fc2ブログ

我に均き者は誰ぞや

2022年01月23日 16:40

977 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/01/23(日) 14:41:00.24 ID:bLWM9gEP
戸次(立花)道雪は豊後の鎧岳の城主であった。能く士を愛護した故に、士卒は度々殊功を立てて
彼の危難を救った。

道雪には寵童があった。しかしこれに近侍の士が密かに情を通じた。道雪はこれを知れども
問い糾す事はしなかった。
近侍の士の友人が、道雪が近侍の士と寵童との関係を知っていることを識り、近侍の士を諌めて
出奔するよう促したが、近侍の士はこれを聴かなかった。しかし友人は近侍の士が刑せられることを
恐れて、道雪への夜話の中に、このような事を語った。

「誰とは知りませんが、東国の大将に愛幸の侍童が有りました。しかし大将の昵近の臣が、この侍童と
深夜枕を並べていたのです。大将は怒って昵近の臣に腹を切らせ、侍童は放逐しました。
これは主君の目を晦ました者ですから、理でありましょう。ただこれは商人が物語ったものですので、
その始末は詳細にはわかりません。」

と、作り話をして、道雪の返答を試みようとしたのである。
道雪は曰く

「大将たる者、忌妬の心がある時は狭窄となり、物を容れる度量が無くなる。
物を容れる度量が無ければ、士は悦服しない。
その他の理由で戦うのと、悦服して戦うのとでは、その強靭さは同日にも語れないほどの差がある。

暴悪の如きに対しては国法によって規制されるが、有り難い世俗の習いに染まって、その非を識らないという
類は、詐偽、欺瞞に比すべきではない。どうして命を断つに至るだろうか。」

友人は退いて、これを近侍の士に語った。近侍の士は感嘆斜め成らなかった。

ある年、道雪が薩摩の軍に攻め掛かられる事があった。道雪は城を出てこれを防いだが、薩摩軍に
中を絶たれて城に還り入ることが出来なくなってしまい、士卒の多くが壊乱した。

この時、かの近侍の士が大声で叫んだ

「鏃刀を帯びるのは畳の上で酒茶を喫するようなものだと思っているが、弱敵を破る事に何の
気勢があるだろうか。我等はこのような強敵に遭って命を損じ名を留めようと、兼ねてから言っていたでは
ないか!
今、俄に期せる事が来たのだ。面々、ここを逃げて誰に再び面と向かうことが出来るのか!」

そう勇んで敵を防いで大いに驍勇を奮った。この姿に壊乱していた者達も励まされて踏み留まり、
次々と闘死した。この間に道雪は城に還り入ることを得た。

ここでまた、近侍の士は叫んだ
「悉く城に還り入ろうとすれば。門を閉じることが出来ずこれに付け込まれ攻め落とされる事が有るだろう。
五人でも十人でも、ここで必死を極めて城を全うすれば稀世の忠義たるべし!
私は今、ここに残る。我に均き者は誰ぞや!」

そう言って鑓を膝の上に置いて平座した。これを見て残った者は三人。彼等は皆、敵五人七人を斬って
戦死し、両軍の目を驚かせた。

道雪がこの急難を免れたのは、近侍の士のおかげであった。

志士清談



978 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/01/23(日) 15:44:09.34 ID:uoK+KPRM
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-2351.html
立花道雪 、若者は斬らず


似たような話を前に見たと思ったけど
近習が女中と不義密通したところ道雪から許されて勇敢に戦死した話だった

979 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/01/25(火) 00:21:45.24 ID:mGEpN3uT
東国の大将って芦名さんかな

980 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/01/25(火) 20:03:27.94 ID:inYP3U+d
まあ作り話なんで、ここではないどこか遠くの話、ですな

981 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/01/26(水) 03:34:17.84 ID:nDDm0RyX
フェナリナーサ?
スポンサーサイト





コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    楚の荘王の故事と一緒だが、恋慕の相手が寵童ってのが日本の戦国時代らしいアレンジだ

  2. 人間七七四年 | URL | -

    安藤帯刀のトコロにガラの悪い連中を送った権現さまは爪の垢でも飲め

  3. 人間七七四年 | URL | -

    男色にアレンジしたのはこれが書かれた江戸時代じゃないかなあ。
    女中と臣下の不義密通を見逃すのは江戸時代では受け入れられづらかったのでは。

  4. 人間七七四年 | URL | -

    今の感覚だと、寵童を寝取ったのと妾を寝取ったのではインパクト違う。妾の方は絶対許せなそうな気がする。江戸時代も女だけ姦通罪があったくらいだから妾の方が許せないだろうなあ。衆道は廃れて行く時代でもあったし。
    戦国時代の感覚では、どうだったろう。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    ホモの力は愛にして忠義なり

  6. 人間七七四年 | URL | -

    『誰とは知りませんが、東国の大将に愛幸の侍童が有りました』
    信玄「ほう」
    『しかし大将の昵近の臣が、この侍童と深夜枕を並べていたのです』
    昌信「なんと」
    『大将は怒って昵近の臣に腹を切らせ、侍童は放逐しました』
    信玄「くだらぬ作り話よ。のう源五郎」
    昌信「それがしは御館様ひとすじゆえ ///」

  7. 人間七七四年 | URL | -

    道雪のも女中が元の話で寵童に変わったのは江戸時代の本からみたいだな

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://iiwarui.blog90.fc2.com/tb.php/13360-dbd57ff1
この記事へのトラックバック