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消えた秀吉取り立ての家臣たち

2019年07月12日 16:43

249 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2019/07/12(金) 16:30:42.87 ID:ycVecxqD
3万石 渡瀬左衛門佐繁詮

太閤が卑賎の時から奉仕した。関白昇進の時に5千石を賜り、旗本の列となる。天正18年(1590)、
小田原の戦功をもって、遠州横須賀城3万石を賜る。ところが、秀次に悪行の詮議あり。渡瀬はその張本
人であることをもって、文禄4年(1595)8月に領地を没収し、佐竹右京大夫義宣へ預けられて常州
水戸へ配流(後に切腹)。


3万石 前野但馬守長康

太閤が筑前守だった時に馬廻に召し出され、前野庄左衛門と称す。賤ヶ岳では四番の軍列であった。後に
但州出石城主となる。長康も秀次へ悪行を勧めたことをもって領地を没収し、駿州府中城主の中村式部少
輔(一氏)に預けられる(後に切腹)。この将は加州の住人・富樫介(加賀守護富樫氏)の末葉で、後に
坪内と改めて、当時御旗本に奉仕した。


18万石 木村常陸介重高

重高は木村隼人佐の息男である。父の隼人佐は太閤が微賤の時からの老臣で、賤ヶ岳合戦の時は三番備、
柴田の先手を追い崩して越前まで突き入り、ついに勝家を自害せしむ。この功をもって山州淀城を賜り、
大名となって卒去した。

常陸介重高は家督を継ぎ、太閤は関白職を秀次へ譲られる。この時、「木村は数年予の老臣であり、目出
度き者である。秀次も予の如く果報を継ぐべし」と、木村を秀次のへ付けなさった。

されども重高は父・隼人佐に劣り、佞奸にして石田(三成)・増田(長盛)と心を合わせて秀次へ悪行を
勧めたことをもって、秀次生害の後に木村は摂州茨木で切腹、その一族は縁者まで尽く死刑となる。この
始終は『秀次記』に委細があるので、ここには記さない。


5万石 熊谷大膳亮直澄(直之)

直澄は熊谷次郎直実の末葉である。太閤が天下草創の始めより馬廻に召し出され、しばしば戦功があるの
をもって5万石まで賜り、秀次の附臣となる。ところが秀次生害あれば、直澄は嵯峨天龍寺へ馳せ入り、
たちまちに自害した。直澄はまったくその誤りがなかったので、太閤も召し返して本領を賜ろうと内談が
あった内にたちまち殉死したため、皆人は残念に思ったという。


8万石 熊谷内蔵介直陳(直盛)

直陳も熊谷次郎直実の末葉で勇猛の者故、太閤の馬廻に奉仕してより、しばしば軍功を尽すことをもって
天下平均の後に、豊後安岐城主となる。これも朝鮮へ渡海し(目付として)諸将の剛臆を告げたが、毛利
(吉成)・竹中(重利)と対決に及んで追放された。直陳も三成の婿なので佐和山へ赴いて忍んでいた。
翌年三成は本領を与えて大垣城へ籠め置いたが、垣見・木村とともに相良・秋月らにたばかられて死んだ。
(後略)

250 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2019/07/12(金) 16:31:56.17 ID:ycVecxqD
1万石   塩冶隠岐守
1万5千石 寺田播磨守(光吉)
2万2千石 斎藤左兵衛督
3万石   津深右京亮
1万2千石 粕谷内膳正(糟屋武則)

以上五将は各々太閤の代に取り立てとなり、武威を振るったが石田に与するをもって所領を没収なされた。


6万石 戸田民部少輔氏繁(勝隆)

太閤が未だ勢微な時から従った。しばしば戦功があったので予州喜多郡大洲城6万石を賜る。天正13年
(1585)に太閤は四国退治のため、御舎弟の羽柴美濃守秀長と御猶子の三好秀次を大将軍とし、6万
余兵を添えてまず阿波州を攻めさせなさる。

この時、戸田は一番に馳せ加わり戦功をあらわす。それより四国の徒党は尽く雌伏したので、取り分けて
戸田の戦功を感心し、同州宇和郡板島城へ移しなさって官位を昇進し、大名に取り立てなさるとの契約が
あった。そんな折に程なく病死し、あまつさえ令嗣なきをもって所領を召し上げなさった。


7万石 小川土佐守祐忠

伊予今張城主。太閤取り立ての人である(原注:一説に明智光秀の従弟。故あって直参するという)。初
め石田に与し、島左馬介祐滋とともに大谷(吉継)に属して北国へ赴く。後に関ヶ原へ出張して軍談する
ところで金吾秀秋が密かに関東へ通じると聞き、脇坂・朽木・赤座とともに俄に心を変じ、大谷・平塚の
陣を破る功をもって本領を賜る。

