892 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/05/11(木) 04:12:26.55 ID:mNj39lOa
蜂須賀阿波守至鎮は古戦の事跡を尋ねて、古物の名のある物を求めなさった。
そんな折のこと、屋島の戦いで義経の身代わりに立った佐藤継信の葬式の時、
義経は秘蔵なさった“大夫黒”という馬を引き連れなさったのだが、
その鞍が志渡の寺(志度寺)にあった。かの寺が大破していたのを至鎮は補修
してその鞍を乞い求めなさった。
それから後年に至って、その鞍を知る者もいないために他の鞍と一所に交えて
しまい置かれた。
ところが、無頼の悪馬がいて誰も乗る者がいないという時、上田半平という者は
馬術の達人であったのだが、この人が言ったことには、
「かようの馬には、古作の良き鞍を置いて乗れば良いであろう」とのことで、鞍を
たくさん出して見ると、その中に極めて古き鞍があった。
上田はよく見て、「これこそ!」と言い、かの悪馬に置いた。この時、上田を嫉む
者がいて、「馬の善し悪しがどうして鞍に寄るだろうか」と、言ったのだが、
三浦次郎右衛門という鉄砲頭の老人も見物しており、かの鞍を見て、「判官殿の
鞍を久々に見たぞ」と、言った。
人々はその故を聞き一同に驚いたが、かの悪馬もかの鞍で快く乗る事ができた
ので、上田の馬術はますます名高くなったということである。
――『明良洪範』
蜂須賀阿波守至鎮は古戦の事跡を尋ねて、古物の名のある物を求めなさった。
そんな折のこと、屋島の戦いで義経の身代わりに立った佐藤継信の葬式の時、
義経は秘蔵なさった“大夫黒”という馬を引き連れなさったのだが、
その鞍が志渡の寺(志度寺)にあった。かの寺が大破していたのを至鎮は補修
してその鞍を乞い求めなさった。
それから後年に至って、その鞍を知る者もいないために他の鞍と一所に交えて
しまい置かれた。
ところが、無頼の悪馬がいて誰も乗る者がいないという時、上田半平という者は
馬術の達人であったのだが、この人が言ったことには、
「かようの馬には、古作の良き鞍を置いて乗れば良いであろう」とのことで、鞍を
たくさん出して見ると、その中に極めて古き鞍があった。
上田はよく見て、「これこそ!」と言い、かの悪馬に置いた。この時、上田を嫉む
者がいて、「馬の善し悪しがどうして鞍に寄るだろうか」と、言ったのだが、
三浦次郎右衛門という鉄砲頭の老人も見物しており、かの鞍を見て、「判官殿の
鞍を久々に見たぞ」と、言った。
人々はその故を聞き一同に驚いたが、かの悪馬もかの鞍で快く乗る事ができた
ので、上田の馬術はますます名高くなったということである。
――『明良洪範』
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コメント
人間七七四年 | URL | -
>>鞍をたくさん出して見ると、その中に極めて古き鞍があった。
乗るかどうかはともかくとして、探すだけなら何故こんな簡単な解決方法を誰も思いつかなかったの?
( 2017年05月11日 21:04 )
人間七七四年 | URL | -
判官殿...{イッチバーン!}
( 2017年05月12日 08:47 )
人間七七四年 | URL | -
鎌倉や室町の中期くらいまでが騎馬の全盛期だったからなのかな?
( 2017年05月12日 12:12 )
人間七七四年 | URL | -
と言うより『付喪神(九十九神・つくもかみ)』信仰みたいなモノではないかと。
百年経った古い道具には霊力が宿り、大切にしないと妖怪化して悪さをする。
だが、妖怪化した古道具も結局は仏教に帰依して仏となり得る。という考え方。
( 2017年05月12日 17:48 )
人間七七四年 | URL | -
※2
ベビーフェイスの後頭部に炸裂するクロウ・ホーガンの一の谷ボンバー
卑劣な戦法に会場はブーイングの嵐
( 2017年05月12日 18:19 )
人間七七四年 | URL | -
※5
昭和っぽいアングルで良いなぁ
( 2017年05月13日 06:18 )
人間七七四年 | URL | -
コレが後の世に言う蔵出しにつなが…
※1
すまない…何を言いたいのかがわからない
( 2017年05月15日 14:11 )
人間七七四年 | URL | -
げんじのよろい
げんじのこて
げんじのかぶと
げんじのくら
さもありなん
( 2017年05月17日 19:28 )
人間七七四年 | URL | -
※8
かようの馬鳥には良いであろう
( 2019年09月27日 17:04 )
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