FC2ブログ

阿菖蒲姫救出

2010年01月23日 00:18

214 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/01/21(木) 21:58:32 ID:PNlxEd0L
阿菖蒲姫救出


大阪夏の陣が終わって十日ほど後の事。
世間は残党狩りが激しく行われており、
捕まった者は男女、年齢に関わらず首をはねられるなどの厳しい処遇が待っていた。
街道や国境には徳川の検問が設けられ、通行する者は厳しく検分された。

そんな中、馬に引かせた荷駄車が数台、検問に差し掛かった。
車の上には竹駕篭が設えられており、日よけの幌もかぶせてある。
中にはどうも人がいる様子だ。
あからさまに怪しすぎるが、この荷駄車には旗がつけられていた。
竹に雀。そう、所謂伊達家の家紋である。馬印も同じであった。

不審に思った役人たちは、この荷駄車を調べることにした。
「伊達家中とは重々承知であるが、役目であるゆえ吟味いたす。
この大籠は何か、してどちらへ参られるか」
この一隊を指揮していたのは、伊達家家臣・片倉小十郎の配下の野田伝八郎。
「この度の合戦で負傷した者達を仙台へ運び、療養させるのでござる」
彼は将軍直々のお墨付き手形と、政宗の花押の書付を所持していた。
しかし、こんなに荷駄車をいくつも連ねた仰々しい隊列は珍しい。
「それでは少し、中を拝見させていただきたい」
「ごもっともでござる、どうぞご覧くだされ」
野田は快諾すると、部下に命じて幌を上げさせた。
中には、身体をサラシで巻いた者、腕を縛った者。
あるいは腕を失った者、両足を失った者……身動きできない負傷者ばかりである。
「これは失礼した、結構でござる」
「いやいや。大阪方の残党狩りは厳正にやらねばならぬと、我君も仰せでござった。
どうぞどうぞ、さあ遠慮なく」
と。乗り気でない役人を小突くようにして、すべての荷駄車を開けさせた。
やはり中には、目を背けたくなる負傷者ばかり。
この話はすぐに評判となり、伊達の荷駄車一隊は関所につくたびに
「此度の合戦、ご苦労でござった、吟味は不要でござる」と、
フリーパス状態で通れるようになってしまった。

そうして辿り着いた伊達領、一山越えた頃。
急に乗っていた負傷兵たちが、次々荷駄車を降り出した。
目を負傷していたものは見えるようになり、
腕がなかったはずのものは腕が「生え」。
みなピンシャンとして動き出したのである。
そしてその中に、一際小柄な、そして一際重傷そうな者がいた。
顔がわからぬほどに布を巻かれ、腕をなくした大柄な武士が片時も離れずついていた。
その小さな負傷者もまた荷駄車を降りると、
やはり新しく腕が生えてきた付き添いの武士が、巻かれていた布を取り去った。
中からは緑の黒髪と、まだ幼い少女の顔が覗く。
「さぁ阿菖蒲さま、仙台に着きましたぞ、ここまでくれば安心でござる……」
そう、その小柄な武士は実は、真田信繁の娘の阿菖蒲だった。
年は当時、八~十歳というところ。
伊達軍によってカムフラージュされ、密かに大阪から脱出したのである。
その場には護衛のついた女駕篭が用意されていて、すぐにそれに乗り込むと、
姉が先に保護ざれているはずの白石へと向かったのだった。
(片倉家に伝わる話だと、この時「おかね」という娘も一緒に保護されている)

その後、阿菖蒲は愛姫実家である田村家の嗣子で、
伊達家家臣の田村定広(後、喜多の名跡を継いで片倉金兵衛)に嫁ぎ、
その墓は今でも白石市にある。




215 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/01/21(木) 22:29:08 ID:7jV7hz1v
>>214
姫一人のためにそこまでやったのか。
演出上手な伊達家らしいと言えばらしいな。

でも、数え年8歳の姫を、見知らぬ屈強な男たちと一緒に、荷馬車に放り込むなんて・・・
姫は不安にならなかったのかな?

