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戸次川合戦長宗我部信親の最期

2017年11月06日 17:27

242 名前:人間七七四年[] 投稿日:2017/11/06(月) 13:27:04.80 ID:STEkgEWa
戸次川合戦長宗我部信親の最期

去る程に信親は、味方皆打ち負けて散々になり
元親の生死も知らざれば、今はこれまでとただ一途に思い定め
上下心を一致して龍粧(戸次川地名)に備を配り
静まり返って敵を待ち受けた

勇気最盛なる新納勢は、僅かな長宗我部勢が控えているの見て
ここはいささかも休むべきにはあらずと、三手に別れ閑閑と打ってかかる
信親七百余騎、三手に颯爽と別れて駆け合い
汗馬東西に駆け違い、旌旗南北に開き分かれ
追いつ返しつ、巻きつ巻きられつ、互いに命を惜しまず七、八度と戦い
新納が五千余騎、残りわずかまでに討たれたが
長宗我部勢も大半が傷をこうむり、(血で)朱になってその場にとどまった

伊勢兵部丞一千余騎、戦い屈したる長宗我部勢を
弊に乗って討たんとして横合いに駆け向うが
信親もとより思い切った事なれば、相懸かりに懸りて
弓手に側め、馬主に背け、打っては駆け通り、突いては押し払い
四武の衛陣堅きを砕き、揉み違い入り乱れ、喚き叫んで戦い続けた
敵味方の討たれた者は数知れず、互いに龍虎の争いなれば
このいくさ、いつ果てるのかもわからなかった

(続く)

243 名前:人間七七四年[] 投稿日:2017/11/06(月) 13:29:50.91 ID:STEkgEWa
新納武蔵守は槍を取り、猪の怒れる如く大きく猛って突いて回る
細川源左衛門これを見て、願う所と槍を提げて向かい
武蔵守、物々しやと人を交えもせずに戦ったが
源左衛門に左腕をしたたかに突かれ、危うくなったところに
郎党二人駆け来たり、武蔵守を押し隔てて戦い
さらに伊勢兵部丞が馬を駆け寄せ、源左衛門に槍を付けたので
源左衛門ようやく若党に首を取られ討ち死にした

信親はあまりに手広く駆り立て戦う内に、乗り換えたる馬は三頭
平頭三太刀斬られて、犬居にどうと臥した
敵これを大将と見知ったので、駆け寄せ討ち取らんと進み近づくが
信親四尺三寸の大長刀を提げ、大勢の中へ割って入り
籠手・薙手・開手・十文字、八方乱して切りつけ
強靭の兵二十四、五騎を薙ぎ払ったので、長刀の柄は中より折れてしまった

(続く)

244 名前:人間七七四年[] 投稿日:2017/11/06(月) 13:40:06.17 ID:STEkgEWa
敵二人得たり賢しと両方から飛びかかり打つ太刀を
信親さっと飛び違え、二人共に同じ枕に蹴り倒し、太刀を抜き胴を切り捨てた
新納これを見て、一騎打ちの勝負は叶うまじ
総軍一度に懸かれと下知すれば、蟻の如く集い、蜂の如く行き合い
信親の上に重なって前後左右より押し取り巻き
穂前を揃えて突く槍を、ひらりと飛び越え
持って開いては丁と切り、飛び違えては、はたと切る
されどもその身鉄石にあらざれば、精力疲れ、ついに鈴木内膳に討たれた
信親行年二十二歳、その死を惜しまぬ者はいなかった

吉良播磨守、本山将監、石谷兵部少輔らも何のために惜しむ命ぞやと
真っ先に敵の中に駈け入り、枕を並べて討ち死にした
これらを始めとして、桑名太郎左衛門……
(以下数頁に渡り延々と討ち死にした者の列挙が続く、下画像参照)
https://imgur.com/a/krw3g
https://imgur.com/a/2iU01
seGpd7c.png
NovRfsD.jpg


……この他精兵都合七百余人、我先にと駆け出で駆け出で
一騎も残らず皆斬り死にした
味方の討ち死には二千七百二十七名と聞いている

(土佐物語)



245 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/11/06(月) 14:30:51.09 ID:TScJL+6v
センゴクすごく悪い話だ

246 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/11/06(月) 14:54:27.14 ID:uHhFmV3f
>>242-244
脚色もあるんだろうけど凄まじい、描写が詳しくてこのまま剣劇にできそうだ。
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    随分臨場感あふれる書き方だな。

  2. 人間七七四年 | URL | -

    センゴクでもちょうど信親が討死したところだったな・・・

  3. 人間七七四年 | URL | -

    この闘いも痛ましいが、この後の長宗我部家の命運を考えると…それもとても切ない

  4. 人間七七四年 | URL | -

    まあその後の島津勢の転戦ぶりを考えたら、島津側の損害は極めて軽微だったんだろうけどね。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    >元親の生死も知らざれば、今はこれまでとただ一途に思い定め

