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三月七日の掛川城攻め

2018年12月24日 15:19

547 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2018/12/23(日) 18:55:13.87 ID:eE9Lsf8D
(掛川城の戦いの時)

神君(徳川家康)は人馬を休められて、3月4日に再度掛川城を攻め給わんと見付より御出馬され、5日には本多
平八郎忠勝・松平主殿助伊忠を先手として攻め寄せ給う。(原注:『武徳編年集成』はこの日の先手を松平甚太郎
(家忠)・松井左近(忠次。松平康親)とする。『東遷基業』『列祖成績』は原書に同じ)

すでに大手は南町口を攻め破り二の門に至る。ここに寒大寺川という大河あり。この頃、春雨は日数を重ねて降り
続けたので水嵩は増し、塩買淵という辺りは平素には歩行渡りの所だったが、水は深くなり寄手は大いに悩んだ。

搦手は水野惣兵衛忠重が西町口より攻め入り、松尾池を隔てて互いに矢砲を飛ばし挑み戦う。また一手は東口より
攻め入り、不動山を右に見て天王小路より押し寄せた。北畷口の一方は掛川城兵の心を一致させないためにわざと
開いて囲まず、城中からは朝比奈備中守泰能(泰朝の誤り)・三浦監物秀盛が天王小路に打ち出て激しく防戦する。

この時、松平主殿助の家士・石原十助が城兵を射たところその城兵は射られても未だ鞍を離れず、十助はまた射て
ついに射落とした。城中の将卒どもはその矢継ぎ早なるを感心し、その矢を金の団扇に乗せて主殿助の陣に送った。

7日には辰刻より朝比奈備中守と三浦監物が天王小路に打って出た。菅沼帯刀・伊藤治部少輔・同掃部介・同左近
左衛門・小笠原七郎兵衛・渋谷右馬允・朝比奈小隼人・同小三郎泰秀・笠原出羽守らは西宿より打って出て「今日
は歩兵には目も掛けず、大将分の者を討ち取らん!」と奮戦した。

敵味方は互いに勇を争った。本多平八郎・榊原小平太(康政)・大須賀五郎左衛門(康高)・大久保七郎右衛門
(忠世)・大久保治右衛門(忠佐)が自ら槍を振るって真っ先に進めば、味方の輩も勇み進んで突戦する。

菅沼三九郎は笠原七郎兵衛を討ち取り、高橋伝七郎は朝比奈小三郎を討ち取り、松下嘉兵衛之綱は菅沼帯刀を討ち
取り、本多三弥(正重。原注:一向乱の時に立ち退いたが、この時に御先手に加わった)は新谷小助を討ち取り、
高力与左衛門清長は粟飯原平左衛門を討ち取り、中山是非之助(姉川七本槍の1人)は伊藤左近元実を討ち取り、
散木某は山崎市兵衛を討ち取り、小林勝之助重直も首級を得たのであった。

“今川家十八人衆”と名を顕した朝比奈小隼人・伊藤治部少輔・同掃部介を始め、屈強の輩38人・雑兵180人
を討ち取る。味方でも中根伝四郎正重・本間五郎兵衛長季・加藤市十郎正重、本多康重の家士・畔柳又次郎を始め、
60余人が討死した。

また本多彦次郎康重16歳と家士の本多左馬助・吉見孫八郎、奥平家士の名倉五郎作、菅沼新八郎(定盈)家士の
菅沼弥太郎・今泉新助・同孫三郎・同久左衛門は皆戦功をはげました。

榊原家士の安松弥之助・菅沼家士の彦坂小作、御旗本では小林伝四郎吉勝が射芸を振るい、弥之助はこの功により
“矢之助”と賜る。小笠原喜三郎貞慶・菅沼藤蔵定政も戦功あり。けれども朝比奈備中守と笠原出羽守はなおも勇
を振るい、残兵をまとって城に引き取った。

松平与一郎忠正は旗馬印を塀際に押し立てて、諸手は竹束を付き寄せ今やすでに城を乗り取るかと見えたところに、
御本陣より「急いで諸手は引き取るべし」との旨が命じられた。よって与一郎が後殿し、早々に諸手の人数は引き
返した。これは今川与力の者も徒党して船に乗り、掛川城を後詰せんと掛塚の港へ着岸するとの注進があったから
である。

そこで榊原・大須賀ならびに鳥居彦右衛門元忠を掛塚に馳せ向かわしめ、かの今川与方力の者どもはこれを聞いて
早々に船に取り乗って逃げようとするところを、御目付に参っていた渡辺半蔵守綱が駆け付け、船に乗らんとする
敵を7人まで突き倒した。大須賀康高属兵の筧助太夫(正重)・久世三四郎(広宣)・坂部又十郎(正家)、榊原
康政属兵の清水久三郎・伊藤雁助も走り来たり首数級を得た。敵は散々に打ち負けて、残兵はようやく船に乗って
逃げ失せたのである。

(原注:『武徳編年集成』はこの両日の合戦を4日・5日とする。『東遷基業』『列祖成績』は原書と同じ5日・
7日とする)

――『改正三河後風土記』


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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    四天王の中で地味言われる榊原小平太だが遠州攻略戦での活躍は目覚しいな

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