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千徳政武夫人の最後

2010年12月09日 00:00

714 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/08(水) 16:38:00 ID:ZpFtcZ4M
今度の大河の主人公お江の母親はご存じお市だが、北は津軽にもお市の方と呼ばれた女性がいた。
そのお市の方は津軽和徳城主 小山内讃岐の娘だったが、
元亀2(1571)年、大浦為信によって和徳城は陥落、父・祖父・兄弟が戦死してしまう。
その後15歳の時に田舎館城主千徳政武と結婚する。だがその結婚生活もわずか3年で終わりを迎える。
天正13(1585)年、田舎館城も攻め落とされ、千徳政武は郎党300人と共に玉砕。
夫を殺したのは、またしても津軽為信だった。
お市の方は山中深くに逃れた。

時は流れて慶長6年(1601年)3月。津軽為信は居城の堀越城からほど近い清水森で
津軽征服戦争の開始以来戦死した者を、敵味方問わず供養する大法要を10日に渡り営んだ。
三町四方に柵を廻し、横7間・縦15間の仮仏殿を建て、中央に9間の須弥檀をしつらえ、
130人の僧侶を並べて、線香のけぶる中、読経を読む。
亡者の名は貴賤無く紺紙金泥でずらりと書かれ、内陣には108の灯明に花飾りが飾られた。

法要の4日目、参拝者に混じって、三十路を過ぎた気品のある女性が仏前に歩み寄った。お市の方だった。
彼女は一巻の文を掲げ、朗々と読み上げた。


  それ義によって軽きものは武士の命 情けによって捨てやすきは婦人の身なり。
  わが夫はなはだに武名を重んじ すみやかに戦場一葉の露と身をなし給う 惜しいかな。
  この人世にありし程は、武士の道いささか迷い給うことなし さるによりてその深浅またいくばくぞや。
  伝え聞きし高麗、唐の勇士にも恥じず、勇めるときは千万刃のなかへも、われ先に行かんこと難しとせず。
  またその情けの勇なることは、もののあはれを敷島や大和島根の道芝の露に宿れる月影の
  はかなき世のありさまを、よく知り給えしぞかし。

  われまた、その妻となりて、その人の座の片端にその身をおき 年月を経ること すでに三年になり、
  起き臥しをともにして、人の情深き淵に沈みし身なれども、
  別れしその日よりは、ただ浮かべるものは涙のみなり。
  せめて亡き霊の菩提ともならんかしと思い、その年より十年余り七とせに満ちぬるまで
  人目枯れにし山かげに、この身を隠し、朝な夕な、その亡き跡をとぶらうといえども、さらに答うる事なし。

  亡き魂よ あわれと思え 添寝せし 三とせの夢の さめもやらぬを

  その年の その目にやがて 伴いて 行きしむを しるやしらずや

  御身の仇ならんとせし者までも、かく御法(のり)の網にもらし給わで、救いとらんと誓い給う御心をば、
  亡き霊もいかばかり御悦び尊み奉らんかし。
  わが慕うその面影は、たまの軒端にたなびくなる紫の雲にほの見ゆる心地こそすれ、
  誠に君が情をよすがとして、われもつれ行き給えや。

  伴いて われも行きなん まてしばし 死出の山路の 道しるべせよ

  かかるつたなき筆の跡は、恥を書き残すに似たれども、誰に向かいて何事をいいおかんよりもあらされば、
  ありがたき御芳情によりて、夫の幽霊もさぞ成仏にいたりなんと、
  いく尊くありがたく、御心を鄙びたる一巻に残すのみ。

   慶長六歳三月十日 田舎館掃部妻
   積る年三十四 敬白」


読み終えた彼女は文を祭壇に捧げると、懐から短剣を取り出した。
参拝者の視線が集まる祭壇の前で、彼女は己の胸に短剣を突き刺した。
彼女は突き刺した短剣を抜き、最後の力を振り絞って再び胸を突き、その場に崩れ落ちた。

亡き夫への切々たる想い、仇である津軽為信への怨念の清算を語り終えた彼女の胸中は、
いったいどのようなものだったのだろうか。
千徳政武夫人、お市の方の鮮烈なる最後。




715 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/08(水) 16:43:15 ID:S1eZ7nNo
津軽為信は女性に嫌われる何かを持っていたんだろうか。

716 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/08(水) 17:32:34 ID:x6z9Mdk2
訛りが酷かったんじゃないか?

