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運命の不足は何を貪って取りなさる

2021年10月04日 16:57

82 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/10/04(月) 01:23:04.87 ID:LjREf0ve
(前略。東大寺大仏殿の戦いで松永久秀が東大寺に火を放つ)

三好家の兵威ここにおいて挫け、松永もまた孤軍となって天下の人望に違えた。

君臣の道を失って己が利をほしいままにする時は、天命に逆らって久しからず
して滅びる。道によって身を滅ぼす者は佳名を後世に伝える。利によって身を
滅ぼす者は汚名を後世に流す。

人生50年といえども明日の滅びを知らず。名は永久にして天地とともに存在
する。どうして人がこれを思わないだろうか、時の人は後世に言い伝えて曰く、
「永禄の十の十月十日の夜奈良の大仏焼ける。亥の時」という。

松永弾正(久秀)は西京の城(多聞山城)を築き四壁を惣楼にして狭間を明け、
門戸もその楼の下を通したので人力をもって攻め入るのは難しい様子になした。
溝は深く塁は高く、険要の構え城である。

兵糧は3年分あり、長き謀には稲穂を積み干飯を庫に入れ、芋莖、干菜、焼塩、
塩噌、干魚、荒布、和布、海藻、薬種など、薪は土居に築いて炭は地中に埋め、
秣、糠、藁、馬食を足らせ、木実を集めて油を調え、鉄、銅、鉛は踏石として、
掻楯、輪木、車菱、車松明、雨松明、石火砲石、飛礫石、水用の積まで細密に
詮議して欠けることのないようにした。

そして一行の札を立て曰く「この城において不足の物あらば添札をもって申し
出すように」。

ある時、添札が立ててありこれを見ると「財物で足りないものは民を貪りこれ
を取る故に不足なし。しかし、運命の不足は何を貪って取りなさるのだろうか。
これが1つの不足であろう。惣百姓中」と立てていたという。

――『南海通記



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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    一かけ二かけ、三かけて…
    永禄十年十月十日、大仏焼いた父上のお墓参りに参ります
    なんて童歌はないだろうなあ

  2. 人間七七四年 | URL | -

    >鉄、銅、鉛は踏石として、
    有事があれば溶かして使うってことだよね
    まさに戦の知恵

  3. 人間七七四年 | URL | -

    運の補正がかかるものか。
    味噌は間に合っているからな!

  4. 人間七七四年 | URL | -

    大仏「十年後の十月十日亥の刻に合わせたほうが仏罰って感じが出るでしょ?」

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