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惣じて殿下の大胆闊達な事は

2019年12月07日 16:55

400 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2019/12/07(土) 10:00:50.62 ID:RNLP5dbp
天正十八年七月十三日、小田原開城の後、豊臣秀吉公は小田原城に入られ、最前に笠懸山で約束した
通りに、徳川家康公に伊豆相模武蔵上総下総上野下野安房の八ヶ国を参らせ、また家康公の上京の
折々における旅中の用途の為として近江国伊香、野洲の両郡、また海道筋にて一万石を与えた。
そして旧領である東海の五ヶ国は殿下が受納され、諸将に今回の勲功の賞として分け与えた。

そのような処置の後、陸奥出羽の両国も平均なさしむべしとて、同十四日に秀吉公は小田原を発した。
前田利家父子、宇喜多秀家、蒲生氏郷が秀吉公より先陣の命を蒙り、その他の諸大将も先隊後躯の
列を守り、順々に打ち発った。数ヶ国の大軍が昼夜を分かたず野も岡も平押しに押し行き、
五里七里の間には、神社仏閣市店農家に軍勢の宿と成らない所は無かった。

そういった中、長岡幽斎法印玄旨は病気によって休暇を賜り、同十五日足柄竹ノ下より甲斐国に入り、
信濃路を経て京へ戻った。

秀吉公の方は、「このついでに鎌倉を一見したい。」と、相州藤澤駅より駕を枉げられ鶴ヶ岡の
八幡宮に参詣された。参詣が終わって右大将家(源頼朝)の廟所を尋ねられ、白旗の社(白旗神社)で
あることを申し上げると、そちらに詣でられ戸帳を開かれると、頼朝卿の影像をつくづくと眺められ

「おおよよ微賤より起こって天下一統に切り従え、四海を掌に握った者はあなたとこの秀吉のみである。
しかしながらあなたは多田満仲の後胤であり、王氏より出てからもそう隔たっていない。その上、
先祖に伊予守頼義、陸奥守義家が相続いて関東の守護をなし、故に国侍に馴染みも多く、被官の筋目が
有るのを以て流人の身であるといっても、義兵を挙げるや否や旧好を追って東国武士が属従し、
速成の大功を建てられた。

一方で私は氏も系図もない匹夫より出て、茂みの中から世上を靡かせたのだから、あなたよりこの秀吉の
創業の方が大なること明白である。しかし何れにしてもあなたと私は天下友達と言うべきであろう。」

そう言って影像の肩先をほとほとと叩き、からからと笑って立ち下がられた。扈従の者達も興に入り
「誠に活気の大将である。」と言わぬものは居なかった。

惣じて殿下の大胆闊達な事はこの話だけではない。宇都宮に出馬された砌に、御伽衆が侍座して
夜話をしていた折に、佐野天徳寺上杉謙信の、信州川中島の戦い、常州山王堂の戦いなどを語り、
「彼が勝れて剛絶なる大将であった証拠は、輝虎が関東へ越山するとの話が聞こえれば、諸家の
輩は一人ひとり身構えて手袋を引き弓矢を伏せた。そして謙信が帰陣して三国峠を越えたと聞くと、
大夕立と雷鳴が過ぎ去った跡のように、ようやく息をついて安心して座したものであった。」
と話した所、殿下はこれを聞かれると

「天徳寺よ、その信玄謙信の両入道も早くに死んで幸せであったな。今まで生きていたなら
私の今度の帰洛の時に、乗輿の先に立たせ、朱柄の傘、大長刀を担がせ力者として供をさせた
だろうに、早世して外聞も能く名を残せた。何が座備、車懸りか、戯言である。」

そう宣われた。これには天徳寺も言葉を失い苦笑するより無かった。

(関八州古戦録)



401 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2019/12/07(土) 10:10:30.46 ID:JKruuVtX
関連
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『秀吉の大器』


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車懸りや座備が何だというのか


402 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2019/12/07(土) 10:20:18.14 ID:JKruuVtX
これも関連に追加
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豊臣秀吉、成り上がり者の心意気・いい話

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豊臣秀吉、天下人の自信

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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    やっぱりこのときの秀吉の無敵感すげぇわ

  2. 人間七七四年 | URL | -

    根っから自分より偉い奴は存在しないと思っていただろうな 秀吉

  3. 人間七七四年 | URL | -

    海外への強い関心とか、信長の影響を強く受けたと思しき部分もあるけど、内心じゃどう思ってたんだろうな。
    信玄や謙信と同じく小馬鹿にしてたんだろうか。

    ちなみに信玄はともかく、謙信とは一度交戦して負けましたよねしかも戦犯貴方で。太閤殿下?

