681 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 17:36:11 ID:IuyHqysh
木村常陸守重茲には、その年13歳になる娘がいた。
彼女は木村自慢の娘で、木村の主君、豊臣秀次からも成長すれば側に置くよう
所望があった、とも噂されるほど、輝くように美しい少女であったと言う。
文禄4年(1595)。秀次事件があった。
関白豊臣秀次は切腹。秀次の家臣、関係者も次々と粛清を受ける。
秀次重臣木村重茲も、連座により切腹した。
さてこの時、木村重茲の母、妻、そして娘は越前にあった。
彼女らは重茲が死ぬ前密かに遣わした野村静六という少年の報により、
秀次事件と重茲の切腹を知る。
野村はそれを伝えると、
「賤しき者の手に掛かり御一門の名誉を汚す前にどうぞ、ご決断を。
私は先に行っております。」
と言うや腹を十文字に斬って果てた。
木村の妻、これを見て守刀を取り出し自害。
木村の母はかねてより親しい僧侶を呼び、金品を与えて後の一門の弔いを頼むと、
また、自害。
木村の娘だけは乳母が殺すことをためらい、密かに連れ出し、逃げた。
娘は乳母と共に山の中に逃げ込んだが、もとより蝶よ花よと大切に育てられた娘である。
険しい山道に足からは血が滲み、岩山に踏み迷い、獣の声に怯え、そんな道を夜もすがら歩くうちに
すっかり疲れ果て、
「こんな苦しい思いをするなら、母上たちと共に死んだほうが良かった。」
そう思い、どこか深い淵に身を投げて、母上たちの後を追おうと、乳母から離れ
川を求めて谷伝いに降りて行った。
その頃、ようやくに夜が明けた。
娘は、夜明け前から山田に出て作業をした百姓が帰るところに出会した。
彼女は叫んだ
「私は道に迷った者です!どうか吾が家までの道を教えてくれませんか!?」
百姓は「お安いことです、どうぞ私の後を付いてきてください」と快く言い、
娘は喜んで、転げるように百姓の後を追った。
こうして娘は、元の家に帰りついた。
家には、京より秀吉の派遣した捜索の者達がいた。
娘はその場で捕縛、京都に連行された。
そして罪人として三条河原において磔にされ、その遺骸を、朽ちるまで晒された。
木村重茲の、13歳の娘に起こった悲劇についての話である。
682 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 18:23:19 ID:zLTlMaBn
ちょっとじゃない
683 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 19:49:24 ID:lV4E1B+r
嫌な・・・事件だったね
684 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 20:23:02 ID:gGUGe0kL
武家の娘なら覚悟もあろうに潔く自害しなかったばかりに恥をさらしたのか
しかしあたら若い娘をしかも美少女…
俺が百姓なら手をつないで逃げるところだ
685 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 21:03:09 ID:3l/Lfd24
秀次事件絡みは本当に陰惨だ
686 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 21:09:40 ID:JEgarUI+
信長秀吉家康と三英雄はみんな酷いこともしているけど、秀次連座の件は戦じゃないぶん一番嫌な事件だなあ
687 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:22:15 ID:6VRm9Ws0
仙千代丸 百丸 お十丸 土丸 御姫(以上秀次の子)
一の台御局 小上臈 お妻御前 お亀の前 お和子の前 山口将監娘 おチャの前 お佐子の前 お万の前
おなめの前 お阿子の前 お伊満の前 阿世智の前 小少将 左衛門後殿 右衛門後殿 妙心尼 お宮の前
お菊の前 お喝食の前 お松の前 お伊佐の前 お古保の前 お仮名の前 お竹の前 お愛の前 お藤の前
お牧の前 お国の前 お紋 東 お三 津保見 お知保
「葉隠」より三条河原の受刑者一覧 刑場のお触書等から書き写したと思われ
駒姫や木村の娘はどれに当たるのだろうか・・・
688 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:57:36 ID:4hPLnlUB
「お伊満の前」だそうだ。>駒姫
瑞泉寺の墓には「於伊萬ノ前」とあるそうだから、ひょっとして「駒」と書いて「いま」と読んでいたのだろうか。
689 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/21(日) 01:23:28 ID:M4yaFFC1
つか秀吉の血縁はほとんどろくな死に方してないなあ
690 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/21(日) 04:20:42 ID:yXt9f80q
>>689
日秀の三人息子は秀勝は陣没、秀次はアレで、秀保も秀次と同時期に変死
だからなぁ。
