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島津の退き口と北原掃部

2011年01月21日 00:00

458 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 22:09:12 ID:BfJ3UjlG
島津の退き口の流れに乗って

北原掃部なる若者が居た。
彼もご多分に漏れず「惟新さぁが難儀しやっど」を合言葉に故郷鹿児島から駆けつけた者であり、
さらにご多聞にもれず義弘を戦場から逃すために奮戦した者でもあった。

激戦の末傷ついて人事不省となり残念にも敵に捕えられ、彼はとうとう首をはねられることになった。
人事を尽くして天命を待つ。もうこうなっては泰然自若として死に臨む他ない。
覚悟を決めた掃部は敵兵にしばし猶予を乞い、戦場に持参してきた腰の天吹(尺八)一管をやおら取り出し
この世の最後の別れとして「鶴の巣篭もり」の一曲を静かに吹き鳴らした。

日が傾きかけた血生臭い戦野、嘆くが如く啼くが如く響く妙音に死を前に聊かも動じぬ神色自若たる態度。
敵兵もこの若い武士の風流と覚悟に感嘆置く能わず「勝敗は決した。首を刎ねる事もあるまい」ついに許して
助命する事となった。
だが掃部は「既に天吹のための猶予を頂いたれば」これ以上の情けは無用と武士の面目を守り自決してしまった。
彼の天吹は薩摩の一族の元に届けられ「助命器」と銘打たれてその後も大切に保管されたという。

このことを聞いた義弘は掃部の遺族を手厚く保護し、家名の絶えぬように取り計らったという。
北原の家名は江戸時代以降も続き、明治には鹿児島公園の西郷隆盛像を手がけた安藤照氏を輩出することになる。


せっかく助命されたのに「武士の面目」ということで自害して果ててしまうのは
果たしていい話なのか悪い話なのか・・・判断が分かれるかもしれませんが。


468 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 22:52:42 ID:BfJ3UjlG
>>458

追記ですが安藤照氏は渋谷駅のハチ公像(初代)の製作者でもあるそうです。
掃部の自決、義弘の家名保護がなかったら、渋谷駅の風景も今とは違ったものになっていたかも知れませんね。





459 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 22:17:19 ID:6h+fJKOF
>>458
そこで最初の覚悟の通り命を絶ったから綺麗な話になるんだろうな
助かったら「芸は身を助ける」みたいな話になっちゃうし

まあ現代の価値観ではああだこうだ言われる類の話ではあるよね

466 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 22:50:54 ID:t9gLdotq
某blogに書かれていたニュース思い出した(宣伝になるんで詳細はググッてくれ)

自らの死刑が執行される寸前に見事な縦笛演奏で遺族の心を打ち、死を免れた少年(イラン)

執行官が少年に聞いた。「あの世に行く前に最後の願いがあるなら、言ってみるがよい」
ペイマンド少年は、死ぬ前にネイを演奏したいと答えた。執行官は頷き、少年にネイが渡された。
少年は、心をこめてネイを奏でた。
深い哀愁を帯びた音色と旋律。今まさに命を絶たれようとしている少年のその演奏は、その場にいた全員の
琴線に触れた。被害者の遺族も、その例外ではなかった。
イランの法律では、被害者の遺族に対し、死刑執行の直前に懲罰願いを撤回するオプションが用意されている。
しかし、アムネスティ・インターナショナルによると、これまでにそのオプションが行使されたことは“きわめて稀か、
あるいはほとんど前例がない”という。
少年が殺めた男性の遺族は、心底憎きはずの少年の見事な演奏に心を打たれ、その“前例のない選択”を下した。
遺族が懲罰願いを撤回したことにより、ペイマンド少年は死刑を免れた。

467 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 22:52:12 ID:WPV4yfbC
昔、美しい音楽を演奏してたせいで狙撃された若殿がいましてね…

469 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 23:22:26 ID:nbacYumB
>>466
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-3258.htmlの逸話思い出したわ。

470 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 23:28:35 ID:uJtLxFH/
>>464
「勝つことが本という価値観」と「武士の美徳・美意識」ってそこまで相反するもんでもなかったんじゃないかな。
謀略なんかも武士として賞賛される行いだったわけで。



471 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/19(水) 23:52:50 ID:WPV4yfbC
当主代理やってる指揮官クラスの人と、一騎駆けの武士クラスの人では意識が違うのは当たり前じゃね?

472 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/20(木) 00:00:38 ID:oTfw6vIv
う~ん、まあ誰かが書いてたんだけど
誰もが清く正しく美しく生きられるわけじゃないのは今も昔も変わらないわけで
だからこそ美しく散った人間は語り継がれると…
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    >>466はイランのイスラム体制ヲチしてると笑い話でしかないなぁw
    ウラマーの胸先三寸で裁判結果変わっちまう好例だ。法も秩序もない国はこわすぎる

  2. 人間七七四年 | URL | -

    まあそりゃそうだが,名演奏に心打たれて被害者の遺族が加害者を許す気になった,といういい話だと思おうや.それで裁判の結果を左右するのといい悪いは別として.

  3. 人間七七四年 | URL | -

    一豪族としての北原氏最後の当主である兼親も、後年は掃部を名乗ってたんだけど、同一人物って事はないよね、やっぱ
    関ヶ原の年じゃ、北原当主になってから40年近く経ってるから若者なわけないしなぁ

  4. 名無しさん@ニュース2ちゃん | URL | 0Q3WCu86

    「芸は身を助ける」なら植芝盛平のエピソードにあったなあ。
    中国で馬賊に捕まって中国語の歌を歌うやつ。
    あれは別に助命されたわけじゃなく、処刑が延期された隙に逃げた話だったが。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    いや、似た事例ではあるが>>466の話はいい話ではないだろ

  6. 人間七七四年 | URL | -

    シェハラザード「処刑をもう一日延ばしてくださるのなら、明日はもっと興味深いお話をしてさしあげますわ…」

  7. 人間七七四年 | URL | -

    >※6
    側近「・・・で、陛下、なんで子供2人出来て、3人目がお腹に入ってんです?」
    皇帝「・・・俺は男で、アレは女だ。」

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