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「大友興廃記」より「遣唐使の事」

2022年07月11日 18:33

288 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/07/11(月) 18:20:37.96 ID:cem3OHMR
大友興廃記」より「遣唐使の事」

大明国より唐船が豊後に天文十年(1541年)、同十二年、同十五年、永禄年間、天正三年(1575年)とたびたび到来し、猛虎四頭、大象、孔雀、鸚鵡、麝香、書画、錦繍綾羅、伽羅、猩猩の皮などがもたらされた。
そのため大友宗麟公もいろいろ進物を集め、金札銀札を調え、遣唐使を立てるために文武両道の達人を選ばれた。
ここに生国美濃の住人、齋藤某というものが国が乱れたため和泉堺に居住していたのを宗麟公が聞こしめし、使者をあもってめしだされた。
そののち入道して稙田玄佐と号した。
宗麟公より遣唐使を命じられ、いろいろ辞退したけれども再三の貴命、断りがたく了承し、金銀の王札、音物を携えて、数千里の海を越えて唐帝のもとで朝礼を拝した。
帝王より日本の勅使並みの扱いを受けたが、にわかに重病となり、帝より名医が差し向けられたが薬石効なく逝去した。
帝はこれを憐れみ国中の僧たちを集め丁重に供養し葬ったのち、玄佐の家人に種々の重宝を下賜した。
残りの者たちは帰りに嵐に遭い難破し、命からがら二十余人が宝物とともに帰朝した。
玄佐の嫡男虎松丸は三歳より母共に宗麟公の援助を受け、七歳の春より大友義統公に奉公しながら成長した。
なお稙田玄佐の先祖は清和源氏で多田満仲の頃より渡辺氏に入り(?)、藤原実綱と縁を結び、美濃斎藤家を継ぎ、数代を経たところ不思議なことがあった。
どこともしれぬ容姿に優れた女があらわれ奉公人となったが、一を聞いて十を知る聡明さであり、領主が言わぬうちから思い通りの働きをしたため、おおいに寵愛を受けた。
やぎて懐妊し、出産する段になって女は産室を作らせ、
「七日の間、どなたも入りませんよう」と伝えた。
三日を過ぎて領主は怪しみ、隙間からひそかに見たところ、恐ろしい姿の大蛇が子供を抱いて、赤い舌を出して子供を舐めていた。
領主は肝を潰し、人を集めて産室の扉を破って入ったところ、赤子だけで蛇は行方知らずであった。
産室は池となり、風の匂いがすさまじくなった。
その子を育てたところ、背中に巴の紋があり、子孫代々同じところに巴の紋が現れるようになったという。
これが稙田の起りであり、今に至るまで背中の紋は続いているという。

289 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/07/11(月) 18:28:06.43 ID:cem3OHMR
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-13394.html
一祐働きの事 付、月山の長刀
こちらの話に出てくる「植田玄佐鎮定の嫡男で善三郎」が虎松丸のことだと思われる。
同じ「大友興廃記」出典ではあるが、「稙田」と「植田」で字が異なっている。
ついでに新井白石「西洋紀聞」では豊後の領主とフランシスコ・ザビエルについてシドッチが語っている箇所で
https://ja.m.wikisource.org/wiki/西洋紀聞
按ずるに、フランシスクスは、漢に波羅多伽兒人、佛釆釋古者といふもの、卽此也、
豐後の屋形は、大友左衞門督入道宗麟也、其使せしものは、植田入道玄佐(玄佐、もと淸和源氏にて、渡邊の家をつぎ、又齋藤の家をつぐ、家紋巴なり、其子名虎松、時に三歲也といふ)もとは、美濃國齋藤の族也、
天正十二年に、宗麟がために使して、ローマに死す、西人懷にせし册子に、一道人の甁を持て、童子の頂に灌ぐ所を、繪かきし圖を指示て、これ豐後の大名の子の、法を受くる圖也といふ、但し豐後の屋形、其使等の姓名を問ふに、其姓名は、つたはらずといふ

と植田玄佐が明ではなくローマに行ったとしている



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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    背中の紋が火焔太鼓(炎の中に三つ巴)だったら、金田一耕助シリーズの「悪魔が来たりて笛を吹く」の「悪魔の紋章」そのままだった

  2. 人間七七四年 | URL | -

    あの万暦帝が一日本人如きにそこまで親身になるわけないと思う

  3. 人間七七四年 | URL | -

    この時代の人間は海外に対するあこがれとかが強かったんだろうな

  4. 人間七七四年 | URL | -

    植田玄佐が宗麟の命でゴアに出向いたロレンソ・ペレイラ(受洗後の名前)であるという説があるけど
    蛇の子孫、てキリスト教的にどうなんだろう
    と考えたけど、西洋にも蛇女の妖精メリュジーヌから生まれた勇士が十字軍で活躍してキプロス王になったという伝説があった

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