木村常陸守重茲には、その年13歳になる娘がいた。
彼女は木村自慢の娘で、木村の主君、豊臣秀次からも成長すれば側に置くよう
所望があった、とも噂されるほど、輝くように美しい少女であったと言う。
文禄4年(1595)。秀次事件があった。
関白豊臣秀次は切腹。秀次の家臣、関係者も次々と粛清を受ける。
秀次重臣木村重茲も、連座により切腹した。
さてこの時、木村重茲の母、妻、そして娘は越前にあった。
彼女らは重茲が死ぬ前密かに遣わした野村静六という少年の報により、
秀次事件と重茲の切腹を知る。
野村はそれを伝えると、
「賤しき者の手に掛かり御一門の名誉を汚す前にどうぞ、ご決断を。
私は先に行っております。」
と言うや腹を十文字に斬って果てた。
木村の妻、これを見て守刀を取り出し自害。
木村の母はかねてより親しい僧侶を呼び、金品を与えて後の一門の弔いを頼むと、
また、自害。
木村の娘だけは乳母が殺すことをためらい、密かに連れ出し、逃げた。
娘は乳母と共に山の中に逃げ込んだが、もとより蝶よ花よと大切に育てられた娘である。
険しい山道に足からは血が滲み、岩山に踏み迷い、獣の声に怯え、そんな道を夜もすがら歩くうちに
すっかり疲れ果て、
「こんな苦しい思いをするなら、母上たちと共に死んだほうが良かった。」
そう思い、どこか深い淵に身を投げて、母上たちの後を追おうと、乳母から離れ
川を求めて谷伝いに降りて行った。
その頃、ようやくに夜が明けた。
娘は、夜明け前から山田に出て作業をした百姓が帰るところに出会した。
彼女は叫んだ
「私は道に迷った者です!どうか吾が家までの道を教えてくれませんか!?」
百姓は「お安いことです、どうぞ私の後を付いてきてください」と快く言い、
娘は喜んで、転げるように百姓の後を追った。
こうして娘は、元の家に帰りついた。
家には、京より秀吉の派遣した捜索の者達がいた。
娘はその場で捕縛、京都に連行された。
そして罪人として三条河原において磔にされ、その遺骸を、朽ちるまで晒された。
木村重茲の、13歳の娘に起こった悲劇についての話である。
682 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 18:23:19 ID:zLTlMaBn
ちょっとじゃない
683 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 19:49:24 ID:lV4E1B+r
嫌な・・・事件だったね
684 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 20:23:02 ID:gGUGe0kL
武家の娘なら覚悟もあろうに潔く自害しなかったばかりに恥をさらしたのか
しかしあたら若い娘をしかも美少女…
俺が百姓なら手をつないで逃げるところだ
685 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 21:03:09 ID:3l/Lfd24
秀次事件絡みは本当に陰惨だ
686 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 21:09:40 ID:JEgarUI+
信長秀吉家康と三英雄はみんな酷いこともしているけど、秀次連座の件は戦じゃないぶん一番嫌な事件だなあ
687 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:22:15 ID:6VRm9Ws0
仙千代丸 百丸 お十丸 土丸 御姫(以上秀次の子)
一の台御局 小上臈 お妻御前 お亀の前 お和子の前 山口将監娘 おチャの前 お佐子の前 お万の前
おなめの前 お阿子の前 お伊満の前 阿世智の前 小少将 左衛門後殿 右衛門後殿 妙心尼 お宮の前
お菊の前 お喝食の前 お松の前 お伊佐の前 お古保の前 お仮名の前 お竹の前 お愛の前 お藤の前
お牧の前 お国の前 お紋 東 お三 津保見 お知保
「葉隠」より三条河原の受刑者一覧 刑場のお触書等から書き写したと思われ
駒姫や木村の娘はどれに当たるのだろうか・・・
688 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/20(土) 23:57:36 ID:4hPLnlUB
「お伊満の前」だそうだ。>駒姫
瑞泉寺の墓には「於伊萬ノ前」とあるそうだから、ひょっとして「駒」と書いて「いま」と読んでいたのだろうか。
689 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/21(日) 01:23:28 ID:M4yaFFC1
つか秀吉の血縁はほとんどろくな死に方してないなあ
690 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/21(日) 04:20:42 ID:yXt9f80q
>>689
日秀の三人息子は秀勝は陣没、秀次はアレで、秀保も秀次と同時期に変死
だからなぁ。
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コメント
人間七七四年 | URL | -
秀次、側室何人…?
