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阿部忠秋の茶壷

2010年12月22日 00:03

906 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 21:51:58 ID:TO1loJjJ
阿部豊後守忠秋が名物の茶壷を手に入れ、これに見合った箱など作らせるため、細工職人を呼んだ。

ところが、職人が懸命に木材を組んでいるスキに、一緒について来た職人の子供が茶壷で遊び出しており、
そのうち壷の口に突っ込んだ手が抜けなくなってしまい、オマケに忠秋の近習たちに見つかった。

「殿様の大事な壷に、なにをしておる!?早く抜かんか!」
「それが、どうしても抜けないんで!」
「ならば止むを得ぬ。その子の手を切り落とすか。」
「そんな!お、お願いします、どうかお助けくだせぇっ!」

父親と近習の剣幕に、とうとう子供は泣き出してしまい、泣き声を聞きつけて忠秋もやって来てしまった。
騒ぎの原因を聞いた忠秋は、
「なにをいつまでも愚かな事をしておる。早う、こうせぬか。」

と言って脇差に手を伸ばすと、その柄頭を茶壷に叩きつけた。壷は打ち砕かれ、子供の手は抜けた。
すぐさま職人は忠秋の前に土下座し、感謝した。

「大切な壷を割ってまで倅を救っていただき、まことに有難うごぜぇます。この罪は、あっしが受けます!
どうかどうか、倅だけはお助けを・・・」

「何の罪だ?」土下座したままの職人を横目に、訳が分からない、という顔をして忠秋は去った。


職人は、泣いた。




907 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 22:48:24 ID:M5yl7yy3
俺も泣いた

908 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 22:50:25 ID:P1VmSyrn
俺も泣いた
潔さにまったく感服だ

909 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 23:02:48 ID:r7VS/C1n
これは文句なく良い話

910 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 23:03:17 ID:mvhlA8n1
これぞいい話

この茶壷は修復されて名前伝わったりしてないのかな

911 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 23:13:56 ID:arsXuBo8
あれこれ言わずただ一言だけ言って去るのがまた格好良いな

912 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 23:21:58 ID:cUmdBwFm
阿部△

913 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/20(月) 23:44:27 ID:M5yl7yy3
>>912
            , '´  ̄ ̄ ` 、
          i r-ー-┬-‐、i
           | |,,_   _,{|
          N| "゚'` {"゚`lリ     
             ト.i   ,__''_  !
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    ,.、-  ̄/  | l   ̄ / | |` ┬-、
    /  ヽ. /    ト-` 、ノ- |  l  l  ヽ.
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919 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/21(火) 18:16:00 ID:tUWAV86S
割らなくても手なんて普通に抜けるだろ・・・

920 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/21(火) 18:34:50 ID:PPNL95xc
>>919
物にもよるが、茶壷の口はかなり狭いぞ。
後、入れ物の口は入れるより出す方が難しい。徒然草の仁和寺の和尚の話然り。

921 名前:人間七七四年[] 投稿日:2010/12/21(火) 18:41:24 ID:eOqZj02M
良い茶壷だとこんな感じ。たしかにうっかり手を入れると抜けなくなる事もありそう

万休院茶壷 京丹後市指定文化財
http://www.city.kyotango.kyoto.jp/kyoiku/bunka/shiryokan/digitalmuseum/data/images/c36-01_1.jpg

922 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/21(火) 18:42:20 ID:awmvwei9
指輪が抜けなくなる事もよくあるでな。

923 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/21(火) 18:45:00 ID:Clonsq4H
一瞬「茶壷の中身を掴んでおるのであろう。」って感じの知恵話が来るかと思った。
度量が広い忠秋がかっこいい。

924 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/21(火) 18:45:50 ID:vTt+wDc4
指輪が抜けなくなったら消防署にな。

925 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/21(火) 18:46:50 ID:H5JTVFtj
一方ブラックジャックは腕を切った後、再びつなげた

926 名前:人間七七四年[] 投稿日:2010/12/21(火) 18:50:57 ID:eOqZj02M
そういえば茶壷で思い出したが、童謡の「ずいずいずっころばし」は
将軍に新茶を献上する御茶壷行列が来たら粗相の無いよう家の中に入るように、って内容だそうで。


