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「対モンスター用暗殺計画」

2010年05月27日 00:05

25 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/05/25(火) 23:27:52 ID:hgmzJxSb
「対モンスター用暗殺計画」

安芸北部から石見南部に勢力を張った吉川興経は、「鬼吉川」と称された曽祖父吉川経基の再来とまで言われた
剛勇無双の武人であり、
特にその強弓は伝説の鎮西八郎為朝に匹敵するとして「今鎮西」と呼ばれていた程であった。
が、武将としては無節操で、大内・尼子の間で日和見、離反を繰り返していた。
戦国の地方豪族には珍しくない話ではあるが、親戚の毛利元就と違って興経の場合には深慮遠謀というものは無かった。
その場次第の無節操さはついに家臣からも見放され、吉川家は元就に乗っ取られてしまうのである。
元就は次男の元春を養子に入れた後、興経は本拠から引き離して隠居させてしまう。
ところが相変わらず空気の読めない興経は、また何やら画策を始めた。

元就「殺せ」

ついに暗殺命令が下る。
しかし、興経は強い。元就は慎重に策を練った。

天文19年9月27日未明、熊谷信直と天野隆重の手勢300騎が興経の館を急襲。
興経はただちに迎え撃った。が……

興経「あれ?内蔵丞は?」

興経の側近で、近隣にその名の聞こえた勇将豊島内蔵丞興信が見当たらない。

興経「そういや元就の奴が『君の持ってる三原っていう名刀見せてよ。大事なものだから豊島くんに持ってこさせてね』って……
それで昨日、元就の所へ使いにやってたっけ……」

元就に図られたのである。もう殺されてるだろう。
興経は討手を自慢の弓で迎え撃とうとした。が……

興経「ちょww弓の弦が全部切られちゃってるしww」

元就に買収された近臣が、事前に弓を使えなくしていたのだ。

興経「これほど運つきざれば、われ今、人手にかかることあらじ、天、われを亡ぼせり、人を恨むべからず」
(こんなにツイて無いなんて。こりゃ天が俺を滅ぼそうとしてるんだなww)

さすがに豪傑である。大笑して開き直り、右手に三尺五寸の青江の刀、左手に二尺八寸の盛家の刀を振りかざすと、
広縁の端に立って、討手が押し寄せてくるのをむかえた。が……

興経「ひでえwww刀の刃も潰されちゃってるよwww」

それでも興経は数十人の敵を刀で殴り倒したが、後ろから腰を矢で射られてしまった。
明石という侍女が矢を抜こうとしたので、興経は「後ろに抜くんじゃない。前へ押し抜け」と命じた。
明石が矢をつかみ前へ押すと、矢先が腹を突き破ったので自ら鏃をつかみ前へ引き抜いた。

興経「汝は日ごろ頼みたる若党にはまさりたり。この志を冥途までも忘れまじきぞ」
(お前はうちの家来どもより頼もしいな。お前のことはあの世でも忘れないぜ)

興経は天野隆重までたどり着き、彼を組み伏せたものの周辺の討手に引き剥がされ、ついに首を挙げられた。
嫡男の千法師も殺され、藤原南家吉川氏はここに滅亡する。
一方、豊島内蔵丞も暗殺される所であったが、かろうじて脱出。毛利の警戒線を突破して帰還したのだが……
間に合わなかった。
内蔵丞は腹を十文字に掻き切り、その場に介錯する者がいなかったので、みずから喉を押し切って自害した。

武勇も武士の意地も元就の謀略の前には役に立たなかった、というちょっと後味の悪い話。




26 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/05/25(火) 23:31:44 ID:PtgW0vaV
いや、そこまで周到にやられても天野隆重のところまでたどり着く辺りが凄まじいw

28 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/05/25(火) 23:40:14 ID:ko1m6Lri
>>25
そういえばロシアには毒くわされて、銃で撃たれて、最後は川に沈められた僧侶がいたっけ…

29 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/05/25(火) 23:59:39 ID:wVPoxa/H
>>25
そこまで周到に準備するなら
むしろ暗殺した方が手間が省けたんじゃなかったのかなぁ・・・

30 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/05/26(水) 00:03:54 ID:5BPzrD+7
>>29
元就「普通に暗殺とか芸が無いしイメージ悪いし」
直家「ンだとジジイ!?」


31 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/05/26(水) 00:05:35 ID:IzNXnTMS
直家先生、お呼びですよ~

