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三浦浄心による、『男歌舞伎』体験レポ

2021年01月29日 15:23

893 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/01/29(金) 13:19:09.46 ID:RLTf+xS9
三浦浄心による、『男歌舞伎(遊女歌舞妓)』体験レポ

さて、中橋(日本橋と京橋との中間にあった堀割に架かっていた橋)にて幾島丹後守
歌舞妓有りと高札が立てられると、人集まって貴賤群集を成し、出るを遅しと待つ所に、
和尚(師匠)が先立って幕を打ち上げ、橋掛かりに出てきた。その姿を見ると、
いと花やかなる出で立ちにて、黄金作りの刀脇差を差し、火打ち袋、瓢箪などを腰に下げ、
猿若(下人)を伴に連れ、そぞろ立ち浮かれたるその姿は、女とも見えず、ただ端正な男であった。
古の、陰陽の神と云われた業平の面影があった。

芝居桟敷の人々は、首を延ばし、頭を叩いて、我を忘れて動揺した。
彼女が舞台へ出ると、さらに猶、近増さりする顔容は、誠に楊貴妃が一度笑めば、六宮に顔色無しと
云われている通りであった。芙蓉のまなじり、丹花の唇、花を飾ったような形で、これを見ては、
いかなる塔の澤に引き籠もり、念仏三昧の坊主頭の上人、天台山四明の洞に、一心三観を宗とされた
南光坊であっても、心迷わないという事が有るだろうか。

秘曲を尽くす舞の袖、容顔美麗に優しい事は、源義経の思い人、舞の上手と聞こえる、磯の前司の娘である
静御前や、唐土の皇帝が恋い焦がれられたという大織冠の乙姫も、これにはどうして優るであろうか。
このような美しき立ち姿に、見惚れ迷わないという人は、鬼神よりも猶恐ろしいと言うべきであろう。

その他、花を嫉み、月を妬むほどの女房たちを、同じ様に装束させて、齢二八(十六歳)ばかりであるが、
見目形、絵に描いたとしても及び難きほどであり、彼女らが花の袂を重ね、玉の裳裾を列ね、
五十人、六十人、みな美しい顔立ちで、花車なる花の色衣に、真那盤、古伽羅、紅梅伽羅といった
香を焚き染めて、歌舞妓を踊り、一同に袂を返して扇ぐ風に、その匂いが四方に香ばしく、
まるで春の園に蝶や鳥が、散り舞う花に浮かれつつ、勢いよく立っては入り乱れ、左右に分かれる
舞の袖、これには五節の舞姫も、かくやとこそは思われた。
史記に「長袖善く舞ふ 多銭善く商ふ」と云っている事も、思い知らされた。

さてまた、床几に腰を掛け、並び居る連れ三味線が、歌を上げてはかき返し、今様の一節であろうか
「夢の浮世にただ狂え とどろ、とどろと鳴る雷も きみと我との仲をば裂けじ」
との歌の中に、師匠の舞い遊ぶ、姿優しき花の曲、これこそ誠に、天人の遥迎ではないだろうか。

「天津風 雲の通路 吹きとぢよ 乙女の姿 しばし止めん」と、名残を惜しむ舞歌の曲も、
早くも入相に成ると、鼓、太鼓や笛の音の拍子と合わした足踏みに、心は空に浮かれ。
「今生は夢の浮世である。命も惜しくない、財宝も惜しくない」と、貴賤老若、この道を好いて、
惚れ人となった。

古語に「一度顧みる時は城を傾け、二度顧みる時は国を傾ける」と云う。
そして仏は「一念五百生、けねん無量劫」と説く、
また宝積経に「一度女人を見れば、眼の功徳を失う。例え大蛇を見ても女人をば見るべからす」
と戒めている。
さてまた、外面は菩薩にて、内心は夜叉のごとし、とも説かれている。
誠に女の面は菩薩に似て、心は鬼なのだ。

伊勢物語に「つる草や雑草が生えて荒れた宿が、薄気味が悪いのは、一時のことにもせよ、
稲刈りをしようとすると鬼が集まることだ」と読んだのも、これは女を鬼と云っているのだそうだ。
彼女らは男を惑わす魔王であり、女に心を許すべきではない。

『慶長見聞集』



894 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/01/29(金) 14:59:17.52 ID:eVNvVloZ
>>893
実際顔見たことないくせに業平がどうとか楊貴妃や静御前や乙姫がなんだとか
よくもまあ恥ずかしげもなく書けるもんだと思う
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    まあまあ、現代だってNASAとか行った事もない木星の衛星エウロパの氷の下の想像図とか平気で「NASA公式の物です」って公開したりしてますしおすし

  2. 人間七七四年 | URL | -

    美男美女の代名詞に馬鹿みたいな興醒めのツッコミ

  3. 人間七七四年 | URL | -

    「前田敦子はキリストを超えた」とかいうくっさい本があるくらいなんだぜ
    現代人が昔の人のこと言えた義理ないわ

  4. 人間七七四年 | URL | -

    絶賛から最後いきなり賢者モードみたいになったみたいで笑う

  5. 人間七七四年 | URL | -

    業平や楊貴妃とかならまだましやん
    今は平気で神回とか神対応とか人間ですら無い表現で称賛しているし

  6. 人間七七四年 | URL | -

    まあ、定型表現ばっかで文才ねーなコイツとは思う

  7. 人間七七四年 | URL | -

    二階堂盛義「ひょえー!ありえない!何で私がこんな顔芸を!?」

  8. 人間七七四年 | URL | -

    「芙蓉のまなじり、丹花の唇、花を飾ったような形」
    ※6これも定型表現?
    当時の化粧法が偲ばれると思って思い描いて楽しんでた。
    特に花を飾ったような形の紅の描き方が当時の最先端かと思ったものの、唐宋の時代にもありそうな形ではあるな。

  9. 人間七七四年 | URL | -

    現代の宝塚の熱狂だよなあ。
    間近で舞台を見られて袖がひらひら華やかに舞って香まで漂ってきたとあっては、悩殺されずにいられない。

  10. 人間七七四年 | URL | -

    ※8
    そう。定型表現。
    ただし唐宋以前の支那の化粧法に、顔に模様を描くんだか張り付けるんだかするのは有った気がする。
    少なくとも慶長見聞集の筆者は具体的な事は何も考えずに美人の形容はこうだろって書いてると思う。

  11. 人間七七四年 | URL | -

    ※10
    おお、ありがと。
    もっと具体的な化粧法を記録してくれれば良かったのになあ。

  12. 人間七七四年 | URL | -

    日本の1000年に一度の美少女は橋本環奈さんということで決定したからな
    残念ながら出雲の阿国は次点以降ってことになるよ

  13. 人間七七四年 | URL | -

    自分だって阿国を実際に見たわけじゃあるまいに(笑

    894みたいな冷めてる俺カッケーしてるメンタル中学生も
    実物見たら「これはまさに○○のような~」ってオタク特有の早口で喋り出すかもしれないぜ

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