅宗って言ってるけど

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