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信長と山中の乞食・いい話

2009年01月28日 00:02

868 名前:人間七七四年[] 投稿日:2009/01/27(火) 17:47:21 ID:bOGd/W0d
信長は京都への往復の際、美濃と近江の境の山中というところを通っていた。
そこを通る際に不具の者が雨露に打たれ乞食をしているのを見た。
信長はそこを通るたびいつも見るこの者を不憫に思い、
ある時、この乞食を知る者に尋ねた。
「乞食というものは元来、住所不定の者であるのに、
なぜこの者はいつも同じ場所にいる?
なにか理由でもあるのか?」
尋ねられた者が言う。
「この者は昔、ここ山中の宿で常盤御前を殺したゆえ、
その因果によって先祖代々不具に生まれ乞食をするのである。
世間では山中の猿と呼ばれている。」
と答えた。
ときは過ぎ天正三年六月二十六日、信長が上洛したとき、
不意に山中の猿のことを思い出し、木綿二十反を持ち、
山中の宿に、その村の住人すべてを呼び出した。
なにを仰せ付けられるかと住人一同心配しながら集まったところ、
信長は木綿二十反を山中の猿に与え住人たちに言った。
「その半分を売り、家を建て、餓死しないように情をかけてやれ。
なお隣家の者たちは、麦、米が出来たらそれぞれ一度ずつ、
毎年少しずつとらせたら、この信長に対しても祝着に思うであろう。」
と申しつけたので山中の猿だけでなく、山中の町のすべての者に、
袖をしぼらぬ者はなく、供の者たちもその慈悲深さに感じたという。




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