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人々が因果であると申し習わすのも

2019年01月29日 21:33

701 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2019/01/28(月) 22:54:14.43 ID:NfnBdDvr
又々ここに不審な事がある。犬打ち童に至るまでの人々が、本多佐渡守(正信)が、大久保相模守(忠隣)を
讒言したのだと言っていることである。
そのような事、人が知るはずもない内容を申している

そもそも本多佐渡は相模守の親である七郎右衛門(忠世)の重恩を受けた者であり、恩を忘れてどうして
そんな事をするだろうか。それは事情を知らない人の無責任な噂に過ぎない。
相模については、子の主殿を初め我々こそ知らないまでも、きっとその身の科も深かったのであろう。
その上であっても、佐渡が讒言するようなことはゆめゆめ有るまじきと、今においても思っている。
町人や民百姓まで正信が讒言したと申す理由はどう言うことかとも思うが、そういう事も有るかと、
不審では有るが、ともかくよく解らない。

佐渡について、若い頃はむごい人物だという評判はあったが、歳も寄り定めてその心も直ったのだろう。
佐渡守が若い頃には、七郎右衛門が朝夕の食事の援助をし、その女子供に対しても塩、味噌、薪に至るまで、
同じく援助し、彼が御敵を申して他国へ駆け落ちした時も、女子供を援助し、その後家康公へ御詫言を
申し上げて帰国し、先ず隼鷹匠と成り、その後色々と取り成しを申し上げ、四十石の御知行を申し受けて
出仕したが、その後も援助した。

このため、佐渡は年末年始には必ず、嘉例として大晦日の飯と元三(正月三日)の飯を七郎右衛門の家にて
喰った。関東へ移った後になっても、江戸にてその嘉例を続けたほどの佐渡である。どうしてその恩を忘れる
だろうか。

七郎右衛門が果てる時も、佐渡守を呼んで遺言に、相模に不沙汰無きようにと頼み入って果てたのだ。
その時も佐渡は七郎右衛門に向かって、「どうして不沙汰などしましょうか、御安心あれ。」と、しっかりと
申したというのに、その心を引き違えて讒言するようなことが有るだろうか。

昔は因果は皿の縁を巡る、などと言っていたが、今は巡ること無く直ぐに向こうに飛ぶようだ。
今においてはどうかとも思うが、人々が囁いている事は、そのように思われる。
良い因果は報われても見えにくく、悪しき因果が悪しく報いるのは見えやすい。そういう事であろうか。

佐渡は相模守御改易の後三年も経たずして顔に唐瘡が出て、顔崩れ奥歯の見えるほどに成りそのまま死に、
子である上野介(本多正純)は、御改易となり出羽国由利へ流され、その後秋田へ流され佐竹殿に預けられて、
四方に柵を付け堀を掘って番まで付けられた。人々が因果であると申し習わすのもこれでは仕方がないかも
しれない。

相模守の御改易も、大うす(デウス)御大事の御仕置きと有って京都に召し遣わされ、その後御改易となり、
また上野介御改易の時も、最上の仕置すべしと仰せ付けられ召し遣わされて、その後にて御改易を
されたのであるから、同じような状況であり、故に「讒言申した因果の報いか」と、世間にて犬打ちの童まで
申したのだろう。

(三河物語)


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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    >良い因果は報われても見えにくく、悪しき因果は悪しく報いるのは見えやすい。
    なんか…、今の自分にタイムリーに刺さる一文があって感心しちゃったわ。
    「どうして分かってくれないんだろう」とか、思っちゃってる時点で過去の自分を棚に上げちゃってたんだろうなぁと、そう思い返せば自分はちょっと傲ってたわ。
    俺にとって大久保彦左衛門は先生の一人なのかもしれん…。

  2. 人間七七四年 | URL | -

    ※1
    何があったか知らんが、良い因果が助けてくれてるから現状で済んでるということもありうるしな。
    いい人の身の上にはいい運命が巡ってきて欲しいものだ。

    そして彦左は見習わない方がいいところが一杯あるのでほどほどになw

  3. 人間七七四年 | URL | -

    ※1
    彦左を見習うのは、上司が家康なみに度量がある場合のみにした方がいいぞw

  4. 人間七七四年 | URL | -

    本多父子を悪く言ったのは三河物語が端緒と聞いてたけど
    彦左は佐渡の人物は認めてるのね

  5. 人間七七四年 | URL | -

    忠隣のことはよく知らないのか。彦左は

    でも、佐渡のことは忠世とからめて よく知ってるから、世間の無責任な噂に敏感に反応してしまったと…。

  6. 人間七七四年 | URL | j7kPgX2Q

    >相模については、子の主殿を初め我々こそ知らないまでも、きっとその身の科も深かったのであろう。

    相模守「ええ……」

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