980 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2019/05/07(火) 09:13:21.50 ID:OfVUZcaD
その後8日、もしくは10日を経て、父王(大友宗麟)が土持に向けて出発する前、世子(大友義統)はイルマンを
招いてパードレに伝言を託した。
この世子は知識と思慮に富み、キリシタンとなりたる父の意に従わんと欲し、またすでにキリスト教の説教を
聞いており、これをよく悟って、デウスの教え以外に人間が救われる道はないと覚った故に、
妃(吉弘鑑理娘・尊寿院。洗礼名ジュスタ)とともにキリシタンとなる決心をしていたが、彼の領国は広大であり、
そこには神仏を崇拝しキリシタンの名を憎む有力なる大身が多いゆえに、彼は本年もそう成したように、
徐々に準備をし、少しづつ坊主の収入を奪い、寺社を破壊して国内の大身達に彼らの偶像崇拝が利益少ない事を
覚らしめるべしと言い、なお自筆にて認めた五、六ヶ条の重要なる点について、パードレ(カブラル)に質問した。
パードレがこれに対して返答をした後、世子は再び人を遣わして、『右の質問を成したのは領国を失うことを
怖れたためではない。デウス、霊魂、救い、楽土および未来の刑罰があることを悟って以来、国を失うこと、
また生命を失うことは少しも意に介していない。パードレがもし直ぐに、異教の者たちと一切の関係を絶ち、
寺社を破壊し、坊主たちを倒し、偶像を尽く焼き払い、領内の異教の儀式を廃し慣習を破ることを可とするのなら、
私はこれを成すだろう。
もし前に述べたように、徐々に国事を処理し、人々を誘導して騒擾または反乱を起こすこと無からしめる事を
可であるとするのなら、そのようにするだろう。』と言わせた。
パードレはこれに答えて「彼の希望は甚だ良き故に、我等の主デウスに、これを持続せしま給う事を祈りましょう。
またこのように重大なことはよく考慮し、十分に準備を成すことが必要であるから、徐々に準備を整えるのが
我らの主のために然るべきもので、祈祷を学びデウスのことを聴き、同時に領内のことを処理すれば、世子の
希望通りに来年のはじめには、洗礼を受けることができるでしょう。」と言った。
私(フロイス)が彼と同船して土持に赴く父王を訪問し、その船にて帰る時、夜中に長時間に渡り彼は私と語り、
ビジタドールのパードレはいつ来るのかと3,4回尋ね、その洗礼の際には私が列席することを希望し、また妃に
関しては、直ぐにキリシタンと成したいと言った。私はこれに答え、「ビジタドール及びパードレはデウスの御助け
によって来年来ることは疑いないと思われます。妃の洗礼に関しては、パードレ・フランシスコ・カブラルが
帰るのを待つのが良いでしょう。彼はしばらく日向にとどまる必要があるのですが、船を出して速やかに帰ることを
命じるのが良いでしょう。」と述べた。
(1578年10月16日(天正6年9月16日)付、パードレ・ルイス・フロイス書簡)
天正6年ころの、キリスト教に前のめりになっている大友義統の様子
その後8日、もしくは10日を経て、父王(大友宗麟)が土持に向けて出発する前、世子(大友義統)はイルマンを
招いてパードレに伝言を託した。
この世子は知識と思慮に富み、キリシタンとなりたる父の意に従わんと欲し、またすでにキリスト教の説教を
聞いており、これをよく悟って、デウスの教え以外に人間が救われる道はないと覚った故に、
妃(吉弘鑑理娘・尊寿院。洗礼名ジュスタ)とともにキリシタンとなる決心をしていたが、彼の領国は広大であり、
そこには神仏を崇拝しキリシタンの名を憎む有力なる大身が多いゆえに、彼は本年もそう成したように、
徐々に準備をし、少しづつ坊主の収入を奪い、寺社を破壊して国内の大身達に彼らの偶像崇拝が利益少ない事を
覚らしめるべしと言い、なお自筆にて認めた五、六ヶ条の重要なる点について、パードレ(カブラル)に質問した。
パードレがこれに対して返答をした後、世子は再び人を遣わして、『右の質問を成したのは領国を失うことを
怖れたためではない。デウス、霊魂、救い、楽土および未来の刑罰があることを悟って以来、国を失うこと、
また生命を失うことは少しも意に介していない。パードレがもし直ぐに、異教の者たちと一切の関係を絶ち、
寺社を破壊し、坊主たちを倒し、偶像を尽く焼き払い、領内の異教の儀式を廃し慣習を破ることを可とするのなら、
私はこれを成すだろう。
もし前に述べたように、徐々に国事を処理し、人々を誘導して騒擾または反乱を起こすこと無からしめる事を
可であるとするのなら、そのようにするだろう。』と言わせた。
パードレはこれに答えて「彼の希望は甚だ良き故に、我等の主デウスに、これを持続せしま給う事を祈りましょう。
またこのように重大なことはよく考慮し、十分に準備を成すことが必要であるから、徐々に準備を整えるのが
我らの主のために然るべきもので、祈祷を学びデウスのことを聴き、同時に領内のことを処理すれば、世子の
希望通りに来年のはじめには、洗礼を受けることができるでしょう。」と言った。
私(フロイス)が彼と同船して土持に赴く父王を訪問し、その船にて帰る時、夜中に長時間に渡り彼は私と語り、
ビジタドールのパードレはいつ来るのかと3,4回尋ね、その洗礼の際には私が列席することを希望し、また妃に
関しては、直ぐにキリシタンと成したいと言った。私はこれに答え、「ビジタドール及びパードレはデウスの御助け
によって来年来ることは疑いないと思われます。妃の洗礼に関しては、パードレ・フランシスコ・カブラルが
帰るのを待つのが良いでしょう。彼はしばらく日向にとどまる必要があるのですが、船を出して速やかに帰ることを
命じるのが良いでしょう。」と述べた。
(1578年10月16日(天正6年9月16日)付、パードレ・ルイス・フロイス書簡)
天正6年ころの、キリスト教に前のめりになっている大友義統の様子
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コメント
人間七七四年 | URL | -
同じ宣教師にすら書簡で「酒乱でおかしな行動が多い」と言われた義統が「知識と思慮に富み」とは…
やっぱり棄教した後は悪く書かれるのかな
( 2019年05月07日 17:14 )
人間七七四年 | URL | -
この子が褒められてるの初めて見た
( 2019年05月07日 17:24 )
人間七七四年 | URL | -
義統は数多のダメ武将扱いの人物の中でも頭一つ抜けてガチ感あるよね
( 2019年05月07日 17:51 )
人間七七四年 | URL | -
何しろ本人が自分のダメさを自覚しているからね…
( 2019年05月07日 18:19 )
人間七七四年 | URL | -
※1
大名としての力量はそこじゃないって事なんだろう
( 2019年05月07日 19:45 )
人間七七四年 | URL | -
大分に行った時に
石垣原の戦いを説明している地元のガイドさんでも
彼を擁護するのが難しかったのに。
( 2019年05月07日 23:32 )
人間七七四年 | URL | -
家臣や如水の説得通りに家康側に付いていたら、どこかに小禄くらいはもらえたと思う。
息子も秀忠付きだったし悪い結果にはならなかったと思うんだけど、結局最後はこの人の
やることだしなぁって感じですね。
( 2019年05月08日 12:31 )
人間七七四年 | URL | -
常真様「ナカーマ」
( 2019年05月09日 06:21 )
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