「南蛮寺興廃記」より、南蛮寺ができるまで

2017年06月07日 18:51

836 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/06/07(水) 11:11:11.05 ID:xmUg3Ve1
「南蛮寺興廃記」より、南蛮寺ができるまで

頃は人王百七代正親町天皇の御宇。
織田信長は尾張より発起し斎藤を討って美濃を奪い佐々木を追って近江を取り
将軍義昭を保護して上洛、徳川と合縦し北越の朝倉、江北の浅井を滅ぼし
武威中国を呑まんとし高名西国に轟く。
この時九州肥前の領主竜造寺高重の領分長崎に南蛮船一艘着岸せり。
この船に異相の者一人来る。その人身長九尺余、面赤く眼丸く鼻高く肩広し。
歯は馬のごとく雪よりも白し。爪は熊の手足に似たり髪は鼠色で年齢五十ばかり。
名はウルカン破天連といい、南蛮切支丹国の者で天帝の宗門弘法のために渡来せり。
日々に長崎の霊社仏閣に徘徊するに其の異相を見る人群衆をなせり。
或いはその異相を絵に写し書に記して中国に伝え京師に入る。
信長江州安土に在りて是を伝え聞きし召して見んと欲すると言えども
領主龍造寺の押留せしものなれば思慮して謀を廻らし将軍家の従臣フカヤ源内に
義昭公が異国人を召すとのご教書偽造し、源内を西国に下し龍造寺に渡す。
この異国人京着は九月三日なりし。
その前八月二十四日摂州住吉の社鳴動して松樹六十六転倒すると奏聞あり。
朝廷僉議あって松樹の木数六十六本と限ること日本の国数にて凶事とすべしとて
寺社に仰せて祈祷ありける。これ異人渡来して邪法を弘め人民の害を成すべき前兆なるべし。

異国人安土の城に到着しければ妙法寺に入りて三日休息し九月三日城中へ召し信長謁見せられける
ウルカン破天連身にハァイトというものを着す。毛氈の様なる類なり。
裾短く袖長し左前に合わせその体相甚だ卑しく声は鳩の鳴くがごとく言舌わからず
蝙蝠の羽を広げたる如く最も見苦し。各香を懐中して御殿に薫り渡る。
ウルカン、信長に対して礼する法、両臑指先を揃え向こうへ差し出し両手を組みて
胸に当て頭を仰ぐ誠に不思議の礼式なり。
献する所の物七種、七十五里を一目に見る遠眼鏡、芥子を卵の如くに見る近眼鏡
猛虎の皮五十枚、毛氈五丁、鉄炮、伽羅百斤、八畳釣りの蚊帳、一寸八分の香箱に入る
コンタツという数珠、紫金にてこれを造る四十二粒あり
(切支丹国四十二国あり、これに擬す)
信長、ヴルカン何のために日本に来ると尋問せらる。ウルカン答えて曰く
この度渡来すること唯仏法を弘めたき願望のためのほか更になしと。
信長、謁見畢(おわ)りて妙法寺に入れ置き、ウルカンの弘法のこと安土において
評議あり、信長菅谷九衛門に命じて京都四条坊門に四町四方の地を寄付し石垣を築き
一寺を建てて永禄寺と号す。
これにより叡山の衆徒憤り、延暦寺の外、年号を以て寺号とすること不可なりとて
座主要圓僧正へ訴えければ僧正の曰く「其の儀、故ありと言えども今朝廷衰え王位も軽く
仏法の威力もまた薄し。信長権勢に募りて我が意を働くと言えども之に敵して却って
叡山の街ある時は王威を以て制しがたし。穏便の沙汰あるべし」と制せられけれども
衆徒朝廷へ強訴の奏上を認め、朝廷僉議あって強訴沙汰延引せば、また神輿など
捧げきたらんは京都の騒動なるべし、早く信長へ命ぜらるべしとて、
花山院中納言廣政を以て山門奏状の趣信長へ命ぜらる。
信長不快なりと雖も勅命に従い永禄寺を改めて南蛮寺と号す。

延暦寺衆徒の教会建設反対理由が「年号を寺の名前に使うな!」だったという話



837 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/06/07(水) 14:36:04.02 ID:tlQMINJk
延暦って暦じゃ…

838 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/06/07(水) 17:20:58.58 ID:xmUg3Ve1
だから
「延暦寺」のほかの寺が、年号を寺号にするのは許せん!てこと

839 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/06/07(水) 17:37:51.95 ID:FhLlsoTq
ギリギリまで堪忍する信長の姿がこんなところにも
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    はるばる海を越えてやってきた神の信徒がノッブの好きそうな貢ぎ物と礼を尽くしてただ神の教えを広めたいだけとお願いしているのに、
    国内の王城鎮護がこれじゃ焼きたくもなるというもの。

  2. 人間七七四年 | URL | -

    なんだかんだで信長の方が鳴くまで待ってたり、鳴かせようと頑張ってる印象

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