  4. 人間七七四年 | URL | -

    ※3
    あれは謙信の書状にしか出てこないし、そもそも秀吉はその前にやらかして謹慎させられとるから交戦しようがない

  5. 人間七七四年 | URL | -

    手取川って上杉側にしか資料なくて実態がよくわかってないのでは?

    秀吉自身がどうも自分より無能な奴が自分より偉いというのが許せないってのがあったと思うが

  6. 人間七七四年 | URL | -

    頼朝「俺に絡むと3代持たないよ」

  7. 人間七七四年 | URL | -

    頼朝「子孫が大事なら、嫁は慎重に選べよ」

  8. 人間七七四年 | URL | -

    その後1615年…

    豊臣秀吉「頼朝公、天下友達取り消しな!嫁に恵まれなかった友達な…」

  9. 人間七七四年 | URL | -

    頼朝は誰かに一国一城の主にしてもらってことなんてないけどな

  10. 人間七七四年 | URL | -

    その信玄にこてんぱんにされた家康に負けたくせに

  11. 人間七七四年 | URL | -

    米10 状況見てから言おうよマジで
    三方ヶ原は誰がやっても負けるくらいの無理ゲーやし

  12. 人間七七四年 | URL | -

    その信玄が負けた小田原城を、更に惣構え化した強化小田原城に勝ってるからセーフ

  13. 人間七七四年 | URL | -

    三方ヶ原は織田の援軍が二万はきてるといわれているので、兵力は互角

  14. 人間七七四年 | URL | -

    信玄謙信氏康元就あたりはいい時代に死んだよ
    お陰で今でも人気だしゲームでもパラメータ高いんだから

  15. 人間七七四年 | URL | -

    ※13
    仮想戦記みたいだな

  16. 人間七七四年 | URL | -

    ※11
    信玄「本気で攻めてねーし、無駄だから数日で帰ったし」

  17. 人間七七四年 | URL | -

    >常州山王堂の戦いなどを語り

    天庵様「儂の事を語るとは気恥ずかしいのう」

  18. 人間七七四年 | URL | -

    米14
    逆に趨勢が決まったころに出てきた政宗も
    滅亡するほどの大敗してないからパラメータ高いよな

  19. 人間七七四年 | URL | -

    ※15
    織田の援軍3000説ってのは江戸時代中ごろの仮想戦記である織田軍記や明智軍記による
    甲陽軍鑑など比較的古いものは織田の援軍は19000、酒井家の記録でも二万、佐久間軍記でも15000ほどとある
    佐久間や林平手など織田家の重臣が勢ぞろいで援軍にいって3000とか5000ってのはほぼありえないわけで
    兵力はほぼ互角だが、家康がうってでた結果大敗してしまったというのが真実だろう
    弁護するなら織田のほうが兵力が多く、織田の重臣が参加しているため、家康は与力に近い形になり指揮権をもっていなかった可能性ならあるね、織田家の重臣が参加する場合、家康など従属大名は与力扱いなので

  20. 人間七七四年 | URL | -

    ま、仮に織田が2万の援軍を送ってたにせよ、分散配置されて浜松城に2万全てが居た訳でも無いかも知れんがね。

  21. 人間七七四年 | URL | -

    2万と言っても三河と尾張の国境に兵割いたりしないといけないから、浜松に来たのが3000くらいでも不思議はないだろう

  22. 人間七七四年 | URL | -

    三尾国境に展開した兵は自領の守兵であって、援軍とは言わん。
    実際に、20000が三河に入っていたとしたら、指揮権は確実に織田側の主将(佐久間か)に来るだろう。
    出撃決定に家康が関与してたかも疑わしくなるな。江戸期に成立した書物が織田側の主導権を否認するために関与の度合い自体を小さくしようと試みた可能性もないでもないが、そもそも偶発的戦闘から大規模会戦に発展した説もあったような。

  23. 人間七七四年 | URL | -

    織田の援軍の指揮権は織田方に有るとして、2万全軍が三河に入ってても武田軍は浜松城以外も攻める可能性があったから織田の援軍2万が全軍浜松に詰めてて、三方ヶ原の戦いに参戦できて互角の戦力だったかと言うとそれも疑問符付くと思うけど。
    三方ヶ原開戦の契機しかりで断定は難しいよね。

