武田勝頼の妻、北条夫人の願文

2009年06月19日 00:04

382 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/18(木) 16:35:02 ID:hlpR8GMk
甲相同盟の氏政夫婦の話が出ていたので
武田勝頼の妻北条夫人の願文を。
有名ですがまだないようなので。
願文は翻訳しようと思ったんですが、原文の方がかなりの名文なので
かなを漢字に改め、少し読みやすくするくらいにしておきました


武田勝頼の後妻北条夫人は、その通称の通り北条氏康の娘で、
天正六年、甲相同盟の復活の証として甲斐に嫁いだ。
しかし嫁いでまもなく上杉のお館の乱への対処をめぐって北条と武田は対立、
同盟は破綻した。
しかし彼女が離縁されることはなく、その後も武田家にあった。

天正十年、二月一日。
木曾義昌が武田に弓を引いたことを皮切りに決定的な崩壊が始まった。
木曽の謀反を知った織田信長は武田を討つことを宣言し兵を発す。
二月十六日。
鳥居峠の戦いで武田は織田の支援を受けた木曾に敗れる。
この敗戦は武田家中に大きな動揺を生み、親族衆・国人衆の離叛・逃亡が相次いだ。
有名な願文は、そんな状況の中で書かれたものであった。


うやまって申し。
祈願のこと。
南無帰命頂礼八幡大菩薩、
この国の本主として武田の太郎と号せしより此かた、代々護り給ふ、
ここに不慮の逆臣出きたって国家を悩ます。
よって、勝頼運を天道にまかせ、命を軽んして敵陣にむかう。
しかりといへども、士卒利を得ざる間、その心まちまちたり。
なんぞ木曽義昌若干の神慮をむなしくし、
身の父母を捨てて、奇兵を起こす。これ自らの母を害するなり。
なかんずく勝頼累代重恩の輩、逆臣と心を一つにしてまちまちに覆さんとする。
万民の悩乱、仏法の妨げならずや。
そもそも、勝頼いかでか悪心ならんや。
思いの焔天にあがり、瞋恚なお深からん。
われもここにして相共に悲しむ。
涙らんかんたり。
神慮天命まことあらば、五逆十逆たるたぐい、諸天かりそめにも加護あらじ。
この時に至って神心。私なく渇仰胆に銘ず。かなしきかな。
神慮まことあらば、運命この時にいたるとも、
願わくば霊神力をあわせて、
勝つ事を勝頼一しに告げしめたまい、
仇を四方に退けん。
兵乱却って命を開き、寿命重遠子孫繁昌の事。
右の大願成就ならば、勝頼、われと共に社檀みがきたて回廊建立の事。
敬って申し。
天正十年二月十九日
源勝頼うち


悲痛な願いが天に届くことはなく、
それからひと月もない天正十年三月十一日甲斐武田氏は天目山近くの野で滅亡する。
北条夫人も夫と共に野の露と消えたのだった。





383 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/18(木) 16:40:27 ID:nv1YOR+F
最後まで何故民心が離反したのかわかんなかったみたいだねぇ。
この辺りが滅亡の原因なんだろうね。

384 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/18(木) 17:53:27 ID:aVxlR2xa
北条夫人は幻庵おほえ書を真正直に実践してたみたいね。泣ける


武田さん家の勝頼妹ズも、織田信忠正室扱いながら一度も旦那さまと会うことがなかったお松さん
上杉景勝に嫁いだけど子宝に恵まれなかったお菊さんと波乱の人生だなー


>383
もう勝頼が相続する前の段階で攻勢限界を超えて、
財政破綻するか、大方は縮小するしかない家運だったからな。

385 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/18(木) 18:03:51 ID:KJOQ/nTI
で、嫁が必死の願いを唱えてるというのに夫はというと諦めてるという…
ttp://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-1855.html

386 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/18(木) 18:21:44 ID:ENsqxmtw
そら、屋敷の奥にいる嫁さんはともかく、
現実を目の当たりにしてる勝頼には流石に先が見えてただろう

