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林が心中尤も至極である

2022年01月14日 15:41

956 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/01/13(木) 20:19:07.80 ID:PO3NNjLJ
或る本によると、大阪冬の陣の御和睦の後に、塙団右衛門(直之)の古き傍輩・知音らが、彼の元を訪れ
音信をする中に、水野日向守勝成の家人である黒川三郎右衛門が訪れ来た。
直之は彼との物語の序に、このように問うた

「私の旧知である林半右衛門は、必ず訪ねに来るべき者なのだが、未だに音信がない。
もしかして今回、この表に出てきていないのだろうか。非常に不審である。」

三郎右衛門はこれを聞くと
「半右衛門は今、池田武蔵守(利隆)に奉公し、天満口に居る。」と云う。
団右衛門は即ち黒川三郎右衛門を以て林の方に申し送った

『古き傍輩たちは皆、私の所に訪ねて来ているのに、御身は遂に音信をしてこない。その心如何。』

林半右衛門はこのように返辞をした

『私が貴殿に無音である仔細は、我等は若年の時、「未来大名に成るとも、自身鑓を取り太刀打ちを致さずば
勇士の本意に非ず」と申し合わせた。であるのに先達て貴殿の夜討(本町橋の夜戦)の有り様を聞くに、
貴殿は本町橋の上に在って床几に腰を掛け、白旄(指揮官が指揮をするときに用いる旗)を取り、
その身は手を下さなかったとか。
貴殿は今年四十八であり、未だ勇力の衰える歳ではない。武辺に歳を寄せ勿体を付けた話を聞くのも
如何かと思い、使いも遣わさなかったのだ。』

黒川がこの旨を団右衛門に伝えると、彼は涙を浮かべ

「林が心中尤も至極である!私が夜討の時に大将の仕方を致したのは別儀にあらず、先の関ヶ原御陣にて、
私が足軽の備に張り出した事を、出過ぎた事だとして、故主である左馬介(加藤嘉明)は以ての外に怒り、
『己は一代、人数を引き廻す将にはなるまじ!』と叱った。
私はそれを無念に思い、一生に一度采配を取り、将帥の功を故主に見せたいとの念願により、夜討の時、
むず痒さを忍んで采配を取ったのだ。

最早望み足りたる上は、重ねての事あらば、太刀は目釘の堪える迄、鑓は端食抜ける迄働いて討ち死にを遂げ、
林に見せ申さん!」

そのように語ったと云う。

新東鑑



957 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/01/14(金) 11:57:41.86 ID:KJHdchY6
おや意外と統率値あるんだな
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    >>貴殿は今年四十八であり、未だ勇力の衰える歳ではない

    人生五十年って感覚は、当時も言うほど無かったのかな?

  2. 人間七七四年 | URL | -

    そもそも人生五十年て敦盛の人間五十年を現代人が誤読したのが始まりじゃないかな。
    他に出典あるのか知らんけども。
    第一平均寿命という概念が希薄だったんじゃないかなあ。
    漢詩文だと百年を人間の寿命の最大値と考えて百年=一生と表現することはあるが。

  3. 人間七七四年 | URL | -

    あれ人間(じんかん)五十年と読んで、人の世の50年なんて天界からみればあっという間、といった意味合いだそうですね

  4. 人間七七四年 | URL | -

    41歳で亡くなった割にすごい早死にの印象がある毛利のお兄ちゃんとかを思うと、戦国武将の40・50はまだまだ働き盛りだわね。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    今も70歳定年とか生涯現役の話があるけど、この大坂の陣の時も前線出る出ないは置いて、権現様含めて70とか結構なお歳の方々が参戦してるんだよなぁ

    島原の乱でも土佐藩から派遣された仙石久勝は80代後半だっけ?雨森氏康は75歳で三ノ丸辺りまで攻めて銃弾に倒れてるし、真田信之は90代で政務に復帰させられるし、昔は病気でもしない限りは定年なんて無かったのかね

  6. 人間七七四年 | URL | -

    ※3
    確か天界の一昼夜が地上の五十年に当たるとか言う話でしたかね

  7. 人間七七四年 | URL | -

    敦盛の「人間」が漢文のジンカンなのは間違いないと思うんだけど、いつからニンゲンの意味が生じたかは分からないんだよねえ。
    勝小吉が夢酔独言で人間、真人間をニンゲン、マニンゲンの意味で使ってるから幕末にはそういう用法があったのは確かだけども。
    鬼武蔵の人間無骨もニンゲンじゃないと意味が通らないから戦国時代にもすでにあったのかも。

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