  24. 人間七七四年 | URL | -

    当時の佐久間、林などの所領を考えると2万はフカシ過ぎだな

  25. 人間七七四年 | URL | -

    ※22
    むしろ江戸時代成立の書物なので神君は寡兵だったので負けたにしたかっただけでは?
    互角の兵なので打って出たというのはそれなりに筋が通る
    自軍の兵の損耗を嫌がる佐久間が籠城策を提案するのも、自領が荒らされるのを黙ってみてられないとまだ若い家康が血気盛んに出撃していたとしてもおかしくはない
    ※24
    水野氏などもきてる尾張に所領もつ重臣が勢ぞろいしているのだから二万は別におかしな数字ではないと思うが
    尾張だけで50万石あって信濃よりも国高上なのは忘れてはならない

  26. 人間七七四年 | URL | -

    結局何時もの泥沼マウント合戦に入ってるわね…

  27. 人間七七四年 | URL | -

    だからさ、何で毎回該当する逸話スレ内で関係の無い合戦の話になってんの?
    ここ最近投稿する側のマナー悪すぎるだろ!
    其々が気をかけるだけでなく管理人もいい加減この手の流れに警告発しないの?
    自由って言っても限度があるでしょうよ

  28. 人間七七四年 | URL | -

    ※27
    関連する人物の話で話が逸れるのは別に目くじら立てる所じゃないんでない?
    問題はいつまで経っても終わらない感情混じりの堂々巡りになって収拾がつかなくなる事であって、そこに参加するも見ないフリするもコメ欄住人の自由なんだから、感情的にならずに節度持って会話してる分には問題ないでしょう。

    ただ、ここは逸話のまとめなのにやれ軍記物の記述だから云々とか言って、自らの論が正しいかのように話を進める人が最近見られるけど、それも反感呼ぶ元なんじゃないですかね?

  29. 人間七七四年 | URL | -

    ※27
    元の逸話から派生した話なんだから別にいいと思うぞ
    マナーが悪いとか独善的な価値観でキレてんじゃねえよ。マナー講師かお前は

  30. 人間七七四年 | URL | -

    ※29
    なら貴方は他人に対して褒められる態度取ってるのかな?
    他人に言うのなら、まず自分からじゃないの?
    私には貴方こそ何をそんなに勝手にキレてるのって感じだけど。

    あと、最近確かに脱線する傾向が強いのも事実。
    幾ら関係のある話だから~と言っても、それをどう捕らえるかは
    それこそ千差万別じゃないの。
    自分達がしたい話だからって言う態度もどうなん?

  31. 人間七七四年 | URL | -

    喧嘩しないことが何よりのマナーですよ?

  32. グレタ・トゥーンベリ | URL | -

    ※30
    >ここ最近投稿する側のマナー悪すぎるだろ!

    この周辺の書き方が※29氏の気に触ったんじゃないですかね?
    ネチケットと言う懐かしい言葉も有りますが、個人の考え、マナー、人それぞれですが最初に強い言葉で他者に当たった時点で火種の元だと思いますよ。

  33. 人間七七四年 | URL | -

    管理人さんはただの悪口合戦にならない限り削除しない方針だろうし、そのおかげで記事とは離れていても興味深い雑談になることもあるから、今のままでいいんじゃない。
    変なコメはスルーで。

  34. まとめ管理人 | URL | -

    ともかく出来るだけ感情的に成らず、逸話の内容についての議論からあまり乖離しないよう、
    どうかお願いいたします。

  35. 人間七七四年 | URL | -

    ※33
    >変なコメはスルーで。
    ここ一番大事
    キッズはこれが分からんのだ

  36. 人間七七四年 | URL | -

    皆の物、とりあえず茶会をして落ち着こうぞ
    場所は帰雲城で

  37. 人間七七四年 | URL | -

    新年会に良さげでござるな。
    では、1月18日に酒と肴を持って集まり候え

  38.   | URL | -

    口合戦は詰まった方が負け、という戦国の遺風ですかな
    いっそどこかで槍合わせへと移行していただきたいが

  39. 人間七七四年 | URL | -

    ↑スルー検定実施中

  40. 人間七七四年 | URL | -

    大内義隆「槍合わせとな!?」ボロン
    大崎義隆「己を解放してもよいのか!」ボロン
    蘆名盛隆「お応えしよう!」ボロン

  41. 人間七七四年 | URL | -

    ※40
    ちなみに男性の槍と槍を突き合わせる行為は兜合わせと言います(不必要な知識)

  42. 人間七七四年 | URL | -

    この間の日曜日のゲゲゲの鬼太郎もチン…ネタだったなそう言えば

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