387 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/18(木) 18:42:58 ID:efBKhhIb
松姫正室説は捏造……
ロマンがあっていいけどさ

388 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/18(木) 21:23:48 ID:lGg+z5rK
何となく意味は通じるんだが、やっぱり翻訳ほしい…




389 名前:人間七七四年[age] 投稿日:2009/06/18(木) 22:26:46 ID:v9cLoDnq
>>388、訳してみた。

うやまって申し。
(敬って申し上げます。)
祈願のこと。
お願い事です。
南無帰命頂礼八幡大菩薩、
どうか八幡大菩薩様、)
この国の本主として武田の太郎と号せしより此かた、代々護り給ふ、
甲斐国の主として武田太郎と初代が名乗って今まで、代々守ってくださいました。
ここに不慮の逆臣出きたって国家を悩ます。
甲斐にいきなり反逆者が出てきて政治を混乱におとしいれました。
よって、勝頼運を天道にまかせ、命を軽んして敵陣にむかう。
そこで武田勝頼は運を天にまかせ、命を捨て出撃いたしました。

長いのでつづき

390 名前:人間七七四年[age] 投稿日:2009/06/18(木) 22:28:14 ID:v9cLoDnq
>>389のつづき
しかりといへども、士卒利を得ざる間、その心まちまちたり。
そうはいっても、将校下士官兵は勝利(利)を得る前、士気がまったく上がりませんでした。
(注:勝利を得る前と訳したが、木曽に負けた後です。)
なんぞ木曽義昌若干の神慮をむなしくし、
どうして木曽義昌は少しばかりの神のご加護を無にして、
身の父母を捨てて、奇兵を起こす。これ自らの母を害するなり。
自分の父母を捨てて、反乱を引き起こしました。これは、信玄の娘である自分の母を捨てる事です。
なかんずく勝頼累代重恩の輩、逆臣と心を一つにしてまちまちに覆さんとする。
ましてや勝頼まで代々使えていた譜代の家臣達までも、反逆者と協力しあちこちで反乱を起こしています。

まだつづく

391 名前:人間七七四年[age] 投稿日:2009/06/18(木) 22:29:07 ID:v9cLoDnq
>>390のつづき

万民の悩乱、仏法の妨げならずや。
これは万民を悩ませ、仏教の教えを妨害する事ではないでしょうか?
そもそも、勝頼いかでか悪心ならんや。
そもそも、勝頼には悪い心などありません。
思いの焔天にあがり、瞋恚なお深からん。
(「スマン翻訳不能。<(_ _;;)>」)
われもここにして相共に悲しむ。
私(=北条殿)も共に悲しんでおります。
涙らんかんたり。
涙もかれるほどです。
神慮天命まことあらば、五逆十逆たるたぐい、諸天かりそめにも加護あらじ。
神が天命が武田にあると思うのでしたら、全反逆者とその共犯者に対し、かりにも神の加護などありません。
この時に至って神心。私なく渇仰胆に銘ず。かなしきかな。
今ここで神にお願いいたします。私的なことではないことを誓います。悲しい事とは思っています。
(注:普通は何かをかなえたいと希望のある事をお願いできないことを悲しいと言っている。)
神慮まことあらば、運命この時にいたるとも、
神のご加護が本当にあるのならば、どんな運命になろうとも、
願わくば霊神力をあわせて、
お願いするのは神の力を持って、
勝つ事を勝頼一しに告げしめたまい、
ただ勝頼だけを勝たせると神の力を示して、
仇を四方に退けん。
敵を全土から駆逐してください。
兵乱却って命を開き、寿命重遠子孫繁昌の事。
この反乱鎮圧戦が逆に武田の運命を良くし、長寿と子孫繁栄へ結びつく事。
右の大願成就ならば、勝頼、われと共に社檀みがきたて回廊建立の事。
上記この願いが成就した暁には、勝頼と妻の私は共に御礼に社殿を美しくし、また回廊等も建て直しましょう。
敬って申し。
敬って私の願いを申し上げます。
天正十年二月十九日
源勝頼うち
武田勝頼の妻