ところが祐忠は不行跡にして家人国民に酷く当たり、諸人は疎み果てる折に異心を巧み、天下の大事を企
てた故にたちまち所領を没収なされた。小川父子とその一族与党まで尽く改易なされたという。

――『古今武家盛衰記』

消えた秀吉取り立ての家臣たち

253 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2019/07/12(金) 22:02:26.03 ID:ycVecxqD
5万石 丹羽備中守長昌(長正)

越前守長秀の次男、修理亮長政の孫。幼少より太閤に仕え、後に越前東江城を賜る。石田に与して大谷に
属し、戦功をあらわす。関ヶ原の敗戦を聞いて逐電した(後に秀頼に仕えて、大坂開戦前に脱出)。(原
注:ある説に曰く、長昌は越前を逃げ出し、後に丹羽左京大夫方へ行き忍んていた。子孫はかの家に仕え
るという)


2万石   多賀出雲守(秀種)
1万9千石 杉若越後守(無心)
1万7千石 横浜民部少輔(茂勝)
1万5千石 杉谷越中守
1万石   寺西下野守(是成)

以上は太閤取り立ての将である。石田に与して大谷に属し、北国で戦功あり。それより大津へ向かって立
花宗茂の先手に進み、命を捨てて大いに戦い、関ヶ原へ出張しようと用意した。しかしすでに敗れたと聞
いて逐電し、諸国に忍んで放浪した。(原注:私に曰く、以上五将の由緒、かつその子孫が諸家の陪臣と
なることは長き故記さない。『太閤記』に詳しい)


1万石 松浦伊予守秀任(久信)

松浦安太夫宗清の従弟。初め安兵衛といった時より、太閤の馬廻に召し出されて頻りに立身した。石田に
与し、大津城攻めで立花とともに軍忠を励む。秀任は元来強力で、鉄棒を提げて馬人の区別なく散々に打
ち倒し、一の城戸を打ち破り二の城戸まで攻め入ったが、大勢に取り詰められてついに戦死した。立花は
その勇を大いに感じ、太平以後に秀任の子を召し出して扶持した。子孫はかの家に仕えるという。


1万石   高田豊後守(治忠)
1万3千石 藤掛三河守(永勝)

以上両将は太閤御取立ての者である。石田に与し、小野木(重勝)とともに田辺城を攻落する。味方敗北
の後に流浪したが、子孫は当家(徳川家)に召し出されて俵数を賜る。子細は知らず。

――『古今武家盛衰記』

追記>>250
富田高定などの伝もあるけど長くなるので割愛



261 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2019/07/15(月) 09:44:55.09 ID:DWiCMEm8
>>249

前庄殿な後だけどその話武功夜話にでとりましょうですか?
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    だだでさえ少ない譜代を切り捨てて置いて
    秀頼を頼むとかもうね

    人を大切にしないものの末路としか言えない

  2. 人間七七四年 | URL | -

    秀吉の5万石以下の大名って大名になって10年もしない内に、秀次事件や関ヶ原で没落していてイマイチ事蹟が分からない人物が多い
    3万石の身上ながら大垣城を近世城郭に生まれ変わらせた伊藤盛景のように、実は超有能って武将も多かっただろうな

  3. 人間七七四年 | URL | -

    尾藤「あれ?俺たちの名前は?」
    神子田「許されたんやろ(適当)」

  4. 人間七七四年 | URL | -

    ちょっと調べたら前野長泰って富樫氏の庶流の出なのね
    昔の貴族とか武将って離れた地域同士でも割とそこら中で家とか血が繋がってるよなあ

  5. 人間七七四年 | URL | -

    どう見ても見事に秀次事件のとばっちりばかりだね。今まで支えてきた中核世代ごっそり持って行かれてる。
    仮にも秀次が後継者扱いされていたのが何気に分る人材達ばかりだね。
    特に前野は蜂須賀氏共々苦労をしてきた世代なのに、かなりあっさり切り捨てられてるし、やっぱこの頃の
    秀吉って常軌を失ってる感が半端無い。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    前野はともかく蜂須賀は秀吉の部下だったワケやないし
    厳密に言えば秀長も秀吉の部下じゃなくて信長の部下であって秀吉の部下やないからな

    それはともかくこんだけやれば人心離れるわな

  7. 人間七七四年 | URL | -

    太閤様は近年、統一以降の所業故に、評価がだだ下がりで…。
    こんなアレな主を支え続けたとあれば、治部殿が義理の人認定やら、忠誠度No.1(故人の感想・誤字に非ず)と評価されるのも納得

  8. 人間七七四年 | URL | -

    ※7
    三成には三成なりの思惑も野心もあったろうし忠節一辺倒の描き方も揺り戻しが過ぎる気はする

  9. 人間七七四年 | URL | -

    秀次事件とかいう謎が深すぎる超大事件
    もっと研究されないものか

  10. 人間七七四年 | URL | -

    ※9
    史料自体が少ない上に誤読や解釈の誤りも多かったからなぁ
    新説もまだまだ検証不足だし、これからの研究進展が楽しみだな

  11. 人間七七四年 | URL | -

    渡瀬ちとおかしくないか?

