577 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/02/03(金) 03:42:19.15 ID:QlvkgnZx
利家様が鶴の汁を召し上がりなさったところ、すぐに御蟲にあたり(腹痛)申した。
それを契機に御物語りになられたことであるが、
信長公が安土山の御城に御成りの折、いずれの人にも御振舞を下され、鶴や色々
の珍物のうえに、信長公は御引出物を、御自身で御引きになられた。
柴田(勝家)の前で仰せになったことには、「貴殿を初めとして度々手柄を致された
ゆえ、このように天下を静めて万事成就し、満足し申しておる」とのことだった。
またその他それぞれに御言葉をかけた。さて7,8人が末座にいて利家様もおられた
のだが、信長公は御引出物をなされ申す時、
利家様は若き時は信長公の御側に御寝伏しなされ、御秘蔵であったと御戯言を
仰せになり、利家様はその頃までは大髭でおられたのだが、その髭を御手で掴み、
(利家様若き時は信長公御傍に御ねふし被成候。御秘蔵にて候と御ざれ言御意候
而、利家様其比までは大ひげにて御座候鬚を御取候而、)
「其の方が稲生合戦の時に16,7歳の頃、武蔵守(織田信勝)家中の宮井勘兵衛
という者の首を取った時、私は21歳になって初めての合戦だった。
私がその首を、『なるほど小倅ではあるが、この手柄を見よ!』と言って、馬上で
采振り致すと味方は気を得て、ただ7,8百ばかりで3,4千人の人数を押し崩した。
その如く各々が手柄を致したゆえ、このように私は天下を静めて万事成就致した」
との旨を仰せになった。「なんとまあ、かたじけなき御言葉!」と存ずるところに、
御近習衆の給仕を仕る衆までも「はてさて、冥加なる又左殿かな!」と、あやかり物
とばひやひ候(肖り物を奪ひ合ひ候?)ように給仕の者が誉めるので、
利家様は得意がりなさり、「かたじけなき御言葉!」とひたすら物を食べ過ぎ、鶴汁
を止む無く飲み過ぎて、その後鶴の汁にあたり申したと仰せになり、御笑いになった。
前述の通りを、太閤様も度々仰せられたとのことを、金森法印(長近)や羽柴下総殿
(滝川雄利)なども、利家様のもとへ御出でになられた折に御申しになられ、それを
承り書き付け申すものである。前述の御合戦の時、柴田殿は武蔵殿の衆でおられた。
色々の物語りがある。
――『亜相公御夜話』
578 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/02/03(金) 08:07:34.18 ID:iWka4lYR
信長はその話をする度に、「勝家の野郎、そのうち用済みにしたるー」と腹の中で思ってそう
それはさておき、織田家や羽柴家の雰囲気が伝わってくるちょっといい話だね
利家様が鶴の汁を召し上がりなさったところ、すぐに御蟲にあたり(腹痛)申した。
それを契機に御物語りになられたことであるが、
信長公が安土山の御城に御成りの折、いずれの人にも御振舞を下され、鶴や色々
の珍物のうえに、信長公は御引出物を、御自身で御引きになられた。
柴田(勝家)の前で仰せになったことには、「貴殿を初めとして度々手柄を致された
ゆえ、このように天下を静めて万事成就し、満足し申しておる」とのことだった。
またその他それぞれに御言葉をかけた。さて7,8人が末座にいて利家様もおられた
のだが、信長公は御引出物をなされ申す時、
利家様は若き時は信長公の御側に御寝伏しなされ、御秘蔵であったと御戯言を
仰せになり、利家様はその頃までは大髭でおられたのだが、その髭を御手で掴み、
(利家様若き時は信長公御傍に御ねふし被成候。御秘蔵にて候と御ざれ言御意候
而、利家様其比までは大ひげにて御座候鬚を御取候而、)
「其の方が稲生合戦の時に16,7歳の頃、武蔵守(織田信勝)家中の宮井勘兵衛
という者の首を取った時、私は21歳になって初めての合戦だった。
私がその首を、『なるほど小倅ではあるが、この手柄を見よ!』と言って、馬上で
采振り致すと味方は気を得て、ただ7,8百ばかりで3,4千人の人数を押し崩した。
その如く各々が手柄を致したゆえ、このように私は天下を静めて万事成就致した」
との旨を仰せになった。「なんとまあ、かたじけなき御言葉!」と存ずるところに、
御近習衆の給仕を仕る衆までも「はてさて、冥加なる又左殿かな!」と、あやかり物
とばひやひ候(肖り物を奪ひ合ひ候?)ように給仕の者が誉めるので、
利家様は得意がりなさり、「かたじけなき御言葉!」とひたすら物を食べ過ぎ、鶴汁
を止む無く飲み過ぎて、その後鶴の汁にあたり申したと仰せになり、御笑いになった。
