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その時は秀吉に内通して

2020年12月19日 16:07

508 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/12/18(金) 22:06:27.21 ID:Z7QWz4kr
大和国は京都将軍家が末となり、武威が衰えた頃から天正の頃までは、国侍が相互に自立の
志を立てて、尽く戦国と成り、各地でせり合いが止まなかった。
そのような中で、筒井順慶は弓矢強く、殊に一門が広く有ったために、大半の国侍を討ち従え、
そして筒井という場所に城を築き居城とした。

さて、織田信長公が上方を御手に入れられた頃、順慶は明智光秀を頼んで信長公に出仕し、
松永久秀を倒し国中を従え、大和の旗頭となった。順系と松永については後に記す。

その後、天正十年六月、信長に対する明智光秀の逆心の時、光秀は筒井に使いを送り、

『信長公への怨み甚だにより、本能寺に押し寄せ、御腹を召された。それより二条の屋形に取り詰め
信忠公も御生害遊ばされた。しかれば、あなたと私との数年の親しみはこの時のためであり、
味方に与されるのであれば本望である。そうであれば、大和・紀伊・和泉の三ヶ国を与えるだろう。』

との内容を申してきた。順慶は家臣を集め、評議を行わせ様々な意見が出たが、家老達は何れも
「とにかく、明智の味方を仕るべきです。」との旨を申し上げた。しかしここで、松倉右近(重信)
がこう申した

「先ず出馬するという旨を、明智には御返答し、八幡山まで御出になり、彼の地は良き要害ですので、
暫くそこに御在陣されて様子を見られるべきです。定めて秀吉公は中国を引き払い打ち上がり、
明智退治を仕るでしょうから、その時は秀吉に内通して、逆徒を裏切るべきです。」

そう、たって諫めたため、順慶は一万余の人数で出馬し、八幡山に在陣していた所に、案の定
秀吉公が中国を扱いにして引き揚げ、尼崎に到った所に、順慶は使者を遣わし、明智に対して
裏切りを仕る事を申し上げると、秀吉公も御満足に思し召されたか、お頼みに成るとの御返答であった。

そして山崎表の合戦の時、秀吉公の先手、高山右近、中川瀬兵衛は明智の先手を突き崩したが、
この時筒井順慶も八幡山より人数を下し、淀川の辺りにて、敗軍の敵を五、六百ほど討ち取った。
順慶は、秀吉公に味方は仕ったが、勝負を見合わせた事について、秀吉公も無二の志とは思し召されて
いるものの、この時のことの故であろうか

筒井順慶は、信長公の時に、「相替わらぬ大和の大将である」と仰せ付けられていた。
そして秀吉公天下御統一の時、天正十三年、四郎殿(筒井定次)に伊賀一国を給わり遣わされ、
「伊賀守」と受領仕った。そして大和には、秀吉公の御舎弟である美濃守秀長に、紀伊・和泉・大和三ヶ国を
給わり御越になった。そして秀吉公の指図にて、筒井城を割り、郡山に新城を築き居城にせよとの事で、
郡山に城を取り立てたが、この縄張りも秀吉公御指図であった。
そこに秀長は在城し、大和の国侍達は何れも秀長の家来として成り置かれた。

大和軍記



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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    幽斎と順慶が光秀に付いた世界線も見てみたかったな

  2. 人間七七四年 | URL | -

    米1
    KOEIイフシナリオでありそう

  3. 名無しさん | URL | -

    友好度を一定以上あげると天王山の戦いで細川筒井が援軍に来るイベントならあったな

  4. 人間七七四年 | URL | -

    後生から見たら無謀にも思える光秀の謀反だけど、信長討って近畿でそこそこの軍勢率いてる光秀に「あんたには与しません」って堂々と宣言するのって相当ハードル高いだろうしな…
    蒲生・細川親子、順慶らは本当に上手くやった

  5. 人間七七四年 | URL | -

    確かに。でも相手が信長だと「いやひょっとしたら生きて逃げ延びてる可能性も」って思っちゃうトコロもあったかも

  6. 人間七七四年 | URL | sSHoJftA

    洞ヶ峠あらため八幡山

  7. 人間七七四年 | URL | -

    近江の阿閉や若狭の武田などは、どう思って光秀についたんだろうか

  8. 人間七七四年 | URL | -

    ※5
    だからこそ信長が死んだ事をはっきり示す必要があった訳で、そこで死体を渡さなかったという点ではむしろ信長側が戦略的には勝ったといえるのかも

  9. 人間七七四年 | URL | -

    ※7さん
    個人的な感想ですが、阿閉は秀吉と遺恨があるし、信長に対して自分の扱いに対しての不満が
    あったんじゃないかと思ってる。
    若狭武田家は織田家に殆どの領地を取られ、丹羽に守護も持ってかれたから、
    それを取り戻したかったからだと思う。

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