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甲斐の徳本一服十六銭

2021年11月18日 18:41

796 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/11/18(木) 18:24:01.44 ID:Iw0YGaJa
明治大正の国学者、宮地厳夫による「本朝神仙記伝」から「甲斐徳本」
甲斐徳本は、永田氏なり、その父母及び生国を知らず。
伊豆、武蔵の間を行きめぐひ、薬籠を負いて、甲斐の徳本一服十六銭と呼びて薬を売り歩く。
江戸に在りける時、徳川大樹(秀忠)病あり。
典薬の諸医手を尽くせども、験(しるし)なかりけるに、誰が申しけむ、徳本を召して治療をなさしむ。
不日にして平癒したり。是に於いて大樹の喜悦ひとかたならず。
賞を遣わすべしとて、種々の物を与えられけれども、敢えて受けず。
ただ例の十六文に限る。薬料をのみ申し下したりければ、人皆その精白を称しあえり。
されば大樹にも此よしをや聞かれけむ。何にまれ願う事あらば、申し出よとの命しきりに下したりければ、
されば我が友のうちに、家なきを悲しむものあり。これに家を賜らば、なお吾に賜るがごとくにならむと申しし程に、
即ち甲斐国山梨郡の地に、金を添えて賜りぬ。
やがて其の者を呼びてとらせ、その身はまた薬を売りて行方知らずなりしとなむ。
この老翁の著述、「梅花無尽蔵」と題する書あり。
上梓して世に伝えられたり、薬方古によらずすこぶる奇なり。
薬名もまた一家の隠名を用う。けだし仙人の化身なるべしといえり。

秀忠の病気を治療しても十六文しか受け取ろうとせず
秀忠がもっと褒美を出したい、と言ったところ、友人のために家をもらい自分は去っていった清廉な名医・永田徳本の話。
中里介山「大菩薩峠」には十八文しか受け取らない道庵先生といえ名医が出てくるが、そのモデルかも。




797 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/11/18(木) 20:32:27.34 ID:9NtCvpnO
>>796
著名な話ではあるが原文で読むと味わい深いね
16文はざるそばの価格

799 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/11/18(木) 22:11:30.14 ID:c0Qw0QiZ
トクホンの由来である
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    トクホン先生の逸話は落語の人情噺感があって好き
    落語好きのパタリロ作者がオマージュしていた嫁姑の話が面白い

  2. 人間七七四年 | URL | -

    投稿者です
    江戸時代後期に書かれた伴蒿蹊「近世畸人伝」の「甲斐徳本」の項目とほとんど一致していたので
    出典とするならこちらの方がいいかもしれません

  3. 人間七七四年 | URL | -

    ゲーム太閤立志伝5ではお世話になったなぁ。
    ゲーム内の交易品の葡萄の説明に、栽培方法を広めた人として名前があったような記憶がある。

  4. コ | URL | -

    コメント見るまで大魔法峠と読んでしまった。
    鬼武蔵さんと肉体言語してきます。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    >>799
    偶然の一致からのネタかと思ったらマジだった

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