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垪和郷攻防戦、そして竹内氏のその後

2009年04月27日 00:08

962 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 10:13:21 ID:y97dQQ3f

便乗して同じ時期、伊賀領と旭川を挟んで隣の地域の話。
美作高城主竹内善十郎為能は当時毛利に属しており、彼の治める垪和郷は毛利にとって
備中から美作東部、因幡方面へ向かう回廊の一つであった。
宇喜多にとっても竹内氏は美作西部への兵站に目障りな勢力であり、吉川元春による失地
回復の為出陣した宇喜多本隊により、竹内一族の一の瀬城も呆気無く攻略された。

そこで竹内氏は近隣の地侍に合力を求め、毛利にも援軍を要請し兵糧や鉄砲衆、備中勢の
加勢を得て守りを固めていた。また備中との境目にも改めて毛利の一所衆が配備されて、
その何割かが垪和郷に後詰として着陣していた。
さて、垪和郷攻防戦は天正八年二月に始まり緒戦は毛利方有利であったが
戸川、岡、長船らの部隊が到着すると逆転した。
諸城陥落し城兵は高城へと落ち延びていき、三月中旬ついに高城合戦が始まった。

前置きが長くなったが、ようやく本編。
宇喜多家臣馬場重介職家は谷の方面の討手であったが、数刻経っても敵が現れない。
退屈して嶺に上ると出会い頭に敵と遭遇してしまった。敵は五段に備えていたが、
鉄砲で備えを崩し自身も槍をふるって三段目まで打ち破ったところで
敵の鉄砲が重介の右の股に命中した。鉄砲が放たれる中、重介は心は猛く進むが、
出血多くもはや前進できなくなり、土手を楯にして討ち死にする覚悟で敵を待ちうけた。

その時向かいの谷の柴の陰から鉄砲が放たれ重介の右肩甲骨の内から肘までうち抜いた。
竹槍で布袋を突き通したような感じで、目もくらみ、心も動転し、
世界がまるで朝顔の花の色のようにみえたという。

気を取り直して眼を開くと、田中藤介が登って来て、重介を励まし退くように説得した。
重介が、「深手を負ってしまい敵の追手に討たれるに違いないから潔く自害したい、
藤介こそ早く退け」と言うと、藤介は「某、ここを一足も退いたりしない。この覚悟なら
堅固に防ぐことも難しくない」と言い、そこに重介の部下も来て重介を引きとった。
藤介は一斉に鉄砲を放たせ槍をふるって突入し、敵は引き揚げた。

この谷は激戦で多くの血が流されたので大血谷と呼ばれ、現在の地名大地谷の元になった
と伝えられている。鉄砲に討たれた瞬間のことを記述している珍しい話である。

963 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 10:19:17 ID:y97dQQ3f
その後の話
竹内氏は高城合戦で数回大規模な攻勢を掛けられるが、その度防戦撃退し、ついに宇喜多
の将の一人平尾弾正を討ち取った。竹内方の勝利で宇喜多勢は陣を引くが、包囲は続く。
同月の辛川合戦、翌月の虎倉合戦では宇喜多方が大勝を収め、高城包囲網は崩れない。
竹内善十郎は弟を使者にして毛利にさらなる援軍を要請するが、包囲を突破して援兵する
のは難しいとの返事で、四月以降の毛利からの書状は現存していない。
毛利からも見捨てられた高城はその後も籠城を続けるが、
いつも通り宇喜多の調略により城将の一人が寝返り、八月落城した。

高城から谷を挟んで南側に鶴田城があり一族の杉山氏が守っていた。鶴田城主の姫は
麓で若い寺小姓と出会い、度々の逢瀬を楽しんでいたがいつの日か姿を見せなくなった。
その直後から宇喜多勢の攻勢が強まり高城陥落後、鶴田城も間もなく落城した。
落城後この男が宇喜多の間者と知った姫は、絶望のあまり旭川の渕に身を投げ、
それ以来「姫こ渕」と呼ぶようになったという。

竹内一族では竹内久盛が有名だろう。彼は一の瀬落城後、高城には入らず
播磨へ落ち延び後に宇喜多家臣新免氏を頼ったという。

馬場職家は間もなく復帰し、二年後の八浜合戦では殿をつとめ八浜七本槍に数えられる。
晩年には子供達に「侍たるもの決して臆病であってはならぬ。(中略)生きるも死ぬも
運次第で臆病になる必要がないのはこの自分の例からも明らかであろう」と語り、
七十七歳の天寿を全うしたという。







964 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 10:40:51 ID:gJ44A6sQ
すごいな。このまま岡山県の新聞あたりに、歴史コラムとして載ってても
おかしく無いような話だわ。

しかしあのあたりは戦国後期まで中小勢力がせめぎあっていた中、そこに尼子、毛利、織田って
巨大勢力が介入してきてるから、一つ一つの合戦が、規模のわりに、異常に凄惨なものに
なっているって印象があるな。

966 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 11:16:27 ID:+Juf3Ch9
>>964
派手な野戦をしなくても干 殺し 、水攻めとか飢餓必至だもんね

979 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 22:15:56 ID:odJS4d7P
>>963
これって、あっち(いい話)でいいよ。
朝顔なんて、体験者しか語れない。

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コメント

  1. MLR | URL | -

    感謝

    久々に血が奮えた。

    鶴田城の杉山氏は俺の直系の祖先。
    色々調べて後に再び毛利に帰属するなどは知っていたけど、細かい状況は不明でした。
    敵方の武勇、我祖先の姫の事等知る事が出来、感謝致します。

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