600 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/02/23(火) 14:14:56.86 ID:ciKhsDbE
古田織部殿の茶湯が盛りであった頃は、遠国よりも多くの人が伏見へ登り逗留して、
織部殿の手透きを伺って茶湯を所望していた。
織部殿の殊に気に合った塗師の道恵という者、都に住んでいたが、織部殿の余勢によって、
茶湯も家業も上手であると、京都の人々は褒めそやし、自身も運も良さを自慢していた。
その頃、田舎に住んでいる士が四、五人打ち連れて伏見へ赴く途中、道恵の家の側を通り、
そこで案内を通してこのように伝えた
「我々は伏見へ赴く者たちなのだが、織部殿の所にも折々出入りさせて頂き、そちらのこと、
かねてより承っている。このような折から幸いに思い、寄って御茶を所望仕りたい。」
これに道恵は喜び
「丁度釜の湯も湧いています。よく我が家を訪ねてくれました。」と、露地の戸を開き招待した。
互いに挨拶事が終わると、茶請けとして煎海鼠、串鮑、蒲鉾の煮染めた物を出し、茶を点て仕廻し、
時宜を述べて各々立ち帰った。
道すがら、道恵の作意について彼らの褒貶はまちまちであったが、その中で千田主水が難じたのは
「今日の茶請けは潔くなかった。不時の作意も無く、ただ残り物の類を出されたようで、気分が
良くない。道恵の茶湯には奥ゆかしさがない。」
そう言うと、聞いた人は皆是に同意した。
このような事は茶湯に限らず、時により人により、よくよく遠慮があるべき事である。
(備前老人物語)
601 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/02/23(火) 16:39:36.11 ID:l3tNfJO0
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-3557.html
千利休と親しい侘茶人
蒲鉾そのまま出すと前もって来ることを知ってたな
と言われるし
煮染めにすると残り物みたいだと言われるし
602 名前:人間七七四年[] 投稿日:2021/02/23(火) 21:21:11.16 ID:vk/HjP/K
こうして、京都市街の住民は不意の来客、ことに好まざる相手に対してはぶぶ漬けを出す様になったと言う。
(民明書房刊『日本全国県民性起源』より)
古田織部殿の茶湯が盛りであった頃は、遠国よりも多くの人が伏見へ登り逗留して、
織部殿の手透きを伺って茶湯を所望していた。
織部殿の殊に気に合った塗師の道恵という者、都に住んでいたが、織部殿の余勢によって、
茶湯も家業も上手であると、京都の人々は褒めそやし、自身も運も良さを自慢していた。
その頃、田舎に住んでいる士が四、五人打ち連れて伏見へ赴く途中、道恵の家の側を通り、
そこで案内を通してこのように伝えた
「我々は伏見へ赴く者たちなのだが、織部殿の所にも折々出入りさせて頂き、そちらのこと、
かねてより承っている。このような折から幸いに思い、寄って御茶を所望仕りたい。」
これに道恵は喜び
「丁度釜の湯も湧いています。よく我が家を訪ねてくれました。」と、露地の戸を開き招待した。
互いに挨拶事が終わると、茶請けとして煎海鼠、串鮑、蒲鉾の煮染めた物を出し、茶を点て仕廻し、
時宜を述べて各々立ち帰った。
道すがら、道恵の作意について彼らの褒貶はまちまちであったが、その中で千田主水が難じたのは
「今日の茶請けは潔くなかった。不時の作意も無く、ただ残り物の類を出されたようで、気分が
良くない。道恵の茶湯には奥ゆかしさがない。」
そう言うと、聞いた人は皆是に同意した。
このような事は茶湯に限らず、時により人により、よくよく遠慮があるべき事である。
(備前老人物語)
601 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/02/23(火) 16:39:36.11 ID:l3tNfJO0
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-3557.html
千利休と親しい侘茶人
蒲鉾そのまま出すと前もって来ることを知ってたな
と言われるし
煮染めにすると残り物みたいだと言われるし
602 名前:人間七七四年[] 投稿日:2021/02/23(火) 21:21:11.16 ID:vk/HjP/K
こうして、京都市街の住民は不意の来客、ことに好まざる相手に対してはぶぶ漬けを出す様になったと言う。
(民明書房刊『日本全国県民性起源』より)
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コメント
人間七七四年 | URL | -
茶請けが全部酒の肴になりそうで心の涎が出た
( 2021年02月23日 18:35 )
人間七七四年 | URL | -
※1
同意。 煎海鼠、串鮑、蒲鉾の煮染めた物
( 2021年02月23日 19:09 )
人間七七四年 | URL | -
その場その場で相手をもてなす為の物をほいよ~っと用意するのは
、
個人の才覚も影響するものなんだろうが、
それにけちをつけるというのも客の姿勢を問われてそうにも思える。
もてなしで互いの仲がより親密になれたなら果報だし、
どうにも気に入らなかったとしても縁が出来た事には違いはない。
茶の湯が奥深い、難しいものだと言われる一端を表している話しのように思う。
( 2021年02月23日 19:16 )
人間七七四年 | URL | -
北条時頼「やっぱり急な接客には自分の大事な物を壊してでも饗さないとね、盆栽を薪にするとか」
劉備「奥さんコロして食べさせるとか」
曹操「でも豚をシメる時は自分がコロされるかもって勘違いして急に襲いかかってくる奴もいるから気をつけないとね」
( 2021年02月24日 14:47 )
人間七七四年 | URL | -
コメでも出ているが
へうげものでも描写された、利休の場合で「侘茶人のもとへ突然訪問したらかまぼこを出されたから不機嫌になった」というエピソード、不機嫌になった理由は真逆というのが面白い
利休が道恵の茶の湯を出されたら「急な客にあり合わせでも心尽くしなもてなし、これぞ誠の侘茶」と感動しただろう
織部時代に、織部流らしく、流行が侘よりも「もてなす心をひけらかす」ような雅・艶な茶の湯になったんだろうか
( 2021年02月24日 16:50 )
人間七七四年 | URL | -
※5
そもそも道恵の知己(古織)の知己にしても、請われて寄った客でもないのにちょっと偉そうではないかと言う気もしないでもない。
逆に道恵さんはようやっとるよと。
価値観の違いはあるにしても後からこんなこと耳に入る形で言われたら次からは2度とクンナ
ってなりそうな…
心が狭い自分は利休なら喜んだかもとかより、そっちの方に心が行ってしまう。
( 2021年02月25日 08:18 )
人間七七四年 | URL | -
そういう事じゃなくて「急な話なので何も有りませんが貴方達の為に無理して出しました」感が足りないって意味じゃないの?
同じ物出すにしても「頑張りましたけどコレが限界です」感を出すとか、せめて花を添えたりして「精一杯歓迎してます」感の演出をする事が重要って話じゃないかな?
( 2021年02月25日 12:13 )
人間七七四年 | URL | -
※7
本文中の不時の作意とか、客側の評価・印象としてそう言う気持ちになったってことか。なるほど。
( 2021年02月25日 13:04 )
人間七七四年 | URL | -
>不時の作意もなく
あ、それそう読むのか。むぅ、深いな
( 2021年02月25日 16:45 )
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