前述の通りを、太閤様も度々仰せられたとのことを、金森法印(長近)や羽柴下総殿
(滝川雄利)なども、利家様のもとへ御出でになられた折に御申しになられ、それを
承り書き付け申すものである。前述の御合戦の時、柴田殿は武蔵殿の衆でおられた。
色々の物語りがある。
――『亜相公御夜話』
578 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/02/03(金) 08:07:34.18 ID:iWka4lYR
信長はその話をする度に、「勝家の野郎、そのうち用済みにしたるー」と腹の中で思ってそう
それはさておき、織田家や羽柴家の雰囲気が伝わってくるちょっといい話だね
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コメント
人間七七四年 | URL | -
「ああっ殿、おひげが痛うございます」
な話じゃなかった
( 2017年02月03日 15:03 )
人間七七四年 | URL | -
「(殿の)鶴があたり申した」
道理でお腹痛くなるわけだ
( 2017年02月03日 15:58 )
人間七七四年 | URL | -
>あやかり物とばひやひ候
補いつつ仮名に漢字をあてると、
「あやかり物」とば、言い遣い(言い合い)候
くらいになるのかな?
( 2017年02月03日 16:42 )
人間七七四年 | URL | -
逸話だと良く見かけますが、現代でも鶴料理ってあるのですかね?
調べて見ると「タンチョウは肉が固くておいしくない、というのが一般的な評価だったようです。
おいしいのはマナヅルかナベヅル。有名なシーボルトはツル汁を食べ、「これは魚の脂の臭いがして
ヨーロッパ人の口に合わない」と書いています。」
って記述が見付かったけど、余り食べたい鳥ってイメージがない。
( 2017年02月04日 06:31 )
人間七七四年 | URL | -
鶴料理は縁起物として食べる物だったはず。
今は食べられないはず。
( 2017年02月04日 07:49 )
人間七七四年 | URL | -
※4
鶴はほとんどの種類が天然記念物に指定されてるみたいだから、基本的には食べられないっぽいな。でも軽くググったら「食用(養殖)鶴」云々って記事も出てきたから、場所によってはワンチャンあるかも…?
あと鶴は好き嫌いがはっきり別れる味だとは俺も聞いたことがある。じい様がじい様(つまり俺の曾々祖父)から聞いた話だから、あやふやだけど…
( 2017年02月04日 08:05 )
人間七七四年 | URL | -
この手の話を聞くたびに
昔話に出てくる動物は
本当掃いて捨てるほど居たんだなって思う
カワウソもオオカミもいまは居ないのになあ
( 2017年02月04日 13:29 )
人間七七四年 | URL | -
※5殿6殿
レス感謝。確かに「基本的には食べられない」みたいですね?
指摘を受けて検索した所、北海道で食用鶴の牧場がある模様。
鶴弁当と云う、すき焼きみたいな物を売ってるみたいです。
( 2017年02月04日 13:42 )
人間七七四年 | URL | -
信長と利家の衆道関係の元ネタだね
( 2017年02月04日 13:50 )
人間七七四年 | URL | -
※7
コウノトリと朱鷺も、日本にいた野生種は絶滅してしまったしなぁ…
( 2017年02月04日 14:56 )
人間七七四年 | URL | -
(●Д゜)「俺は、これを食べてあたりました。(野ねずみを見せる)」
鬼武蔵「俺は、ここに弾丸があたりました(おでこを見せる)」
権現さま「わしは、これにあたりました。(鯛の天婦羅を見せる)」
利家「」
( 2017年02月04日 16:24 )
人間七七四年 | URL | -
義円「拙僧は、これにあたり申した(籤を見せる)」
持氏「天罰にもあたったね(ニッコリ)」
( 2017年02月04日 16:38 )
人間七七四年 | URL | -
悪久「それがしは、これにあたり申した(籤を見せる)」
籤に外れた久信の運命は・・・
( 2017年02月04日 17:59 )
人間七七四年 | URL | -
宝くじ当選者「1億あたり、知らない親戚が増えました。」
( 2017年02月04日 23:29 )
人間七七四年 | URL | -
※9
えっこれが衆道の話の元ネタなの?
これ小姓の時から常に信長の傍にいて武功を挙げたって話じゃない?
前後の文脈見る限り急にそんな話ははいってこないやろ
( 2017年03月01日 06:36 )
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