奈良かしや この天下殿二重取り

2017年02月24日 17:27

611 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/02/24(金) 00:20:47.23 ID:rjLhinUl
秀吉公の御時、「ならかし」と言う事があった。金を貸し出した金融業者は、元金を失った上に、
なお放埒な営業の罪が軽くないとして、罰金として再び黄金を提出させられた。
そこでこのような落首が出た

 奈良かしや この天下殿二重取り とにもかくにもねだれ人かな
 (奈良貸しで秀吉公は黄金を二重取りされた。なんという狡猾な人であろうか)

  ※ねだれ人:色々な計略、策を用いて人に損害を与えようと他人を欺く人、狡猾な人【日葡辞書】
(醒睡笑)

この「ならかし」、はじまりはこういうものであった

『奈良中へは大納言殿(豊臣秀長)より金子一枚を代米四石ずつにして、一万石ばかり町々へ借用。
押してかくのごとし、金は来年の春に取るべきよしなり』
(奈良において豊臣秀長は金子一枚を代米四石とした上で、米一万石を奈良の町々に貸し付けた。
その利息を来年春に「金」で支払うようにとした。」
(多聞院日記天正十七年十月五日条)

つまり秀長が、奈良の金融業者を通じて人々に米を貸し付け、その利息を金で受け取っていた、
という事である。
しかしその結果、天正二〇年九月二日付「奈良惣中」より秀吉側近、木下半助(吉隆)、
山中橘内(長俊)にあてた直訴状の第四条によると

『一、大光院様(豊臣秀長)は御金五百枚あまりに利息をつけて奈良に御貸しなされました。
しかし、毎月利子を銀子にて、奈良奉行の井上源五殿は過分に徴収されました。
しかも井上源五殿は私的な金二百枚あまりも、これも大光院様の御金であるとして、奈良中に
貸し付けられ、ここからも過分の利息を取られました。』
(庁中漫録)

奈良においてはこの借金のため、殺人事件や一家心中が起こるなど、社会問題化していたという。
そしてこの直訴の結果は

『直訴のさまは、ことごとく地下人の勝ち』
(多聞院日記天正二〇年九月八日条)

となり、これにかかわる奈良の金商人(金融業者)が尽く牢に入れられた。
しかし訴訟した者達も一時的に牢に入れられ、また奈良奉行の井上源五には何の処分もなかった。

ところでこの「ならかし」で、何のために資金が集められたのか。
天正二〇年十月十日、豊臣秀吉より、豊臣秀次宛の朱印状にこうある

『一,今度奈良借について出だしそうろう金銀、これらをも右の船(安宅船)の用に入ること
そうらわば、あい渡すべきこと』
(今度の奈良借しで得られた金銀について、安宅船の建造に必要であればそちらに流用するように)

「ならかし」で集めた金銀を、秀吉の「唐入り」のための、軍船建造費に使うように、との内容である。
ここで「ならかし」が、秀吉の政権による施策であったことが判明するのである。
金融業者たちを牢に入れたのは、責任を彼らに転嫁するためであったのだろう。

以上、醒睡笑の「ならかし」の逸話と、それについて、河内将芳 著「落日の豊臣政権」のより、解説を抜粋。


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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    世の中は いつも月夜と米の飯 それにつけても金の欲しさよ

  2. 人間七七四年 | URL | -

    秀長はホント金のことになると下衆になるよな
    政治活動のためにも必要だったことも分かるが、金回りに関しては悪いことしか書いていない
    やたら高評価が目立つが、良いバランサーでは有るが金権政治をやっていただけとも言える

  3. 人間七七四年 | URL | -

    ※2
    ソースが多聞院日記だもの。
    利権などをガッツリ奪われたから織田や豊臣には激辛だし。

  4. 人間七七四年 | URL | -

    ※5
    俺はちびまる子ちゃんの事かと思った
    オイルショックのあった頃にはなかったものや、あったけど一般には普及してなかったものとか出てくるから

    …まぁ、サザエさん時空だから突っ込むのも野暮な気もするが

  5. 人間七七四年 | URL | -

    ↑ごめん書くとこ間違えた
    反省して庭師の仕事してくる

  6. 人間七七四年 | URL | -

    確か九州出兵時に軍需物資を高値で大名たちに売りつけ秀吉からも怒られた前歴も有りますね
    本質はお金大好きっ子なんだろうね
    岡左内見たいな割り切ったふてぶてしさと妙な爽やかさがあったらねぇ

  7. 人間七七四年 | URL | -

    でもまぁ、「矢銭出せ」は普通にやってるし。
    難癖付けて商人お取りつぶしとか、江戸時代でもあるしなぁ。
    武士と商人の関わりでお薦め本とかありませんかね。

  8. 人間七七四年 | URL | -

    町金から金を没収して軍資金にしたんだからこれはむしろいい話では?

  9. 人間七七四年 | URL | -

    なら貸しというのは今でいえば、銀行が企業に金を貸すから事業を拡大しろというような話。
    バブル期ではよくあった。
    豊臣政権というのはヘリコプターマネーでばらまき、天下普請という公共事業で金を使い、
    なら貸しで金貸しなどに無理やり金を貸し出させて金を回して好景気を作っていた政権。

    金が欲しいだけなら信長よくやり、江戸時代でもよくあった御用金でいい。
    江戸時代の僧侶に経済的な知識がないから、こういう頓珍漢な事書くんだろうな。

  10. 人間七七四年 | URL | -

    経済的な知識があったら、「こういう落首が出た」てどう書く訳?

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