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無類の剛の者なり

2022年05月08日 16:59

172 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/05/07(土) 18:21:40.53 ID:vcsZqKO6
慶長二十年五月二十日、大野修理亮(治長)の重臣で、大阪落城後捕えられた米村権右衛門が
召し出され、大阪城中に貯えた金銀についての巨細を尋ねられた。米村は、知らないという事を
申したが、これを聞いた奉行は「汝は修理亮の寵士である。どうして知らないという事があるか!」
と罵った。

それまで米村は稽首(頭を深くたれて地につけること)していたが、この言葉を聞くや額を上げ、

「これは御奉行の言葉とも覚えぬものかな!それがしは卑賎であったのを、主人の憐れみを以て、
士の中に入れて頂いた(別記に、米村は大野治長の草履取りだったとも言われる)。
その主人は大阪に在って、軍陣の成敗を執られていた以上、運命の存亡をこそ朝夕に計り続け、
曾て金銀財貨を心とせず。これを以て下賤の者と言えども、敵を討ち首をとらんとのみ思い、
他に思慮を巡らす事はなかった。これによって金銀財貨を見ること、芥の如し。

理を以て申せば、城中が戦に負けた時は、首領をも保つことは出来ず、千万の財貨が有ったとしても
何の役に立つだろうか。そして、もし勝軍いたせば、両将軍(家康・秀忠)の御腰の物までも皆
我らの物となり、求めずして財貨は飽き充るだろう。

言うべき旨があれば厭おうとは思わない。しかし言うべき理がないのなら、口を裂かれ
舌を抜かれても、何を述べようか!」

そう、憚る気色無く申したことを、大御所も聞き召され、「無類の剛の者なり」と、御赦免あった。

(新東鑑)



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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    なんで主人と運命を共にしなかったんですかね

  2. 人間七七四年 | URL | -

    まぁ恩はあっても生死を共にする義理はないレベルだったのだろう。

  3. 人間七七四年 | URL | -

    確か千姫の護衛として城を出てたような記憶が

  4. 人間七七四年 | URL | -

    外様大名の誰それと、誰それにいくら渡しました
    と適当に嘘こいて混乱を巻き起こせばいいと思うのだが。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    剛直ぶりを評価されたって逸話読んで
    嘘言えばよかったのに、って馬鹿なのか
    自分が頭が良いと思ってるタイプの馬鹿なんだろうな

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