596 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 14:34:31 ID:Owi7sF1D
武田信玄が今川氏との同盟を反故にして駿河に攻め込んだ時の事。
北条氏康は三国同盟を破った信玄に怒り、今川救援の兵を駿河に派遣した。
武州忍城主、成田氏長の配下である飯塚要人という若者が伊勢忠貞の陣の前を通りかかった。
……と、伊勢の兵達がこちらを見てクスクスと笑っている。
あからさまに侮蔑の表情で笑っている彼等に不快感は感じたモノの、今は主君のお使い途中だ。グッと堪えてその場を立ち去った。
そして無事、主命を果たし終えると、友人の長島大次郎にこの顛末を話し、
「やっぱヤツらの態度は我慢出来ねぇ! ちょっと今から行って来る」
と伊勢の陣に向かってしまった。
長島は慌てて成田氏の重臣、田山豊後にこの事を報告し、友人が心配だからと後を追って伊勢の陣に向かった。
一方伊勢の陣の前では、
「オイ、お前らさっきオレを見て笑ってたろ」
「あぁん? なんだお前、戻ってきたの?」
「やっぱ近くで見てもピッカピカの鎧じゃ~ん?」
飯塚要人が伊勢の兵数人と押し問答をしている。
「武田との戦いでみんな泥まみれの鎧を着てるってのに、お前の鎧は下ろしたてみたいにキレーじゃねぇか」
「そーそー、だからこないだの戦いでも、汚れる前に真っ先に逃げ出したんじゃねぇのって言ってたの! おわかり? ピカピカちゃ~ん?」
「んだとぉ、テメェら!」
激昂した飯塚は、遅れて駆けつけた長島と共に刀を抜いて味方の筈の伊勢軍に切り込んで行った。
勿論、多勢に無勢。二人はあっという間に討ち取られてしまったが、田山豊後を筆頭に成田軍が兵を率いて二人の救出に駆けつけて来た為、
北条軍の陣では大騒動となった。
ある者は伊勢に、ある者は成田に味方し、北条軍同士の戦争が始まろうかと言う寸前であった。
報告を聞いた北条家の重臣、板部岡江雪斎は慌てた。
「こ、こんな面倒な時に、なおさらややこしくなる様な騒動、起こさないで!」
自ら両軍の間に割って入り、全面衝突となるのを未然に防いだ。
この後、成田氏長は臍を曲げたのか、それとも遺恨を残したまま伊勢と同陣させられないから上州方面を警戒してね、
という上層部の判断なのか、駿河から撤退し、領地の忍城に帰還してしまった。
江雪斎が頭を抱えた「こんな面倒な時」……そう、武田と手切れになった為、上杉謙信と同盟を組もうという、「越相同盟」の交渉が難航中だったのだ。
そして問題の一つが氏長の忍城の帰属。
案の定、帰国した氏長から書状が届いた。
氏康「……あの、謙信さん? 成田がね、『忍が上杉領になったらオレは殺される』って騒いでるんですよ?」
謙信「え? 何で? 怨まれてる自覚、アイツにあったの?」
氏康「いや、謙信さんとの過去の経緯もそうなんですケド、こないだウチの方でも一悶着ありまして……」
謙信「この際、武田に寝返っちゃおうって?」
氏康「えぇ、そーゆー事です。んで、成田だけじゃなくて松山城の上田とか、周辺の連中まで一緒に騒ぎ始めちゃって……」
謙信「……」
氏康「『今度は武田に寝返っちゃおっかな~』なんて事をワザとコチラの耳に入るように言って来るもんですからね、その……申し訳ないんですが、『殺さないよ』『追い出さないよ』って、神様に誓ってあげてくれません?」
謙信「ヤダ、メンドクサイ!」
氏康「えぇ~っ!? でも、太田三楽斎も、佐竹も、里見も武田に付いちゃったんですよ? 西上野だけじゃなくて北武蔵まで武田領になっちゃうんですよっ?」
謙信「うん、だから、忍も松山もいらない。ヤツラ、オレがヤダって駄々こねてるんでしょ? じゃ、そっちで面倒見りゃいいじゃん」
氏康「こっちだってメンドクサイんですケドねぇ……」
領地割譲を値切った北条と見れば良いのか、悩みの種を押し付けられた北条、と見れば良いのか……
くすぶる遺恨を楯に寝返りをチラつかせながら、無茶な要求をゴリ押しした成田さんの一人勝ちな越相同盟のお話でした。
氏長「若いモンの首二つで領地と命が安堵されるんだから、安いモンだよなっ!」
597 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 18:54:12 ID:3FkuhlaT
成田氏長って花の慶次のエピソードが強烈に印象に残ってるわw
長い滞陣でダレ気味のラスボス
なんかおしゃれなソファーに妙なポーズで鎮座
部下「成田氏長から内応の書状が届いています」
秀吉「あ~ん?それを小田原城に届けよ」
部下「そ、それでは成田が氏政に殺されます」
秀吉「 か ま わ ん 」
まあ、これは漫画だけどさw
598 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 18:56:04 ID:a2w14OwC
娘を側室にしたくせに~
関連
成田氏長、寝返って候
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-3920.html
武田信玄が今川氏との同盟を反故にして駿河に攻め込んだ時の事。
北条氏康は三国同盟を破った信玄に怒り、今川救援の兵を駿河に派遣した。