下手くそな訳でもあり、さらに翻訳不可能なところもあって申し訳ないが、伝わるだろうか?
うまい訳が出来る人がいたらお願いします。
それにしてもこれほど訳していて悲しくなる願い事などあろうか?
これを19才の夫人が書いたのである。





392 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/18(木) 22:56:00 ID:slLmTsgD
後半「神慮まことあらば(神様はいるよね?)」って二回書いてるな

精神的にも追い詰められてたんだろなあ…

393 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/18(木) 23:09:28 ID:75jOmO7X
思いの焔天にあがり、瞋恚なお深からん。

思いのたけが炎となって天にあがるほど、この怒りはとても深いものです。


じゃないかと思う。どうかな?

402 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 03:00:26 ID:bS8sH8N0
>>391
この願文の中で「もしも願いが叶ったら、勝頼私と共に・・・」と言っている
のが印象的だよね。

403 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 09:00:20 ID:EulBaYS2
>>382
全文は初めて読んだ
文章悲痛過ぎるわ…


404 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 10:04:20 ID:QccLrvS3
>>382
北条夫人ってまだ十代だっけ?
若いのにすごい頭よさそうだ

405 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 11:00:38 ID:C01j2Mt4
賢そうだけど身の振り方は不器用だよな
こんな祈祷するぐらいなんだから武田の行く末も分かっただろうに


407 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 11:08:40 ID:SPdWqNZw
北条夫人……
勝頼は実家へ帰れとは言わなかったのか
言ったけど夫人が聞き入れなかったか
すでに周りが敵だらけで逃げられる状況ではなかったか
(織田方に生け捕られて辱めを受けるよりは、とか)

勝頼が真田氏を頼っていたらどうなったかは興味深いIFだけど
現実は残酷なものですな

408 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 11:25:50 ID:ThgepPKn
>>407
勝頼は帰れと諭したが付いて行き、代わりに家臣に辞世の句と遺髪を託してる。
辞世の句は「黒髪の~」で始まる奴が有名だけど、
他にもちょっと勝頼に愚痴るような句も詠んでるんだよね。


すいません。やる夫真田の受け売りです。

409 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 11:27:55 ID:ggXk6OdI
>385-386
穴山梅雪や木曽義昌ってガチ親族衆だからなあ。
梅雪なんか(仁科)盛信や逍遥軒信廉、典厩信豊を除けば筆頭クラス

それが駿河で離反し信濃で離反し……もうだめぽすぐる


北条と手切れんなったのに、なお勝頼を案じていたり。夫人の願文は痛ましいね


412 名前:人間七七四年[] 投稿日:2009/06/19(金) 12:57:25 ID:J6NTnkTZ
>>409
穴山梅雪の正室って信玄の娘だったね。たしか勝頼が後継者ときっまた際に
相当腹がたったと聞いたが…

413 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 13:00:33 ID:U/XT74Wl
早川殿が駿河から掛川に逃げた時、徒歩で逃げるハメになったってだけでも
「愚老の息女、乗り物も求め得ざる体、この恥辱すすぎ難く候う」
なんて大激怒してた氏康が、この北条夫人の死に様を知ったら……
まあ氏康もう死んでるんだけどさ


414 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 13:32:41 ID:+3F5sy/3
幻庵じいちゃんのマニュアルが詳しく残ってれば
自分の嫁に手を焼く世の殿方達が多く買い求めそうだ。

415 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 13:36:15 ID:1Wyc6xLj
むしろどっかの団体に差別がどうこう言われて発禁になりそうな悪寒

416 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 15:10:31 ID:mK8ZzQuu
帯に 幸せになり実家と嫁ぎ先の 家運を上げる嫁になれる必須マニュアル

と書けば…

417 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 15:20:44 ID:DmxG2OSv
嫁を貰うなら 北条家だなw

418 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 15:33:20 ID:44qFKqHg
ではそれがしは、長野業正殿のご息女を
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-93.html


419 名前:人間七七四年[age] 投稿日:2009/06/19(金) 16:15:56 ID:Oxbro0fS
>>407
勝頼が北条夫人に小田原へ帰れといったところ・・・