    森家も織田家もそうだが、「親が死んだ(かもしれない)から、もうこれまで」で
    なぜ「親が死んだ(かもしれない)から、俺は生き延びる!」じゃないんだろうか。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    ※4
    国衆が勝ち馬に乗って味方につくので損害より軍勢が増えるのもよくある話。
    同じ島津でも退却時のグダグダを見れば解るかと

  7. 人間七七四年 | URL | -

    >>5
    それで親がその時は生きていて、自分が逃げたおかげで囲まれて憤死とかになったら
    臆病侍のレッテルは100%付くし、代がわりしても家中の信頼なんか得られない
    むしろ元親戦死の報でもあれば、戦力結集できるとこまで退いてから再編して撤退もできたかもしれないが

  8. 人間七七四年 | URL | -

    ※7殿
    そう言えば、大谷吉継の息子は生き残った後で「親を見捨てた」と評価されて他家に仕官出来なかった
    だから大阪方に付いたなんて逸話も有りましたね

  9. 人間七七四年 | URL | -

    ※7
    池田輝政に「恒興と元助は先に撤退した」と囁いた家臣マジファインプレイ

  10. 人間七七四年 | URL | -

    紹運「決死の戦に赴くときは託す跡継ぎは残しておかないとね」

  11.   | URL | -

    親を信じるか
    親元でいればよかったのに

  12. 5 | URL | -

    ※7殿

    すっげ納得いった。

  13. 人間七七四年 | URL | -

    戦う→名誉の討ち死に。長宗我部は所領安堵

    逃亡→センゴクルートで所領没収の上追放。三国一の臆病者扱い

    様子見→尾藤ルートでやっぱり所領没収追放

    信親の詰み具合

  14. 人間七七四年 | URL | EybeWf1w

    やらかした主犯はセンゴクやん
    信親が敗走しても問題視されないんじゃないかな?
    実際元親は退いてるけど没収されてないし

  15. 人間七七四年 | URL | JPG8Eu66

    四国征伐のときに勝手に一軍率いて出撃して元親に連れ戻されてたりどうも信親って猪武者気質っぽいからねえ
    戦闘開始前はともかく戦場でそこまで深くは考えてないだろう

  16. 人間七七四年 | URL | -

    センゴク一人のせいになってるけど、長宗我部も指導者のひとりとして責任取らされたと思うぞ。
    長宗我部は、九州征伐が成功してれば土佐安堵のほかに大隅がもらえる予定だった(武家事紀)。

    しかし、結局センゴクを止めずに一緒に攻撃に出て敗走してしまったせいで、土佐安堵のみになった。

  17. 人間七七四年 | URL | -

    よく見たら

    「秀吉は元親に気をつかって、信親討死ちを忠節として元親に大隅国を与えるとしたが、元親はこれを辞退した」

    という話。信親討ち死にのおかげで、微妙な立場だった長宗我部は忠義者扱いになったのだから、いい話だよ。

  18. 人間七七四年 | URL | -

    秀吉は長宗我部に大隅、大友に日向を与えるつもりだったと聞いたことはあるが、もしそうなっていたら
    現在の九州はだいぶ様変わりしたものになっているのだろうか。

  19. 人間七七四年 | URL | -

    土佐人、お酒大好き
    九州人、お酒大好き


    そんな変わったかな?

  20. 人間七七四年 | URL | -

    ※19殿
    そっちじゃないです!
    まあ、鹿児島・宮崎の薩摩拳(ナンコ)と高知の箸拳(幕末の頃にナンコが伝わって箸拳が出来たといわれている)
    「壮絶!薩摩拳」
    ttp://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-4533.html#view_comment
    鹿児島・宮崎のそらきゅうと高知のべく杯
    と似た文化があるので酒に関しては様変わりしたものにはならないかもしれませんが。(※18)

  21. 人間七七四年 | URL | -

    いごっそうがぼっけもんを支配する構造ってどう考えても危なすぎる(逆よりはまだましだが)

  22. 人間七七四年 | URL | -

    確かに、物凄いことになりそうだな。

  23. 人間七七四年 | URL | -

    ※20
    中近世の海運というと瀬戸内ルートが花形だけど、土佐を経由する太平洋ルートも有力なんだよね
    だから土佐は日向・大隅(本州側だと紀伊)と貿易を通じた強い関係がある
    互いの文化が伝播していてもおかしくはないな

  24. 人間七七四年 | URL | -

    ※9
    でも輝政がその時の事を恨んで、その家臣達は彼が死ぬまで加増許されなかったから、
    内心どう思ってたことか?一応息子が苦労を労って加増したけどさ

  25. 人間七七四年 | URL | -

    この力を生き延びることに使っていたらなぁ
    結果論だけどその後も挽回できる戦はあったからなぁ

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