717 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/08(水) 17:38:53 ID:QPib7uRD
あのヒゲが悪い

718 名前:人間七七四年[] 投稿日:2010/12/08(水) 17:54:08 ID:RReOphV0
あのヒゲ
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/81/3e50a90de685c81dda478a0afdb774d9.jpg
ヒゲ1

木像にも
http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kyoiku/e-bunka/img/juho_tyoukoku_image1_66.jpg
ヒゲ2

銅像にも
http://stat001.ameba.jp/user_images/20100901/22/sengoku-busyou-asiato/72/c6/j/o0440058810725803231.jpg
ヒゲ3



719 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/08(水) 17:59:24 ID:No5BJJ9J
そう卑下してやるなよ

720 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/08(水) 18:53:56 ID:nv/6Ho/l
ひげ生やした武将は珍しくないがあそこまで立派なひげは明治を待たねばならんからなぁ
むしろ誇るべきだろ

721 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/08(水) 18:55:04 ID:ItDbwCvo
信長が天下とってたらヒゲ禁止令とかだしてそう

722 名前:人間七七四年[] 投稿日:2010/12/08(水) 19:00:36 ID:RReOphV0
>>721
>信長が天下とってたらヒゲ禁止令とかだしてそう

ピョートル1世「呼んだ?」

723 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/08(水) 19:54:32 ID:2BiAwexX
【政治】菅首相「すごいヒゲを生やしているなあ」 大久保利通の写真に関心 議会政治展を鑑賞
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1291802634/

724 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/08(水) 19:55:59 ID:NqD9OvKm
徳川氏も実際に出してるけどな→ヒゲ禁止令

732 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/08(水) 21:49:20 ID:e7N5TUBv
>>722
土居利勝「大賛成!」
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    田舎館城!
    ものすごいのどかな光景が浮かんだ

  2. 人間七七四年 | URL | -

    愛橘博士をdisってんの?

    田舎館は、
    田んぼに絵を描いちゃうんだぜ。
    ちゃんと一発変換もするんだぜ。

  3. 人間七七四年 | URL | -

    それは田中館博士や。

  4. 人間七七四年 | URL | -

    ※2
    田舎館城がのどかっぽい→○○館ディスってんのか?→愛橘博士をディスってんのか?
    その発想の飛躍っぷり、ある意味すげーよ

  5. 人間七七四年 | URL | -

    田舎館千徳氏は津軽為信の意を汲んだ浅瀬石千徳本家によって攻め滅ぼされるんだよねぇ。
    その本家も為信によって滅ぼされるんだが。

  6. | |

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  7. 人間七七四年 | URL | -

    自分も1さんと同じくw

    髭を刺したのじゃ無く、自分に刺したって部分に無念さを感じました。
    何処で見たのか失念しましたが、弘前城の天守に関連する話にもこの人の霊じゃね?って話がありました。天守が落雷の火災が発生した際、炎の中に女性の姿が有り、その女性はお市じゃないか?と。本当なら全然無念が晴れて無いw

  8. 人間七七四年 | URL | -

    ※5
    その浅瀬石城主千徳政氏は、落城した田舎館城から代々の位牌を運び出して供養している。
    お市を匿ったのも千徳政氏じゃないかって説もあって、なかなか複雑な事情やら感情が想像できるよな。

  9. 人間七七四年 | URL | -

    為信も田舎者と馬鹿にされたそうです。
    都会の人怖いので引きこもっています。

  10. 人間七七四年 | URL | -

    秘宝館城なら…

  11. 人間七七四年 | URL | -

    >天守が落雷の火災が発生した際、炎の中に女性の姿が有り
    ttp://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-2140.html
    この時ですよね。
    この炎の中の女性、為信の妻である阿保良の姉だった、という説もありますね。
    信枚の伯母に当たることから炎の中を指差され、御伯母君だと叫ばれたと。
    横内城の堤弾正左衛門の妻であった御伯母君と阿保良はともに大浦為則の息女。
    為信はこの大浦為則の跡を継いだと。
    炎の中に立つには、御伯母君にも十分な理由がありそうだと当時の人は思ったのですね。

    誰であっても、炎の中に立っても不思議はないと思われる人生の終え方をするのは気の毒だ。
    お市は千徳政武の元に行けたのだ。御伯母君も弾正殿の元に行けたはず。そう思っておこう。

  12. 人間七七四年 | URL | EybeWf1w

    伝承だけど藤代御前も旦那を為信に殺されてるよね。
    しかも為信は御前に言い寄って拒絶されるや攻め殺したし。
    嫌な一面があるよなあ

  13. 名無しさん@ニュース2ちゃん | URL | JalddpaA

    三四二先生の為信の短編でもこのエピソードがあったなあ

  14. 人間七七四年 | URL | -

    為信は相当毛深くて嫌われているんじゃないかって勝手な想像
    親殺しとか旦那殺しで妾にするってそんな珍しいことじゃないし
    ここまで嫌われるのは見た目が…

  15. 人間七七四年 | URL | -

    珍しくないこととその行いが嫌悪されないことってのはまた別問題
    為信の場合、石川城攻めでの下劣な作戦もあるから余計印象悪いんだろうけど

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