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屋形腹筋、いやいや

2021年06月15日 17:55

812 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/06/15(火) 16:37:37.15 ID:cRE8Iylx
上杉景勝は生まれつき言葉少なく、一代の間に笑顔を見た者も無かった。常に刀・脇差を
手にかけて居られた。

ある時、景勝に常々懐いて、飼っている猿が、景勝が脱いで置いていた頭巾を取り、木の上に登ると
座って、手を揃えて、座敷の景勝に向かってうなずいたのを見ると、にっこりを笑われた。
それが近習の者達も初めて見た笑顔であったという。

彼が城下八幡小路を乗物にて通られている所に、陪臣の徒士の若党が、伊達染めの帷子にて参り懸かり、
畏まっているのを景勝は見られ、

「好き若者である。立って歩むべし。男振りを見よう。」

と宣われたため、かの者立ち上がり、二反(約四メートル)ほど歩んで、また畏まったが、
景勝は俄に機嫌が変わり、大いに怒る有様にて「あ奴を牽いてまいれ!」と、徒侍に命じ、
両手を掴ませて前に引き寄せ

「己め、景勝を嘲弄せん事奇怪である!『屋形腹筋、いやいや(大笑いの御屋形様である、いやはや)』と
いう大紋を附けていたな!」

と、抜き打ちに誅殺された。
この若党は帷子の肩に「一手鏑矢」を付け、腹に「大筋」を付け、裾に射捨てた矢を紋に附けていたのを、
見咎められたのだという。
(つまり「鏑(矢)」が(肩)に、大(筋)が(腹)に、(射)捨てた(矢)、という事)

景勝は普段より、軍陣の時は勿論、或いは上洛、或いは江戸参府の時も、籠廻りは申すに及ばず、
供の者達まで、咳払いもせず、数百人の上下が無言で、足音ばかりにて通過した。行儀の正しきこと、
世に類なかった。

富士川の船渡にて、供の者達は舟に過分に乗ったため、川の途中で舟が沈もうとした時、
景勝が怒って杖を振り上げられると、それと同時に川の中に皆々飛び込み、泳いで渡ったため
召し船は恙無かった。士卒共が景勝を恐れること、このようであった。
長旅の途中であっても、馬にかける声の他は無言であった。

大坂の陣の信貴野口にて、先手の士寄り見物として、景勝の近習非番の輩が忍んで行った跡から、
景勝が一騎にて巡見に来られたのを見て、彼らは咎められるかと恐れ、鉄砲の玉が降り注いでいる
竹束の外に出て隠れた。敵よりも景勝を恐れたのである。

信州川中島合戰聞書并上杉家遺老談筆記

多分これはいい話として記録されているのだろうけど、極端な。



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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    前にテレ朝で国民が選ぶ、戦国武将総選挙
    みたいな企画があった時に上杉景勝にけっこう票が入っていた。番組内で票を入れた理由が出てたが
    「気弱だけどがんばったから」「優しいから」
    と完全に「真田丸」イメージで、こういう逸話とのギャップがすごかった

  2. 人間七七四年 | URL | -

    今川義元はかつて谷原章介でイメージ一新されたし、真田昌幸は今後暫くは草刈昌幸のイメージがついて回るだろう。
    大河ドラマの影響はなんだかんだでまだまだ大きいよね。

  3. 人間七七四年 | URL | -

    まあ草刈昌幸のイメージ≒丹波昌幸のイメージであるから、別に以前とそんなに変わらないカモ知れんが

  4. 人間七七四年 | URL | -

    若者斬った話は被害妄想というか完全に精神病んでるというか…

  5. 人間七七四年 | URL | -

    景勝が無口ってのはピンと来ない感じ
    家中宛の書状とかやたらに長文だし

  6. 人間七七四年 | URL | -

    ※5
    世が世なら「ネット上だと饒舌」というタイプ
    きっと上杉家の公式twitterはやたら更新頻度が高いに違いない

  7. 人間七七四年 | URL | -

    にしこり

    「にっこりを笑われた」部分は、原文?だと「莞爾と咲ひ給ひたるを」
    にっこりって漢字で「莞爾」と書くんだなぁと
    あと笑と咲は同じ意味だったのかと

  8. 人間七七四年 | URL | -

    コピペしといて今更だけど
    「にっこりを笑われた」になってる

  9. 人間七七四年 | URL | -

    寡黙だったのも猜疑心の強さを疑わせるエピソードになっとる…

  10. 人間七七四年 | URL | -

    この逸話だけ読むと、動物にしか心開かんし、些細なことで難癖つけられて斬られるって、もう完全に権力者故の孤独に陥ってるじゃないか…

  11. 人間七七四年 | URL | -

    *3
    結局、今も未来も過去になっていくんだ

  12. 人間七七四年 | URL | -

    こういう難しい人に全幅の信頼置かれる兼続がどういう存在かわかるというもの

  13. 人間七七四年 | URL | -

    アルベルト・シュペーアかマルティン・ボルマンのどっちかやな

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