( 2010年11月21日 00:59 )
人間七七四年 | URL | -
ここまで徹底されながらよくもまぁ重成は生き残れたもんだ
( 2010年11月21日 01:27 )
人間七七四年 | URL | -
たしかに、息子はどこに匿われたんだ?
( 2010年11月21日 03:38 )
名無しさん@ニュース2ちゃん | URL | qbIq4rIg
ラスボスはこの一点だけのみで、それまでの得点を帳消しにしてる。
( 2010年11月21日 05:40 [Edit] )
人間七七四年 | URL | -
この時期のラスボスはマジキチ
( 2010年11月21日 10:01 )
人間七七四年 | URL | -
>>687
駒姫は「お伊満の前」じゃないかな。
これは妻子のリストだよね?木村の娘はまだ側室じゃなかったみたいだけどここに入ってるの?(まぁ駒姫も実質的にはまだ側室じゃないけど…)
( 2010年11月21日 12:04 )
人間七七四年 | URL | -
一時の苦痛から逃げたら、それ以上の苦痛が待ってましたってか・・・。
姫様もこのまま何処かに逃げ切ってれば、もしかしたら生き延びたのかな?
流石の秀吉も謀反に関わりのある女性は、幾ら美女でも助けないのか。
( 2010年11月21日 13:00 )
人間七七四年 | URL | -
この一件があっても豊臣に忠誠を尽くした重成はなんというか・・・
普通の人間なら徳川に走ってもおかしくない境遇だよなぁ
( 2010年11月21日 13:56 )
人間七七四年 | URL | -
秀次事件に関する話はちょっとどころの悪さでは無いからな・・・
鬼武蔵とか狂犬みたいな豪快さも無い純粋に後味の悪い話
( 2010年11月21日 14:56 )
人間七七四年 | URL | -
まったくどうでもいいのだが、小少将という文字に一瞬驚愕した。
・・・別人、別人。
しかし、本人と言われてるのにも、たしか複数説あったっけか、あの人。
( 2010年11月21日 16:44 )
人間七七四年 | URL | -
米8
親のことがあっても乳兄弟としての友情に殉じたんじゃなかろうか。
重成は重茲の子じゃないという説もあるけど。
( 2010年11月21日 18:46 )
人間七七四年 | URL | -
ま、巷談っすから。
( 2010年11月22日 01:35 )
人間七七四年 | URL | -
>12
そんな事、ここにきてる人なら誰でも逸話だって分かってるんだよ。
一々つまらん事書いて面白いか?最近変なのが湧いて刳る様になったなここも。
( 2010年11月22日 02:58 )
人間七七四年 | URL | -
しかしラスボスはもし秀次切腹させた後で秀頼が早死にしたら一体どうする気だったのだろう。
( 2010年11月22日 22:49 )
人間七七四年 | URL | -
>14さん
多分そこまで考えての行動じゃ無かったのでは?
最悪、木下一族から誰か持って来るしかないしね。
( 2010年11月23日 11:33 )
人間七七四年 | URL | -
※14
秀頼死んだ場合の心配より、死なない場合の心配が優先かと。
現実的には秀秋を呼び戻すとかじゃないかな。
( 2010年11月23日 23:34 )
人間七七四年 | URL | -
木村の娘は お紋 東 お三 津保見 お知保 のいずれかだと思う。
他は既婚者なので。
個人的には津保見(つぼみ)かお知保(ちほ)じゃないかと・・・。
( 2011年01月14日 13:57 )
長濵の子孫 | URL | -
ちょっと違いますね…
家系図が実家から見つかったんですが、その中に書かれてたことは、うちの先祖が木村常陸介の娘が妻と書かれてありました。
( 2017年10月10日 23:33 )
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