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造作も御座無き御宗旨かな

2023年03月12日 16:06

709 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2023/03/12(日) 15:33:30.91 ID:fYuFhMfr
内藤修理正(昌豊)の内方(奥方)の母が死去したが、この隠居は一向宗であったので、甲州の家の
とどろきと云う寺の一向坊主が尽くその葬儀に来た。

そのような中、他宗の葬儀の折のように、死者への膳wをいかにも見事にするよう内藤が申し付けたところ、
一向宗の出家たちが申すには
「我が宗の習いにて、御阿弥陀様へ能く食を進上申せば、他には要らぬことです。」
そのように申して亡者に食膳を向けなかった。

内藤修理は尋ねた、「それは一体どうして、阿弥陀に対してはそのように法外に立派にするのか」
上人はこれに
「阿弥陀こそ肝要なのです。他に食を備えるというのは迷いの心であり、一向宗から見れば他宗の方を
おかしく存じます。」と言われた

内藤修理は申した
「亡者が飢えればどうするのか」
上人答えて
「阿弥陀様にさえ食を備えれば、それが尽くの衆生への施しと成るのです。」

これを聞いた内藤は手を合わせて「さても殊勝である。他宗と違い造作も御座無き御宗旨かな。
一尊への施しが万人に渡るとは珍しき、先ず重宝なる一向宗かな」と褒めると、上人は悦んで
「去る程に、我が宗ほど殊勝なるものはありません。」と上人は自賛した。

すると内藤修理は、自身で上人の膳を据え、残り百人余りの坊主たちへは一切膳を据えなかった。
「これはどういう事か」と坊主たちは抗議して膳を乞うた所、そこで内藤修理は

「おや、御口の違う事ではないか。上人にさえ膳を参らせれば、脇々の坊主たちも腹一杯に
なるかと存じでこのようにしたのだが。」

そのように申すと、その後は坊主たち詫び言して亡者にも膳を据え、みなの坊主も他宗のように
執り行った。これは内藤修理の理屈のために、一向宗が恥をかいたのである。

甲陽軍鑑



710 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2023/03/12(日) 16:53:43.99 ID:u4UaIy7F
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    甲陽軍鑑が書かれた時代は
    浄土真宗が一向宗に改名させられた後だったか

  2. 人間七七四年 | URL | -

    亡くなった母親がその宗派を信仰してたから
    そこの坊さん呼んでその方式で弔っていたはずなのに
    屁理屈こねてその宗派の特徴消して他と同じように弔わせたんじゃ意味ないよな

    「やりこめて恥かかせてやった」武勇伝みたいに書いてあるが
    死者をないがしろにしてるだけでですがな

  3. 人間七七四年 | URL | -

    ※1
    蓮如の書状に他宗徒が誤用するのは仕方ないが一向宗などと自称するのは駄目だと言ってるものがあるので室町時代には定着してたみたいだよ

  4. 人間七七四年 | URL | -

    ※2
    坊さんはこういうレスバに負けちゃいけないんだよ
    屁理屈で内藤を丸め込まなきゃいけないの

  5. 人間七七四年 | URL | -

    詰問する相手に「それはあなたの感想ですよね?」を繰り返して問い直す一向宗の僧侶が居たら
    大師博之にでもなっていたのか

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