216 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/01/21(木) 22:36:56 ID:Tt4fCfz9
>>215
命あっての事だ
真田の娘なら覚悟は出来ていただろう

217 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/01/21(木) 22:52:37 ID:Zk3xQXIe
>>214しっかり自分の子孫を残す方策を講じているあたり
真田らしいしたたかさを感じる



関連
大八丸救出
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-3535.html
スポンサーサイト





コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    ある麻雀漫画で、ヒトラーがこれと同じ手法で第二次大戦後に脱出してたなw

  2. 人間七七四年 | URL | -

    仙台に行った時白石城のミュージアムでお梅の救出を物語にした3D映画をやってた。(片倉景綱を宍戸錠が、ナビゲーターを渡辺謙が勤めるというああいうのにしてはすこぶる豪華なキャスティングだった)
    その映画では伊達家中であるぞ!と強引に押し通るという何の工夫もない筋立てだったんだけど、この姫は田村さんに嫁いだとあるからお梅とは別の人なんだよね?
    重綱に嫁いだお梅はどうやって脱出したのかなぁ。
    文中にあるおかね?
    これも別人なら伊達は信繁の子を一体何人匿ったの。
    一人二人なら任侠精神発揮したとして、危険を冒してそんなたくさん匿うほど仲良くなかっただろとか思ってしまうんだが・・・

  3. 人間七七四年 | URL | -

    ミュージアムで主題になっていたお梅は、文中の阿菖蒲姫の姉にあたる阿梅姫。こちらの娘は、真田からの密かな打診の後に、片倉陣中に侍女と共に送り届けられ、片倉家では「強奪品」の申請をすることで連れ帰ったことになったそうですので、映像中では堂々輿に乗せていたものと思われます。(重長が真田の血を欲して戦場で捕らえて連れて帰ったとの説もありますが、仙台真田家子孫の方は研究でこの説は採っておられないようです)おかねは名前から推測して、幸村の側室の子ではないかと言われていて、若くして亡くなったと記録されています。他にも名前不詳の女子も保護されたとの記録があり、このあやふやな一人を別としても少なくとも4人は保護したことになります。
    元々片倉の先祖の出身地が真田の出身地と近かったとか、京都伏見の屋敷が隣同士でもともと面識があったなどの話があって、その繋がりで子供達の保護依頼を受けたのではないかなど、この戦場以前の関係が色々研究されているようです。

  4. 人間七七四年 | URL | -

    若い娘を「強奪品」扱いとは・・
    戦国の香りがしておもしろいですねw

  5. 人間七七四年 | URL | -

    >麻雀漫画
    その伝でいくと、救出された姫とその子孫は伝説の戦闘民族「スーパー真田人」に超進化!

  6. 人間七七四年 | URL | mQop/nM.

    ちなみに阿梅の姉・お田は岩城宣隆の継室(顕性院)。岩城宣隆は佐竹義宣の弟、つまり政宗の従弟に当たる。
    ただし、こっちの嫁入りに伊達家は関係していない。

  7. 人間七七四年 | URL | -

    へぇ~。4つ上の人詳しい説明ありがとう。
    真田と伊達(片倉限定?)が元から仲良かった可能性もあるんだね。
    BASARAでのあの変なライバル関係バカバカしいと思って見てたけど、あながちただの妄想でもなかったんだw

  8. ガーデルマン | URL | -

    >1
    ルーデルがスツーカでアップ始めたじゃないかw

  9. 真田昌幸 | URL | -

    世界一危険な男とはワシのことだ

  10. 真田大河見たい | URL | GQnLNNO.

    片倉と真田

    僕が聞いた話では大坂の陣で重綱の奮戦を見た幸村がこの将なら託しても大丈夫だ、と片倉陣に矢文を送って婚姻の儀を申し入れ、その際におかね、阿菖蒲、名前不詳の女子、大八丸も保護されたそうです。重綱もすごいですがそれを認めた政宗もすごいですね。

  11. 人間七七四年 | URL | SFo5/nok

    信繁が子女を託したのは、重長ではなく政宗であり、名前不詳の信繁女はおそらく、政宗側室となった阿梅等の姉だと思われる。
    政宗は、衆道相手や側室の身内の面倒をみる奴だから、そう考えるべき。エセ家系図用意してまで、信繁の血を守ろうとしたのも、当人が公家の血を引いていたからだな。

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://iiwarui.blog90.fc2.com/tb.php/3537-0bf44997
この記事へのトラックバック