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「鑓」について

2022年04月17日 17:07

126 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/04/17(日) 16:54:42.08 ID:sJ6g5wvU
或る本に、大阪夏の陣、五月七日の合戦で、徳川秀忠公の御先鋒・青山伯耆守(忠俊)の組の
土方宇右衛門、花房又七郎が先駆けして鑓を合わせた時、味方二人が突き伏せられ、さらに敵兵が
掛かってきたところを、土方、花房はその手負いの味方を肩に掛けて退いた。
この事を人々は「両人とも鑓を突いた」と申したが、家康公がこれを聞かれ、
「七日の合戦、総て鑓は無し。両人の者、鑓を突きたるにはあらず」
と仰せになられたが、各々に千石の加増があった。

古には弓箭にて戦ったが、楠木正成が異朝の鉾戦を模して、鑓を用い始めたのだが、猶弓箭についての
評価はしても、鑓についての評価はなかった。
武田信玄の時代より、専ら鑓についての穿鑿がされるようになった。

凡そ、敵味方が備を立ち寄せ、弓鉄砲にて迫り合い、その後戦いが激しくなってなって弓鉄砲も放ち難き時は
鉾矢形(ほうしぎょう)となる。その時進んで鑓を入れるのを「一番鑓」と名付けた。
それより二番鑓、或いは太刀鉄砲にて一番鑓の脇を結ぶのを「鑓脇」といい、またその時首を取ったのを、
鑓下の功名と言う。
又、この場で負傷した味方を肩にかけて退くことを、「場中に高名」と言い習わした。
又、敗軍の時、敵が小返しして働くのを突き伏せて首を取ることは「印」と言い、鑓とは言わなかった。
何れにおいても、強き働きのことを「鑓」と名付けたのである。

されば天文十一年八月、今川駿河守義元と、織田備後守信秀の合戦の時、三州小豆坂に於いて合戦があったが、
今川勢の四万騎が、一度に咄と討って掛かった所、織田勢の四千騎、乱れ立って敗北したが、
信秀の先陣である織田孫三郎引き返し討って向かった。続いて織田造酒之丞、下方左近、岡田左近、
岡田助右衛門尉、佐々隼人正、同孫助の七騎進んで敵を突き立てた、故に「七本鑓」と名付けられた。

又天正十一年四月、秀吉公と柴田勝家の合戦で「賤ヶ岳の七本鑓」と言うのも、敵兵が崩れて色づいた時の、
総懸かりの鑓である。

また未森城攻めで、前田利家卿の家人・山崎六左衛門は小太刀、山崎彦右衛門、野村巳下は鑓で戦ったが
(これは天正十二年、敵は佐々内蔵助(成政)である)、六左衛門が一番に首を取った事で、
利家卿より一番鑓の感状、並びに一万石の加増があった。
この時彦右衛門が「それがしこそ一番鑓なり」と争ったが、利家卿は御許容なく
「太刀は鑓よりも短い、故に先に進んでいたこと分明である」
と批判された。

また、垣越、狭間越、投突は「犬鑓」と言って弱き鑓とされているのだが、狭間より鉄砲を撃ち出す時に、
鑓にて狭間を閉じるに於いては「鑓」とすべき。又垣越もその時の状況によって判断される。
又投突も、合渡川の戦いの時杉江勘兵衛は踏み止まり、激しい戦いの場であったので投突にしたが、
これは犬鑓とは言い難いとされた。

さて、家康公が五月七日の戦いに「鑓は無し」と宣われたのは、仮にも秀頼公は主君である故の
ご思慮であったと言える。それは冬夏両度の御陣を、「相手は淀殿」と仰せになっていた事からも
思い量るべきである。名将の御一言は表向きの事ではなく、深い御智計があるものだと云われている。

新東鑑

「鑓」についてのお話



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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    当時の一般的な常識ではなく
    江戸時代に流行する甲州流軍学での話な

  2. 人間七七四年 | URL | -

    ヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリヤリ
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