  12. 人間七七四年 | URL | -

    何故豊臣政権は滅んだのか、というより、ここまで盛大に粛清しても磐石な政権を一代で作る方が無理ですわな

  13. 人間七七四年 | URL | -

    最近では秀頼可愛さというより秀次の内政失敗が深刻すぎて責任取らされたという見方もあるくらいやしな

  14. 人間七七四年 | URL | -

    ※6
    そんなつまらない指摘してなんかあるわけ
    秀吉政権下で起きてるわけだから、かつての立場なんて関係ないだろ?

  15. 人間七七四年 | URL | -

    ※13
    そういう説が出ているのか
    でもそういうのって「失脚&廃嫡」くらいで収められないものか
    いったん関白にまでした人物だと
    この世から消すまで安心できないのか

  16. 人間七七四年 | URL | -

    ※15
    そこで「無実ゆえ」の抗議の自殺という矢部説が面白みを増してくる

  17. 人間七七四年 | URL | -

    *16
    秀次が切腹する前に家老が殺されてるし問罪使が加増されとるから その説は絶対にありえない

    まあ単に失政の責任取らされたのと諸大名への見せしめやろうな
    それに大和大納言家も容赦なく潰しとるし

  18. 人間七七四年 | URL | -

    ※16の説を採ると、諸々の人(最上家の姫様とか)は一体どういう理由で処刑されたのか、これが判らない

  19. 人間七七四年 | URL | -

    ※17
    罰の余りの重さから言って公式な罪状が謀反であることは間違いないんじゃないか
    失政+反乱のダブル役満だった佐々成政や木村吉清より圧倒的に厳しいもん
    大和大納言家に至っては誰も連座してない単なる無嗣断絶やし

  20. 人間七七四年 | URL | -

    ※18
    無実ゆえの『抗議』があの当時は重大な犯罪だからなあ。
    天下人は少なくとも家中においては無謬じゃなきゃいかん。

  21. 人間七七四年 | URL | -

    ※18
    秀次が勝手に切腹→秀吉の家長権が脅かされる→政権を守るために秀吉が自発的に処罰したことにする
    →前関白の切腹という重罰に見合う罪は謀反しかない→謀反にしたからには係累を連座させざるを得ない

    そんな感じで後付けに後付けを重ねた結果当事者も意図してない大惨事に

  22. 人間七七四年 | URL | -

    お家騒動は実務の中核家臣団に致命傷与えるから建て直しが大変なんだよね。
    甲斐武田家の義信事件や宇喜多騒動なんかももろにお家滅亡の引き金になってるよね。

  23. 人間七七四年 | URL | EybeWf1w

    ※18
    関白が切腹という前代未聞な出来事だから謀反をでっち上げたんじゃないかってお話だったような。
    なので妻妾も一族も連座で処刑。

  24. 人間七七四年 | URL | -

    秀次が有能だったらこんな事には…

  25. 人間七七四年 | URL | -

    とは言っても数少ない古参大名マルっと連座ってのはどー考えてもおかしい。
    やはり誰かが影で糸を引いていたんじゃないか?

  26. 人間七七四年 | URL | -

    ※22
    それと比べると、信康事件の影響があまり大きくなかった権現様の所は運が良かったのか、火消しに成功したというべきなのか

  27. 人間七七四年 | URL | -

    >>消えた(と思うほど地味な)家臣
    消された覚えは無いのに存在感がない空気加藤さん・・・
    実績はあるけど派手な活躍が無いので禄が少ない糟屋武則・・・

  28. 人間七七四年 | URL | -

    ※26
    良くも悪くも三河武士は忠義意識が薄いんで、家康に逆らって利のない信康につく家臣がほぼ皆無だったからなあ。

  29. 人間七七四年 | URL | -

    秀次は大名や統治者としての才能が壊滅的に乏しかったぽいから、秀次事件みたいなものがなくても遅かれ早かれ失脚していたと思う

    まあ豊臣自体内政不得手な人間多いけど

  30. 人間七七四年 | URL | -

    ※29
    とはいっても明確な失敗エピソードがあるわけじゃないんだよね。

  31. 人間七七四年 | URL | -

    秀次の能力が低いって話は出てはいるけど、具体的に何時の政策のどの部分が悪かったとか具体的な
    話が出てこないじゃん?その分、文化面では教養人としては優れている模様だし。
    確かに戦では小牧で失敗したけど、それ以外は家臣達の奮闘も有ってむしろ功績上げたと言えるし。

