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槍下手の本多平八郎も面白し

2021年05月21日 16:58

744 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/05/21(金) 13:13:57.45 ID:5HKrj848
本多家の譜代の士、小野某の家の記録に云う、

(本多)忠勝様は世に名高き蜻蛉切の槍にて数十度と功名、天下にその聞こえあれど、
槍術は至ってお下手なり。ご隠居後、桑名にて家中の若侍相手に槍の試合をなさる。いつも
入身をなさるに、殊の外拙にて、まだろくろく修行も積まぬ若者にも突かるる事あり。
ある時入身を突きたまうに、槍先不器用にて一向に利かず、遂にその時も負けたまう。

林氏の物語に
『忠朝様、表書院にて槍の師匠と頻りに稽古をなされ候。そこへ忠勝様御出なされ、かの者は
いずれの者なるや、家中には見覚えぬ顔なりと仰せらる。その者平伏して居れば、傍らより
忠朝様、これは槍の指南仕り候、何某と申す者にて、信州の浪人に御座候、と申し上げる。

槍の指南なら拙者相手なるべしと仰せらるる。世に名高き忠勝様の御事故、槍の師匠も遠慮致して
御相手を致さず。「是非立ち会い候へ」とひたもの御勧めにて、「少しも遠慮なく突き候へ」と
仰せられ、御立ち会いなされたるに、最初は互角の槍と見え候ところ、忽ち忠勝様胸を突かれ、
続いて槍をはね飛ばされ、尻もちをつきたまふ。

大いにご立腹して、「ヤア誰かある、蜻蛉切をもて参れ」と呼びたまふ。師匠吃驚したり、はや
逃げ出し候事に御座候』

とあり。槍下手の本多平八郎も面白し。

また信州の保科弾正(正俊)は、世に槍弾正と呼ばれ、戦場にてはこの人の槍先に向かう者、
必ず斃れずという事なし。然るに家中の者を集めて稽古するに、いつも勝ちたる事なし。
稽古は至極拙なりと承り候と、『長谷川運平筆記』にあり。
実地の事は全く別なりと知るべし。
道場で叩き合う剣術、槍術すべて華法なれば、実地に臨んでは何に役にも立たぬものなり。

伝説研究・歴史之謎



745 名前:人間七七四年[] 投稿日:2021/05/21(金) 20:32:13.92 ID:ZuSEJof4
>>744
可児才蔵には宝蔵院流槍術を学んだばかりの頃はむしろ槍が上手く使えなくなったって言う話があったかな。
道場の教えが本当に実地では役に立たないのか合わなかったのか?何なんだろね

746 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/05/21(金) 21:44:39.04 ID:k7YOddEN
稲富「稽古で下手なのに実地で上手く出来るのかな?」

747 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/05/21(金) 21:56:18.10 ID:+qedGPpg
>>744
こういう話はよく聞く。
戦国武将からは外れるけど新選組の近藤勇、
道場ではどっちかてえと不器用な竹刀捌きだったそうだが実戦では滅法強かった。

748 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/05/21(金) 22:08:34.33 ID:BMBwzAZo
>>745
才蔵の場合は無手勝流の時は怖いものなしでガンガン突っ込んでいけたけど
なまじある程度槍を習ったら恐怖を感じ取れるようになってびびっちゃった
って事だったような

道場の教えが実戦で役に立つとか立たないという単純な話ではなく
個人戦と集団戦では強みが違ってくるという事だろう

749 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/05/21(金) 22:16:41.06 ID:i6H2cVOe
>>747
どっちかっていうと、天然理心流は柔術や他の武具術も含めた総合的な体系だからじゃねえかな。
竹刀だけに特化した剣術家と竹刀で試合したら、そら分が悪い。

総合格闘技の選手とプロボクサーを国際式ボクシングルールで試合させるようなもん

750 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/05/21(金) 22:53:40.71 ID:By0VHP+h
>>749
なるほど。
良い喩えで解り易い。ありがとう。
本多忠勝の件も何かその辺のことがあるのかな。

751 名前:人間七七四年[] 投稿日:2021/05/22(土) 15:59:31.94 ID:YXS2jksv
加藤清正が吉岡憲法に全く勝てなかったが、実戦では違うと槍甲冑を持ちだしたら、恐れ入ったように
憲法が振る舞ったって話はどこで聞いたんだっけかな

754 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/05/22(土) 20:22:30.66 ID:/PHcjahT
黒田家家臣、野口一成の槍術・いい話
の逸話でもあるけど
ゴッツイ籠手付けて左手で敵の攻撃を受け止めて
頑丈で切っ先だけ鋭い太刀で突き殺すなんて戦法
こんなの剣術的には大問題だけど
戦場じゃ有効だった訳だしな
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    ムキになる忠勝かわいい

