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草野文左衛門「戦国の行状」

2009年08月19日 00:07

537 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 12:11:33 ID:rczTMb9I
草野文左衛門と言う侍がいた。

彼は京極家に仕え、大阪の陣においても相当の働きをした武勇の者であったが、
京極家の改易に伴い牢人し、やがて幕府老中、酒井忠勝に二百五十石にて
召抱えられる事となった。

草野には住居が与えられ、引き移りの日、その家には酒井家より足軽が使わされ、
色々と草野を迎える用意をした。

そうこうして夕刻になった頃、みすぼらしい粗末な綿服で、帯刀した上で槍を提げながら、
空いた片手で馬を曳いている、明らかに下人風の者がその家屋の門前に立ち、
中にいる足軽に聞いた

「草野文左衛門の住居はどこでしょうか?」

「ああ、それならここさ。あんたは文左衛門殿の荷物を持ってきた家来の方だね?
で、文左衛門殿はまだなのかい?ずっと待ってるんだけどねえ。」

「いいえ、私が文左衛門です。お待たせして申し訳ない。」

足軽、大いに驚いて彼を家の中に案内し、足を洗う湯などを渡したが、「私の足より先に」と、
自分の馬の足を洗い、夕食を進めると「いえ、結構です。それよりも、」と、自分の食事より、
馬草を求めこれを馬に与え、それが終わってから座って、腰につけた弁当を出して食べた。

そうしてしばらくしてから、今度は本当の草野の小者が一人、具足と箱とを
肩にかけてやってきた。
箱のほうには衣装を入れていたが、麻の裃だけしか入っていなかったと言う。

人々はこれを聞いて、「まことに戦国の行状である。」と、大いに感心をしたそうである。




538 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 15:03:51 ID:bxfxOmBu
>>537
単に貧乏していただけにも見えるのだが…。
ボロは着てても心は錦ってところか。

541 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 17:56:50 ID:F+/QyizX
>>538

何はなくとも手柄を立てる道具だけは肌身離さず持っている心
自分よりも先に馬を肥やす
しかも自分が戦で乗るのだから自分で世話をする心
常在戦場の心がけって奴なんだろうね

542 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/08/18(火) 22:49:59 ID:W65lEvdD
その馬が主からもらったやつならもっと良い話だな


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