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さもあるべき実情の物語

2019年08月09日 17:45

135 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2019/08/09(金) 00:56:49.57 ID:jo9Grmbb
戦国が治まって太平に成った頃まで長生きした老人が有ったが(この老人の名前も聞いたのだが忘れてしまった。
これを指摘した上で追って再び聞こうと思うと、川尻は言った)、とある集まりで雑談していた時に、
年若き輩が、戦場に出て功を成すのだと狂おしく語っているのをこの老人が聞いて笑い出した

「それは大きな了見違いである。私は数度戦場に出たが、なかなか恐ろしくて兼ねてからの心がけなど
出来ぬものである。私はある戦の伏せ勢に組み入れられて、草高き林の中に埋伏していたが、その時の
心には『とうか敵がこの道を通らないように』と哀れにも思っていた。遥かに馬煙が見えた時は
いよいよ恐ろしく、この合戦が終わったならば武士を辞めよう、とまで思っていたが、敵が我々の伏せている
所を通過しようとする頃、『合図これ有り候』と打って出るに至った時には、それほど恐ろしいとも
思わなくなり、味方の馬に踏まれたり打物に当たったりして討死の数に入る者も出たのだが、その時に
至ると何とも思わなく成っていた。

私は籠城にも何度か加わったのだが、これも籠城の最中は『再び武士になど成らない!』と思い詰める時も
有ったのだが、その戦が終わってしまうと、武士を辞めようという気も無くなっていた。」

そう老人は語った、さもあるべき実情の物語であると、聞いたままに記録した。
またかの老人の物語に

「私が臆した心底である故にそんな事もあるのだ、と思われるかもしれない。しかしその当時の同輩たち、
何れも同様であったのだよ。」と語った。

(耳嚢)



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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    戦馬鹿になりきったさ。

  2. 人間七七四年 | URL | -

    どうした?

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