  2. 人間七七四年 | URL | -

    TDKT「戦場では勝てば良かろうなのだぁ〜」

  3. 人間七七四年 | URL | -

    命のやり取りと平時の武芸は別ってことやね
    この辺は技術そのものより心持ちの方の問題かな。

  4. 人間七七四年 | URL | -

    そもそも戦場では純粋な一対一の場面なんてそうそう無いだろうしな

  5. 人間七七四年 | URL | -

    戦場での槍は集団戦闘が基本であり、でなければ乱戦が前提となり・・・
    必要とされ磨かれる技術の体系が根本的に違うんだろうな。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    馬上と徒歩でも違うだろうしな

  7. 人間七七四年 | URL | -

    黒田家の人(名前忘れた)も道場で幼稚だって笑われた時に、篭手で防いで突く、これだけで討ち取ってきたって言ってたなぁ。

  8. 人間七七四年 | URL | -

    誰だったか名前は忘れてしまったが、可児才蔵には必ず禄の半分を与える相棒が居て、この人は確か剣の達人だったハズ。しかし戦場での活躍はコレといって伝わってないんだよな。

  9. 人間七七四年 | URL | -

    >>5
    集団戦が基本なのは長柄足軽衆で
    侍は騎乗でも徒士でも集団戦はしない

    戦場では重厚な具足を着こんでる為
    ただ槍で突いても防がれる
    長宗我部元親が初陣で目を突け(無茶振り)と言われたように
    激しく動き回る相手の鎧兜の僅かな隙間を正確に突き通すか
    長い柄の先端に重い穂先が付いている点を活かして
    遠心力に物を言わせて思いっきりぶん殴る
    忠勝も後者のような槍の使い方は慣れてるだろうけど
    道場で防具も無しにつんつんするのはやる価値もない芸じゃないかな

  10. 人間七七四年 | URL | -

    平時の稽古・訓練の場でしかないから戦場とは緊張感も段違いだし後々には稽古も本身の刀槍や木剣から竹刀へと安全な物へ変わって行くからどれだけ実戦で通用するかは確かに疑問に思う。
    とは言え、結果的にスポーツ留まりでも反復練習を繰り返して武具を扱う動作を身体に覚えさせること自体は戦いを生業にする人にとっては無駄ではないと思うな。
    今だって戦いで必要な動作でなく仕事や作業、スポーツの動作でも、ちょっとやらなかったら鈍ると言うことも多々有るし。

  11. 人間七七四年 | URL | -

    >反復練習を繰り返して武具を扱う動作を身体に覚えさせる
    これが型稽古の成り立ちですな。
    野球の素振りなんかもこの効果を狙った練習だそうで、野球選手は他のスポーツに比べて、
    「自分の体を自分の思い通りに動かす」能力に長けているそうです。

  12. 人間七七四年 | URL | -

    特殊な化学プラントやってるけど
    試験だとわかっていると個人防護行動が優秀な奴と
    実働プラントでの突発試験で個人防護から救助・退避・隔離・除染までできるのは
    全く別人であることが多い
    忠勝なら現代に転生しても優秀なプラントエンジニアになっていると思う

  13. 人間七七四年 | URL | 8kSX63fM

    >>9

    侍は集団戦はしないのだとすると、その役割はどんなもんだったんだろう?
    重厚な防具に身を包んで馬に乗ったら馬がろくに駆けれないはずだし、一騎討ち専門ですってやろうにも雑兵だって兜首を狙うんじゃなかろうか。
    あと、重装備の井伊直政に対して軽装で機動力重視だったのが本多忠勝ってなんかで見たような・・・

  14. 人間七七四年 | URL | -

    >忠勝なら現代に転生しても優秀なプラントエンジニアになっていると思う


    敵味方からゴリラ呼ばわりされてそう

  15. 人間七七四年 | URL | -

    ※13
    足軽は基本的に生きて帰りたいので射程の長い武器を持たせて集団行動させるのがせいぜい
    だから足軽同士が対峙すると歩兵の集団の睨みあいに終始して戦線が動かなくなる
    侍は命を惜しまずそこへ突っ込んで相手の戦線をかきみだし、味方を有利にする働きをする
    敵の侍はそれを許さないように迎撃する(ここで一番槍や一番首が発生する)
    足軽で守って侍で攻め、相手の足軽が破綻したところへ味方の足軽が攻撃に転じる
    そうやって押し勝った側が戦術勝利というわけ

  16. 人間七七四年 | URL | -

    キレて鎧持ち出してきた清正はヤル気満々だろえし、かといって吉岡が清正殺すわけにもいかない。そりゃ誤り倒すしかないわな

  17. 人間七七四年 | URL | -

    旧日本軍の陸軍戸山学校の実戦剣術指導では、走り込んで袈裟懸けか、腹を突けといわれていたとかいう話があった。
    いろいろやっても、急場ではできないので、もうそれでいいよみたいな。

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