武州忍城主、成田氏長の配下である飯塚要人という若者が伊勢忠貞の陣の前を通りかかった。
……と、伊勢の兵達がこちらを見てクスクスと笑っている。
あからさまに侮蔑の表情で笑っている彼等に不快感は感じたモノの、今は主君のお使い途中だ。グッと堪えてその場を立ち去った。
そして無事、主命を果たし終えると、友人の長島大次郎にこの顛末を話し、
「やっぱヤツらの態度は我慢出来ねぇ! ちょっと今から行って来る」
と伊勢の陣に向かってしまった。
長島は慌てて成田氏の重臣、田山豊後にこの事を報告し、友人が心配だからと後を追って伊勢の陣に向かった。
一方伊勢の陣の前では、
「オイ、お前らさっきオレを見て笑ってたろ」
「あぁん? なんだお前、戻ってきたの?」
「やっぱ近くで見てもピッカピカの鎧じゃ~ん?」
飯塚要人が伊勢の兵数人と押し問答をしている。
「武田との戦いでみんな泥まみれの鎧を着てるってのに、お前の鎧は下ろしたてみたいにキレーじゃねぇか」
「そーそー、だからこないだの戦いでも、汚れる前に真っ先に逃げ出したんじゃねぇのって言ってたの! おわかり? ピカピカちゃ~ん?」
「んだとぉ、テメェら!」
激昂した飯塚は、遅れて駆けつけた長島と共に刀を抜いて味方の筈の伊勢軍に切り込んで行った。
勿論、多勢に無勢。二人はあっという間に討ち取られてしまったが、田山豊後を筆頭に成田軍が兵を率いて二人の救出に駆けつけて来た為、
北条軍の陣では大騒動となった。
ある者は伊勢に、ある者は成田に味方し、北条軍同士の戦争が始まろうかと言う寸前であった。
報告を聞いた北条家の重臣、板部岡江雪斎は慌てた。
「こ、こんな面倒な時に、なおさらややこしくなる様な騒動、起こさないで!」
自ら両軍の間に割って入り、全面衝突となるのを未然に防いだ。
この後、成田氏長は臍を曲げたのか、それとも遺恨を残したまま伊勢と同陣させられないから上州方面を警戒してね、
という上層部の判断なのか、駿河から撤退し、領地の忍城に帰還してしまった。
江雪斎が頭を抱えた「こんな面倒な時」……そう、武田と手切れになった為、上杉謙信と同盟を組もうという、「越相同盟」の交渉が難航中だったのだ。
そして問題の一つが氏長の忍城の帰属。
案の定、帰国した氏長から書状が届いた。
氏康「……あの、謙信さん? 成田がね、『忍が上杉領になったらオレは殺される』って騒いでるんですよ?」
謙信「え? 何で? 怨まれてる自覚、アイツにあったの?」
氏康「いや、謙信さんとの過去の経緯もそうなんですケド、こないだウチの方でも一悶着ありまして……」
謙信「この際、武田に寝返っちゃおうって?」
氏康「えぇ、そーゆー事です。んで、成田だけじゃなくて松山城の上田とか、周辺の連中まで一緒に騒ぎ始めちゃって……」
謙信「……」
氏康「『今度は武田に寝返っちゃおっかな~』なんて事をワザとコチラの耳に入るように言って来るもんですからね、その……申し訳ないんですが、『殺さないよ』『追い出さないよ』って、神様に誓ってあげてくれません?」
謙信「ヤダ、メンドクサイ!」
氏康「えぇ~っ!? でも、太田三楽斎も、佐竹も、里見も武田に付いちゃったんですよ? 西上野だけじゃなくて北武蔵まで武田領になっちゃうんですよっ?」
謙信「うん、だから、忍も松山もいらない。ヤツラ、オレがヤダって駄々こねてるんでしょ? じゃ、そっちで面倒見りゃいいじゃん」
氏康「こっちだってメンドクサイんですケドねぇ……」
領地割譲を値切った北条と見れば良いのか、悩みの種を押し付けられた北条、と見れば良いのか……
くすぶる遺恨を楯に寝返りをチラつかせながら、無茶な要求をゴリ押しした成田さんの一人勝ちな越相同盟のお話でした。
氏長「若いモンの首二つで領地と命が安堵されるんだから、安いモンだよなっ!」
597 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 18:54:12 ID:3FkuhlaT
成田氏長って花の慶次のエピソードが強烈に印象に残ってるわw
長い滞陣でダレ気味のラスボス
なんかおしゃれなソファーに妙なポーズで鎮座
部下「成田氏長から内応の書状が届いています」
秀吉「あ~ん?それを小田原城に届けよ」
部下「そ、それでは成田が氏政に殺されます」
秀吉「 か ま わ ん 」
まあ、これは漫画だけどさw
598 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 18:56:04 ID:a2w14OwC
娘を側室にしたくせに~
関連
成田氏長、寝返って候
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コメント
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>>597
実はそのエピソード、漫画オリジナルじゃないんだな。
「成田記」に記録されてる。
花慶読んでないのに聞き覚えのあるエピだったモンで、秀吉の話が載ってる本を漁りまくってたんだが、何のことはない、成田の話が載ってる本に出てた。(^^;
( 2010年03月01日 11:01 [Edit] )
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