之を以て、予が為した所を批判せよ。

2017年03月27日 12:11

752 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/03/27(月) 10:39:21.78 ID:xkF4eQ/h
慶長2年(1597年)、豊臣秀吉よりフィリピン諸島長官に贈りし書簡

『卿が遠方より派遣した大使は、多くの艱難を経て予を訪問した。卿はこれに託し。卿の肖像を
予に贈り、卿に代わって予に敬意を表したため、陸雲海および波が我らの間にあり、我らは実際に
数千レグワを隔てているにも拘らず、予にとっては眼前にあり、予は親しく卿の言葉を聞いているようである。

天と地と分かれて世界が始まって以来、この日本国は神、また君としてシントー(Xinto 神道)を崇敬
している。これはシン(Xin 神)の徳により、太陽及び月はその運行をなし、また1年四季の差別も、この
神より生ずる。これと同じく風および雲が発生し散布し、雨および霧が生じ、地球が回転し、鳥が飛行し、
動物が運動し、草木その他一切のものが成長して賛美すべきものと成るのも、またこの神より出る。
人間も又、これによって君臣の別を生じ、老人と少年の別および夫婦の結合も同一の原因により生ずる。

一切のものはこれより始まり、結局これに終わり、また分解する。

かくの如くであるというのに、数年前パードレ数人が当国に来て、外国の悪魔の教えを説き、当国の
賤しき人民、男子並びに女子の宗旨を乱し、その国の風俗を輸入して人民の心を惑わし、当諸国の
政治を破壊した。これによって予は厳しくこの教を禁じ、完全に防止することを命じた。

これだけではない。その国より来た宣教師たちはその地に帰らず、町および村を巡って密かに賤しき人民、
従僕、および奴隷に外国の教を説いた。予はこれを聞いて忍ぶこと能わず、すぐに彼らを殺すことを命じた。
何故ならその国においては、布教は外国を征服する策略、または欺瞞であることを聞いたからだ。

もし、日本の国より日本人の宗教者もしくは俗人が、卿の国に渡って神道の教を説き、人民を惑わし
道を惑わせたならば、その国の領主である卿はこれを喜ぶだろうか?絶対にそうではない。
之を以て、予が為した所を批判せよ。

予は思うに、卿がこの方法を用いてその国(ルソン)の古来の君主を追い出し、ついに自ら新しき君主と
なったように、卿はまた貴国の教を以て我が教を破壊し、日本の国を占領せんと企画したのだろう。

これ故に予は、前に述べた所に対して憤り、怒りを抑えていた時、海上において破壊された船が
土佐国に現れ、波上に漂った。
予はその船に積まれた財貨を集め、これを散ぜずまた分配すること無く、これを卿に還付せんと
決心していたが、卿の部下が我が法律に背いた故に、この財貨を悉く没収した。
卿は今、予がこれを還付する義務があると思っているだろう。
ならば、古来の交流を継続するため、卿は甚だ遠くより、防風および激浪の艱難を経て予が許に大使を
派遣し、日本と結合し、交誼を政道に導くためにも、今後人を遣わして外国の虚偽の教を説かしむことなかれ。

このようにすれば永久にこの日本国と商品を貿易することを得、その地より来る商船が、予が印を押した
免許状を持参すれば、海においても陸においても少しも害を加えられることはない。
当国よりその地に往来する日本人等が、もし貴国の人民を擾乱せしめ、その地の法律を守らない時は、
これを捕えて獄に下し、事件を審理して刑に処すことを得るだろう。

昨年船数隻を出してかの船の乗組員をその地に帰らせた。船中の水夫その他の人を殺さなかったのは、
我等の間の古来の交誼に背かないためである。

卿が予に贈ったものは目録に掲げてあった通り。悉く受領した。特に黒象は予にとって珍奇であった。
昨年の秋の末、支那の大使数人が当国に来たが、彼らは白象一頭を予に贈ることを約束した。
であるが、予がこの象を予に贈ったのを大いに喜ぶのは、遠方より来た新奇の品を珍重するのが、
昔から今に至るまでの習慣だからである。

予が卿に贈る品は別紙に記した。その品はわずかでは有るが、好意の証としてこれを卿に贈る。
昨冬、当地に来た水夫等の家族に悲嘆に同情し、また卿は彼らの領主であるので、彼らを
憐れんでいると考えたことにより、悉く貴国に帰らせた。

之を以て終わる。』
(異国叢書)

秀吉が、キリシタン追放令やサン=フェリペ号事件について述べた書簡である。


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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    とても真っ当な文面

  2. 人間七七四年 | URL | -

    地球が回転してることを知ってたんだな

  3. 人間七七四年 | URL | -

    サン・フェリペ号事件で布教でもって現地人を教化し先兵となすっていう話が出たっていう逸話、大正時代より前の文献で確認されてないらしいが

  4. 人間七七四年 | URL | -

    この頃は神の読み方は「カミ」よりも「シン」の方が一般的なのか。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    最近はヨーロッパ側も日本側も布教を利用しての侵略云々に関しては
    そこまで深く考えてなかった的な意見も出てきてるけど実際どうだったんだろうな

  6. 人間七七四年 | URL | -

    ※5
    征服後の統治に宗教を用いる事はあっても、征服自体は軍事的になされてるから無いだろうな。

  7. 人間七七四年 | URL | -

    そもそも布教してから侵略なんて長期計画にならざるを得ない上に短期的な目処も立たないから現実性に乏しい。

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