927 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/21(火) 19:16:46 ID:UmyveuxH
壺の中でこぶしを握ってたから抜けなかっただけだったりしてw

928 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/21(火) 20:29:01 ID:JKOUaWki
なんか小泉八雲のk猥談みたいだな>914

930 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/21(火) 21:16:49 ID:hvw+D8Wq
ゲヒなら金を流し込んで修理して高く売りつける
三歳なら…

931 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/12/21(火) 23:05:43 ID:3emiZKE1
指輪はリングカッターで切ると後の修理がラク ・・・はともかく
>>919
圧迫されてると浮腫んで本気で抜けなくなる
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    俺も泣いた

  2. 人間七七四年 | URL | -

    いい話だね
    でも、職人の悪い話でもある
    不用意に仕事先に子供を連れてきてしまうあたり、少なくとも優れた職人であるとは言い難い

  3. 人間七七四年 | URL | -

    去り方がかっこいい

  4. 人間七七四年 | URL | -

    殺す気なら茶壷割らずに腕を切り落とすよな
    危険が無いとわかった上であっしがって言ってみる職人

  5. 人間七七四年 | URL | -

    阿部さんかっけー

    去り際の台詞がさらにグッド

  6. 人間七七四年 | URL | -

    ええ話や~

  7. 人間七七四年 | URL | -

    ※2
    どうだろう?昔は子供が親の仕事をしてる横で遊んでるうちに仕事を見よう見真似で覚えたりってのがごく普通にあったと思うが。
    時代はかなり遡るが、玉虫厨子を造ったとされるくらつくりのとりも、子供ながらに親の大工仕事見てあれこれ細工物作ってあそんでたとか。
    今と違って子守なんて雇えんし、よっぽど危険な仕事(刀鍛冶とか製鉄、採掘とか)や特殊な仕事じゃない限り親の目の届くところ=仕事場で遊ばせるんじゃね?

  8. 人間七七四年 | URL | CWUURYHQ

    あまりいい話に思えない
    こういうところに子供連れてくるのもアレだけど
    せめておとなしくさせとけばいいのによりによって茶壷で遊ぶとか…

  9. 人間七七四年 | URL | uu.nRt4Y

    出てくる人がみんないい人の話じゃなくて
    阿部忠秋のいい話なのだからいい話なのではないでしょうか

  10. 人間七七四年 | URL | -

    手首を切った所で、茶壺の中の手がでてくるわけじゃないし。

  11. 創造力有る名無しさん | URL | -

    >童謡の「ずいずいずっころばし」は将軍に新茶を献上する御茶壷行列が
    >来たら粗相の無いよう家の中に入るように、って内容だそうで。

    ちょと違う。
    御茶壷行列が来たら、沿道にいる庶民は土下座して見送らないといけないのだが、
    「茶壷なんぞに土下座できるか、べらんめぇ」ってことで土下座しないように家の中に隠れた。

    それで、行列が過ぎたら「抜けたら、どんどこしょ」って家から出てこれる。

  12. 人間七七四年 | URL | -

    阿部忠秋らしい話だけど、そんなに簡単に子の手を切り落とせっていう家臣がいること自体、阿部の思想が家中に徹底されていなかったってことじゃないかな。

  13. 人間七七四年 | URL | -

    米12
    カルト教団じゃあるまいし
    思想の徹底て…

  14. 人間七七四年 | URL | -

    忠秋、すぐ立ち去ったけど、泣いてたら男だな。

  15. 人間七七四年 | URL | CVtSlW3I

    普通にいい話。粗探しはいくない。

  16. 人間七七四年 | URL | -

    忠「あ」きじゃなくて
    忠「お」きだったら…

    職人は運が良かったな

  17. 人間七七四年 | URL | -

    手だけにして血を流しだしたりすれば抜けるのかな?

