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青木角蔵と、鈴木大学の矢・いい話

2009年02月06日 00:09

323 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/02/05(木) 02:14:53 ID:33x2bLgY
※予備知識
 矢種には数矢(大量生産の矢)が主に使われるが、名のある武士に対しては名前入りの高級な矢で射殺すのが礼儀。
 なお誰の手柄かをハッキリさせるために矢には印が刻まれており、射手がわかる。

武田勝頼が北条氏直と駿河で対陣したときの話。
あくる日、お互いの先手同士で小競り合いが起きた。
弓手を物陰に伏せさせては撹乱させ、また功名に逸る若侍が馬を繰り出し、
味方が無勢となれば徒歩のものも騎乗のものも救援に出て、まさに乱戦となった。
そんな中、華麗な技量で次々と敵兵を射殺す相州侍がいた。
武田方の弓の名手、青木角蔵は良敵とばかりに弓矢を番えただの一騎で躍り出て
「甲州が住人、青木角蔵、参る」と大音声で名乗りを上げる。
次の瞬間、二人は同時に矢を弦にさしはさみ、だが角蔵が射る前に敵はひょうと矢を放った。
その矢は角蔵の鎧を射とおし、弓手に深々と突き刺さる。
これでは矢戦はできなぬと馬を返そうとするも、二射目が、角蔵の愛馬の脇腹に突き立った。
角蔵の馬は跳ね回り、振り落とされてしまったが、同輩達が飛び出てきて深手の彼を守りながら陣へ引き返した。
相州勢もその有様を見て今日はこれまでと陣へ戻り、勝鬨をあげた。

と、その時である。
一人の侍が北条の陣へ歩み寄って来るではないか。
その手には弓矢が握られていた。
彼が足を止め、北条の陣へ向かって声を上げた。
「ここへまかりでたる者は先ほど馬上から射落とされちゃった青木角蔵の使者。
 角蔵にささった矢の印から、先ほど角蔵と射落としたものは北条きっての弓の名手、鈴木大学殿と推察いたす。
 戦場に出ては討つも討たれるも武人の本懐、また勝敗は兵家の常なれば負けたとて恥辱にはならぬ。
 ところが、先ほど大学殿が角蔵に放った矢は素焼きの数矢であった。
 目前で名乗りを上げた武士に対して雑兵へ放つような矢を向けるとは勝負を軽んじる行為、甚だ許しがたし。
 しかし本日は朝から戦続きであったため、大学殿の矢は数矢しか残っていなかったに違いない。
 あえて青木角蔵が鈴木大学殿と相見えた証としてこれを贈り進ずる」
青木の名字を書き付けた鏑矢を二筋、射送った。
鈴木大学はこの二筋の矢を手に取ると、
「先駆けの乱戦の中にあって、数矢を使うことは軽賎と言えるでしょうか。
 そもそも遠くの敵に狙いをつけていたらに不意に馳せ来て、いきなり矢を向けられたら矢なんて選んでる間などありません。
 お互いに何時でも矢を射れる状態での突然の勝負だったので、悪く思わないでいただきたい。
 これは私のです」
と、自分の靫(ゆげ、矢入れ)から節を漆で黒く塗った印入りの大雁又の矢を二筋、射送った。




324 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/02/05(木) 02:53:40 ID:ToxGc8s6
あーもう、格好良いなぁ。隙が無いよまったく。

325 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/02/05(木) 02:56:28 ID:uU3HzoIf
死後に家康に弓を折られる鈴木大学ktkr

331 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/02/05(木) 03:12:48 ID:Zwnpadb8
別の意味で鈴木大学も有名になってしまったな・・・

347 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/02/05(木) 13:08:16 ID:G/2doOL7
>>323イイハナシデスター
そして鈴木大学の指物は「槍」なんだよなー

双方のやりとりに坂東武者の侠気ってか“義理”や“意地”の感覚がなんとなく伝わるね。

360 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/02/05(木) 21:00:50 ID:9Uabn3xW
>>323
関東ってか…漢の宝庫だったんだな・・

しかし、数矢と名前入りの矢って別物だったのか、なるほど
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