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結城弥平次の遺体

2010年08月05日 00:00

292 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/08/04(水) 06:51:47 ID:2mnPCtjx

ある時、結城弥平次は古橋という土地を攻める軍勢の一員として河内国に従軍していた。
兵糧は現地調達というコトなのか、ただの略奪なのか、それとも戦に勝っての戦後処理の一環だったのかは
分からないが、彼の率いる部隊は農民から年貢米の徴収を命じられた。
3~400人の部隊で高台に陣取り、のんびりと集めた米の計量を行っていた時、敵方である三好三人衆の軍が
弥平次達に奇襲を仕掛けてきた。

弥平次の部隊が400人に対して、敵は2500。
到底勝ち目はない戦力差だが、場所が高台だったコトが幸いした。
2ヵ所の上り口を押さえ、上から次々と矢を射掛けるコトで敵は甚大な被害を出した。
しかし、それでも物量差は歴然としている。弓の名人である弥平次の守る上り口は堅
固であったが、もう片方の上り口を破られ、腹背に敵を迎えるハメになってしまった。
あっと言う間に勝敗は決した。弥平次の率いる部隊は壊滅したのである。


摂津に残った弥平次の母や妻らは、弥平次の部隊が敵の奇襲により全滅したという報を受け、
彼の死を嘆き悲しんでいた。
「生も死も、神の思し召し。仕方のないコトだと諦めましょう。ですがせめて、弥平次の遺骸
葬ってあげたいのです」
古橋から弥平次の遺体を拾って来い、と結城家に仕える者に命じた。
家臣としてもその気持ちは判る。危険を押して河内国に潜入、戦場跡を訪れた。

しかし戦場に打ち捨てられた死体は皆、雑兵のモノばかり。
立派な鎧を身に着けた死体は首を取られ、身元を確認する術もない。
仕方なく、同じような体格の死体の内、衣服や鎧が似ているモノを「弥平次の遺体」として
摂津で待つ家族の下へと届けたのである。

摂津の教会に運び込まれた「弥平次の遺体」は、待ち受けていた家族や友人に迎えられた。
遺体を目にした彼等の悲嘆は深く、争う様に「弥平次」を抱きしめ、斬られた首の傷痕に口付けをした。
彼等は自らが血まみれになるのも構わず、ただひたすら「弥平次」と共にありたいと願っていたのである。

293 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/08/04(水) 06:52:58 ID:2mnPCtjx
そしてそんな風に悲しみに包まれたまま2~3時間が過ぎた頃。
「あのぅ……奥方様?」
一人の家人が教会の扉を開けた。
その時、彼が目にした光景を想像すると、彼の恐怖は如何ばかりかと思う。

薄暗い教会の中、金屏風に閉ざされた一角で死体を取り囲む男女。
彼等は争うかのように死体を奪い合い、口元は血で濡れ、それでも涙ながらに首のな
い死体に口を寄せ……

何のホラーだ。
まぁ、それはともかく。

「弥平次様から手紙が届いております」
そんな家人の言葉に、一同は耳を疑った。

死ぬ前に出した手紙が今、届いたのだろうか?
恐る恐る手紙を開けると、

『心配かけてゴメンね!今回ばかりはオレも死ぬと思ったよ!ホント、神様の御加護
って偉大だよねっ!みんなが心配してると思ったから、とりあえず無事だってコトだけ、連絡しとく。
多分、2~3日でそっちに帰れると思うよ』

「……………………ゑ?」

じゃぁ、コレ……誰?
教会に詰め掛けた家族&友人一同、手元の死体を見つめた。
そして次に隣の人間を見た。
腐りかけの死体を抱きしめ、血に塗れた傷口に口付けた、血と腐汁に汚れた姿。
…………同じ姿をしている自分。

「イ、イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」

今まで抱きしめていた死体を放り出し、逃げるように教会から転げ出る。
恐怖に震え、十字架を握り締め、ひたすらキリストとマリアの名を口にし続ける人々。
家人がその遺体を教会から引きずり出し、近くの湖に捨ててしまうまで、彼等は恐怖のあまり、
教会に足を踏み入れるコトが出来なかったという。



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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    キリシタンひでぇ…

  2. 人間七七四年 | URL | -

    いやキリシタンじゃなくてもこうなるだろ。
    まさしく何のホラーだよ。

  3. 人間七七四年 | URL | -

    最初に拾ってきた奴、ちゃんと状況説明しろよ!www
    そうすれば、ここまで感情的な行動をしなかったろうに。
    そして、間違われた奴が可哀そうだ・・・。

  4. 人間七七四年 | URL | 0PMSwulg

    昔なにかで見た、原爆で死んだ娘の遺骸が見つからないから娘とよく似た歯並びの人の遺骸を娘と思って供養してあげたって話を思い出した。
    手厚く葬られたその人と比べると気の毒すぎるよ、この死んだ武者……。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    思い遣り。の弊害だな。
    後、空気読んでわざわざ良く似た遺体を持ってきたのも弊害だな。

  6. 御神楽 | URL | -

    ドリフのテーマが聞こえてきたw

  7. 人間七七四年 | URL | -

    正直、『知るか!』という気持ちでいっぱいです。

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