  18. 人間七七四年 | URL | -

    子どもの手が無事で済むかはわからないが三斎様なら割った茶壺を修繕して気の利いた和歌を添えそうだな

  19. 人間七七四年 | URL | -

    >>子供連れイクナイ
    ほら、きっとアレですよ。
    たまたま前日辺りに母ちゃんと喧嘩しちゃって、怒って実家帰っちゃってるとか…。

  20. 人間七七四年 | URL | -

    でも冷静に考えると、屋敷に子供を入れるのを家人の誰かは許可してるんだから珍しいことでもなかったんじゃないか?
    そう考えると、子供連れというよりは弟子として仕事を見せるために連れて来たというのが自然かも知れない
    ・・・まあ結局は遊んでこの始末だがw

  21. 人間七七四年 | URL | -

    明治期までは子供が親の仕事場に連れてくるのは普通のことだったそうだよ。
    それで手伝ったりして仕事を覚えると聞いた。

  22. 名無しさん@ニュース2ちゃん | URL | 0Q3WCu86

    「日本ほど子供を自由奔放にしている国はない」って言ったの誰だっけか。

  23. 人間七七四年 | URL | -

    当時の日本では、子ども=小さい大人って認識だったらしく
    放っておけば勝手に大人になっていく子供に、親があれこれ
    躾をするのはおかしいって認識を持っていたとか。
    だから職人の親が子供に仕事を見せていたのも、子供を大人の一種
    と見なして、将来の働き手として教育させる為だったのかも。

    もしかして親方は自分の子供をあくまで弟子の不手際として庇っただけで、
    特に継がせる気もない子どもだったら見殺しにしてたかも…なんて

  24. 人間七七四年 | URL | -

    蛇足だが、子供=小さな大人っていうのは、何も日本だけじゃない。
    ヨーロッパでも、子供が酒場に入り浸ってたり、タバコ吸い放題だったとか、
    子供が子供として認識されるようになったのは大体19世紀ごろからじゃないかな

  25. 人間七七四年 | URL | -

    トラブルのきっかけに難癖をつけていたら「いい話」はひとつもなくなるな

  26. 人間七七四年 | URL | -


    >18殿
    ああーそうですね。
    なおした茶器を「景色が良い」とか愛でそうですな…。

  27. 人間七七四年 | URL | -

    そりゃ殿様本人しか出せないだろ。
    「割る許可」は。

    家臣がなにもできなくてもしゃーないよ。

  28. 人間七七四年 | URL | -

    二日ほど放置すれば手が痩せて抜けるんじゃね?
    と思うのは俺がメタボだからだろうな

  29. 人間七七四年 | URL | -

    >>28
    なにそのくまのプーさん

  30. 人間七七四年 | URL | -

    世の中には大砲に頭突っ込んで抜けなくなった大人もいるからな……

  31. 人間七七四年 | URL | ZTGLyrdM

    >>28
    ためしに指先を絆創膏で思い切りきつく巻いてみるといい
    でも壊死する前に剥がせよ

  32. 人間七七四年 | URL | -

    壷を割るだけにわるい話にならなくて良かった

  33. 人間七七四年 | URL | -

    ※32
    (壺を)割るいい話、ってことですね。

  34. 名無しさん@ニュース2ちゃん | URL | -

    まあ忠秋さんなら家光にも顔利くしな。
    ホントにこの時期の幕閣は優秀。

  35. 名無しの日本人 | URL | mQop/nM.

    ※24
    19世紀前半なら、
    CSでよく流れているアフリカの炭鉱労働の少年に愛の手をのCMが
    イギリスとかでもデフォだもんな。
    しかも下手すると、少年どころか5、6歳の幼児が従事。

  36. 人間七七四年 | URL | -

    いつ頃だったのか記憶が定かじゃないがおそらく1997,8年ぐらいの頃、
    健康ランドで俺、俺の弟、親父の三人で風呂に浸かってた時にたまたま宮大工の爺さんがその場にいて、
    俺の弟を養子にくれないかと親父に聞いた事があるそうな。
    なんでも跡取りに難儀していたようで、弟ぐらいの小さな子を持ちたかったそうで、仕事場で適当に遊ばせておけば仕事のやり方を自然に見て覚えていくものだから都合が良かったらしい。
    出来ることなら物心ついてそう間もない子供が良かったそうで、俺ではダメだったというから、仕事場に呼ぶのにも何らかの基準というか資格があったんだろうと思う。

  37. 人間七七四年 | URL | -

    まぁこれ、司馬光の逸話で「司馬温公の瓶割り」って有名な話があって(日光東照宮の彫刻にもある)、その話を応用して対処した、もしくは焼き直して作られた逸話なんだろうな。

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