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藤堂高虎と3人の近臣

2010年06月23日 00:00

918 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 07:12:14 ID:92wo+7V+
文禄の終り頃、宇和島七万石の大名となった藤堂高虎は、家臣の居相孫作・服部竹助・大木長右衛門を呼んだ。

居相孫作は、高虎が羽柴秀長に従い、中国攻めに参加していた頃に召抱えた、但馬の土豪の次男である。
服部竹助は、そんな高虎に憧れて実家から飛び出し、そのまま高虎のもとに転がり込んだ同郷の士である。
大木長右衛門は、高虎が転々と主君を変え、近江をさまよっていた頃から若党として仕えていた男である。

いずれも高虎が無名に等しい頃から従っている、藤堂家最古参の男たちであった。
「ようやく、この高虎も大名としてデカい顔のできる身分になり、お前たちの苦労に報いることのできる立場になった。
そこでだ。この際、お前たちにそれぞれ千石を支給しよう!」

笑顔で宣言した高虎に、孫作は不満そうな顔を向けた。「な、ならば千五百石でどうだ!?」
竹助が、哀しそうな表情を浮かべてうつむいた。「うぬぬ…ならば二千石……」
「殿。」三人を代表して、長右衛門が不機嫌な声を上げた。「なんだ!何が不満だ!」

「千石も頂戴したところで、わしらに十人分の働きはできませんや。そんなら、わしらに下さるつもりの三千石で
百石の侍を三十人雇って下され。」(兎角拾人の働、壱人にてハ難仕得ば、百石づつにて三十人御召抱遊被候得。)

大名・藤堂和泉守の重臣として多大な知行を管理し、部下を使うことに追われるよりも。
軽輩でも良い、高虎の側近く仕え、侍・藤堂与右衛門の背中を追いかけていたい、というのだ。
「お、お前たち…」
三人の知行は元の六十石で据え置かれ、役目に応じて臨時収入の合力米があてがわれることになった。

その後、さらに高虎は出世し、伊賀・伊勢三十二万石の大大名となった。高虎は、また三人を呼んだ。
「これだけ家がデカくなると、古参にそれなりの待遇をせにゃ、若い者に示しがつかん。で、二千石でも三千石でも…」
「そんなら、茶なんぞすすって遊んで暮らせる程度に、もらっときましょうかね。」

三人は高虎の言葉をさえぎって言い、結局二百石以上は受けなかった。


ところで、この三人が『兎角拾人の働、壱人にてハ難仕』男たちだったかというと、大木長右衛門と居相孫作は、
高虎の各地での城普請の際、普請奉行を務めた。服部竹助に至っては、藤堂藩の飛び地二万石の代官を任された。
それでも一生を少禄で過ごし、高虎の側近く仕えた。そういう男たちだった。




919 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 07:48:35 ID:0Ezq00kI
本人たちはともかく家族/一族的にはどうだったのかね
現代人的な感覚からすると嫁や子供から疎まれそうな感じなんだが

920 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 08:29:16 ID:SZ/iZlMG
出世の白餅しかり、高虎さんの逸話って昭和テイストというか、コテコテな人情話が多い印象が
大河よりも、プロジェクトXとかALWAYS三丁目の夕日なんかの方が似合いそうな雰囲気

921 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 08:36:27 ID:2QQLZVTN
これは文句無しに良い話

922 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 08:52:03 ID:skn3RahF
>>919
こういう場合、奥向き同士で色々贈られたりするんじゃないかなあ
今でも田舎の方だと、零細社長の嫁さんが薄給部下の嫁さんに
色々気を配ってるみたいな

923 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 10:54:55 ID:SHe2mpS1
他の部下の手前もあるから、
そのあたりは奥向き経由でとか、
色々気は遣われてたんだろうね。
これはこれで面倒くさい話かもしれん。
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    俺にもこんな部下がいたら…
    まぁ俺の器量じゃ無理か

  2. 人間七七四年 | URL | -

    良い話だが、藩主藤堂高虎としては能力ある古参の家臣が少禄しか受けないのは、いろいろ困っただろうなw
    主に戦で役立つ人材だったなら無理やりにでも知行を与えてたかな。

  3. 人間七七四年 | URL | -

    古い親友のような主従だったんだろうな。
    さすがに、役に応じた役料みたいなのは受け取っていただろう。
    役職に関する必要経費は基本自分の持ち出しが多いから、さすがに少ない知行だと役目さえ務まらないw

  4. 人間七七四年 | URL | -

    良い話ではあると思うけど、この人達の後輩から見ると「居心地の悪い話」かもしれませんね。偉大な先輩達が「小禄」で活躍しているのに、自分達は「ある程度の禄」を貰ってる訳なので。
    でも、主君は「禄をくれない奴なんて御免被る」と主君を変え続けたのに、その部下達は「これだけで十分」って何か皮肉に感じます。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    そんな話があるかと思えば、渡辺勘兵衛を二万石で召し抱えた時に加藤嘉明から「俺なら百石の侍を二百人雇う」と言われた逸話があったり、高虎さんは不思議な人だ。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    大身を増やさず200石ぐらい士分層の数を増やしてあとは役高で管理する、っていうと幕末長岡藩の河井継之助の藩政改革を思い出すな。あるいは実戦時代の一つの見識なのかもしれん。

    そういえば藤堂高虎も加藤嘉明も織豊体制下のサラリーマン武士だから、在地武士系の武士とは考え方が違うんだろうな。

  7.   | URL | -

    三人とも家から出て高虎に仕えたから言えたのかもねえ

  8. 人間七七四年 | URL | -

    個人での鑓働きと、他人の上に立って率いる能力は全然別物だからな。
    自分の能力について、よく分かっていた3人のお話なんだろうな。

  9. 人間七七四年 | URL | -

    結局渡辺さんはこいつらの何倍働いたんだ…orz

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