北条夫人「弟景虎(上杉景虎)のことあれほど頼んだのにあなたは聞き入れてくれませんでした。
     恥ずかしくて北条には帰れません。」

とかいったとか。ただし、天目山の時二十歳なので、上杉景虎の姉かどうかはしらない。

420 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 16:25:37 ID:U/XT74Wl
そのあたりは北条側と武田側で記述が全く違うんだよな
勝頼に恨み事を言う話は北条側にしか伝わってないし
反対に最期は御一緒に参りたいと願い出る話の方は武田側にしかない
そういうことなんだろうけどね
逸話として見るならどちらも興味深い話

421 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 17:33:29 ID:Tb0t4/KR
>>418
いや、ここはそれがしが!

422 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 17:39:38 ID:p/zoEpsN
>>418>>421
宇喜田直家殿の娘との縁談がお主らに着ておるぞ

423 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 17:40:41 ID:5VTwsfaf
景虎が北条に帰されていれば誰も苦しまずに済んだのに…(´・ω・`)

424 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 18:01:25 ID:b2enS23h
>>423
景虎が戻っても数年後小田原評定でgdgdだから…

425 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 18:23:07 ID:fBksdAfm
松姫、菊姫、北条夫人、武田家の女性は小説に出来そうだな
実際はどんな人物か分からない湖衣姫より知名度があってもいいのに

426 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 19:30:20 ID:SPdWqNZw
湖衣姫は信玄と絡めたり勘助と絡めたり話を作りやすいからなあ
実像がわからない分だけ余計に

でも最近は「のぼうの城」がヒットしたり歴史小説ブームだし
マイナーな人物にもこれから光が当たるかも
氏真と早川殿の生涯を追いかけて小説化したら面白いものになりそう

427 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 19:40:46 ID:ZKp1/oIk
>>426
つ天下を汝に
でもあれは氏康死亡後だから追いかけてるとは言えないか
それに氏真の実像調べるのは案外難しいらしいし

428 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 19:51:49 ID:bS8sH8N0
>>425
信玄の娘もみな「波瀾万丈」といった感じなんだよね。
諏訪御寮人に至っては勝頼の母親だってことくらしかわからんようだし、
その母(=勝頼の祖母)も武田家滅亡のどさくさのなかで行方不明に
なってしまったそうな。

429 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 20:18:00 ID:fBksdAfm
>>428
そうだね。
保科正之を養育した見性院や。ひっそりと100近くまで生きた木曽の真理姫なんかもね

440 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/20(土) 01:18:12 ID:9Nmv2Nt4
>>422
死ぬまで旦那についてくれるいい娘さんたちではないか。

てか直家の実の子供ってかなり年を取ってからできた秀家以外
女の子供ばっかりだったのかね?(養子は基家がいるが)
男の子供がたくさんいたら養子に出しまくって
合法的(?)に他人の家を乗っ取ることもできただろうに。

443 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/06/20(土) 09:38:10 ID:0TUmIGrG
>>423
三郎景虎が上杉に残って乱を起こさなきゃ
北条はまた上杉とのバトルに明け暮れるハメになってたぞ。



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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | Pnsj6K02

    まあ色々な説があるんだけど
    一番ドラマチックな「理慶尼記」では、
    北条婦人はその最期、
    さすがに寂しくなり里心がついて、故郷の相模に向けて雁の歌を詠み、
    その後法華経を読んだあと、剣を口に含み自害をした。
    勝頼は(その苦しい死に方を見てはいられないので)
    急ぎ刀を抜いて介錯し、その遺体を抱くと
    しばらくはものも言わなかった。

    とあるね。
    なんとも悲惨な話だ。

  2. amari | URL | n3v.7HhQ

    土佐には北条婦人の墓があるのですΣ(゚д゚;)知人に案内された事があります。
    確かに勝頼の墓の隣に夫人の墓とされる場所がありました。キレイに祀られております。
     享年53歳だとメモしてます。その生涯には驚くべきものが書かれておりました(汗)
    これはあくまでも、土佐の説という事ですので。

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