34 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/05/26(水) 07:03:47 ID:rgaMkLOr
>>25
まさに外道

37 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/05/26(水) 15:27:38 ID:5WXh/QaG
>>25
一人なら、鉄砲や弓矢で一斉攻撃ですぐに殺せるのに・・

38 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/05/26(水) 17:07:00 ID:ulkyD1Pn
>>37
わざわざ後ろから射られたと言うことは
興経の正面装甲は矢弾を弾き返すほどだったのではなかろうか。

39 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/05/26(水) 18:09:42 ID:vFugsoZi
一人殺すだけなら毒殺のような裏の手でもいいけど
興経の場合は妻子ごと殺害だから、直接切り込んでいった方が確実
元就は井上党の時もそうだ
討ちもらすことのないように厳重に屋敷を囲った上で殺している
こっちは一度に井上一族を集められないと分かると一部を隆景に始末させてるし

しかし厳重に手を回しても奮戦した興経は恐ろしい
なんか呂布に似てるな

40 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/05/26(水) 18:52:22 ID:pariEO7E
>>37-38
天文19年は西暦1550年。
まだまだ鉄砲の普及には時間がかかります。
鉄砲がない時代に、こういうモンスターを倒すのは工夫が要ったんだね。


46 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/05/27(木) 09:40:14 ID:4vSAQf2g
>>25
明石は胆力があるな
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コメント

  1. 御神楽 | URL | -

    興経も格好良いねw

  2. 人間七七四年 | URL | l5pNJLvE

    のちの避弾傾始である

  3. 人間七七四年 | URL | -

    「人を恨むべからず」というところに、感じ入る。

  4. 人間七七四年 | URL | -

    刀が無いなら丸太で戦えばいいのに
    もしくは樫の棒

  5. 人間七七四年 | URL | -

    三浦義意「これからはやっぱり丸太の時代だな」
    真壁氏幹「まったく仰せのとおり」

  6. 人間七七四年 | URL | Aszvn8R.

    壮絶な最期のはずなんだけど、元の文でもどうもコミカルに見えてしまうんだよなw

  7. 人間七七四年 | URL | -

    二刀流で突っ込んできてもなんかもう武士というかエスタークみたいな魔王的なイメージががが

  8. 名無しさん | URL | -

    >お前はうちの家来どもより頼もしいな。お前のことはあの世でも忘れないぜ

    男なら一度は言ってみたいセリフだな、かっこいい

  9. 人間七七四年 | URL | -

    >なんか呂布に似てるな

    どっちかと言うと項羽っぽいね。
    「これは天が俺を滅ぼそうとしてるんだ!!」
    みたいな事言ってたはず。

  10. 人間七七四年 | URL | -

    軒先に出て来ては一人ノリツッコミするさまぁ~ず三村で脳内再生されましたw
    坂東武者だったら戦場の華になってたのかねぇ…

  11. 人間七七四年 | URL | -

    この人、地元では「おきつねさん」という祠で知られていて
    お稲荷さんと間違われてたりしてた。

  12. 人間七七四年 | URL | -

    明石さんも素直に従うなよwww
    「あれ? いいのかなー、やっちゃえ」とばかりにやったのだろうか

  13.   | URL | -

    モンハンだね

  14. 人間七七四年 | URL | -

    戦国時代は化け物が化け物として戦えてた時代
    面白いわー

  15. 人間七七四年 | URL | -

    >9
    自分も項羽の最期を連想したよ。
    ただ真偽を検証する所では無いと分かっていても、人を恨まないどころかさぞかし元就を恨んだだろうなと思ってしまった。

  16. 人間七七四年 | URL | -

    この周到さ、流石の元就と感動すら覚える
    そしてこの用意に応えてくれる今鎮西も最高だw

  17. 人間七七四年 | URL | -

    >興経「ちょww弓の弦が全部切られちゃってるしww」
    >興経「これほど運つきざれば、われ今、人手にかかることあらじ、天、われを亡ぼせり、人を恨むべからず」

    なぜキャラ変わったし

  18. 人間七七四年 | URL | -

    鉄砲が日本史上初めて実戦で使われたのが、天文23年(1554年)の岩剣城の戦い(島津義久、義弘、歳久の初陣の合戦)と言われているから、吉川興経さんを倒すのに大がかりなことに
    なってしまってますね。

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