  32. 人間七七四年 | URL | -

    *30 *31 秀次が統治していた尾張は荒廃が深刻で秀吉がテコ入れしても立て直せなかった
    あと河内の蔵入りの統治も失敗してる

  33. 人間七七四年 | URL | -

    秀次は職務上在京が長いので、実際には留守居や代官の能力不足だったんだろうなと思ったり。
    田中吉政が取り仕切っていた近江八幡ではそんなに悪い話聞かないし。

  34. 人間七七四年 | URL | -

    ※32殿
    ※私も33殿が指摘している点は気になってます。本人だけの責任と言うのはちょっと酷だと個人的に思っている。
    それに秀次の領地は急激に石高が上がった背景があるし、家臣一同そんな大禄を統治するだけの経験も知識も
    無かったんじゃないかな?せいぜい自身の領地が精一杯。
    また関白としての職務もあったろうし、統治者としての職務がどれだけ果たせていたか?

  35. 人間七七四年 | URL | EybeWf1w

    そんな無能な秀次にダメ親父といわれた三好吉房

  36. 人間七七四年 | URL | -

    ※35
    親父さんの出自を考えれば、そもそもどう考えたって領地経営なんて無理なんだよ
    あと、無能と言っているけど具体的にどう無能なの?
    一言で済ませるのは簡単だけど、背景をちゃんと考えないとただの決め付けだよ

  37. 人間七七四年 | URL | -

    ↑「そんな」を無視するな

  38. 人間七七四年 | URL | -

    ※35
    羽柴家が急拡大して猫の手も借りたい時ですら起用されなかった吉房って一体

  39. 人間七七四年 | URL | -

    *33 *34 酷ないい方かもしれないけど
    そういう代官や家臣を切れない秀次が統治者失格の烙印を押されても仕方ない
    それに関白だから責任も大きいし

    宇喜多秀家も秀吉生前にもお家騒動やらかしてるし やはり豊臣関連の人間は内政が苦手な人間が多いね

  40. 人間七七四年 | URL | -

    小早川秀秋は統治面でこれといった悪評はなかったけども寿命が足りなかった…

  41. 人間七七四年 | URL | -

    ※39
    部下の不始末は上司の不始末やからしゃーないわな
    部下の手柄が上司の手柄にカウントされるのと表裏一体
    ええ家老を持った大名が名君扱いされるのと一緒や

  42. 人間七七四年 | URL | -

    ※26
    ちゃんと火消しに成功したと見るべきだと思う

    岡崎城の収公には軍勢を動員してるし信康付の家臣が失脚してたり実際の影響は結構あった模様
    信長に対して事前に了承を得ていたり事前の根回しもキチンとしてたみたいだしね

  43. 人間七七四年 | URL | -

    お家騒動も失政も立て直せるかどうかが上に立つものの力量を問われるからな

    秀次事件はやり過ぎだけど秀次が失脚なり責任取らされるのはやむを得ないわな

  44. 人間七七四年 | URL | -

    はて?部下の功績・不始末も上司の評価と言うのなら、小牧は確かに失敗といえるが、
    以降の北条討伐に北陸鎮撫の秀次の功績は十分優秀な範囲内な筈だけどな?

    >>優秀な家老=名君
    あーなるほど、景勝の翻訳係の事か!w

  45. 人間七七四年 | URL | F9ckFCGU

    秀次無能説繰り返し唱えてるやつなんの根拠も示していないね
    こういう声がでかい嘘つきが歴史を歪めていくんだね

    そもそも失政だったら失政ってちゃんと各種同時代の文献に残るだろう

  46. 人間七七四年 | URL | -

    まぁ当たり前だけど秀吉の子飼いの武将たちが大量に大名に取り立てられてるはずなんだよな
    豊臣政権が続けば譜代として名が残って
    それこそ江戸時代の大名みたいに系図でっちあげたり、初代の武功を記した家譜を残したんだろうけど

  47. 人間七七四年 | URL | -

    *45 愛知県史の行政史料に
    秀次の失政が深刻だったと書かれている

    無能とは言わないが統治者に向いていないのは確かやろうな

  48. 人間七七四年 | URL | -

    ※47
    尾張荒廃の責任の何割かについては清洲城主を務めた吉房にあると個人的には思う

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