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筑前高取城築城

2011年08月19日 23:01

472 名前:1/2[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 16:43:36.67 ID:1wq76Zlx
関ヶ原の後、筑前に入った黒田長政は豊前との国境、高取山に築城しそこに重臣・母里但馬守友信置くと決定。
すぐに普請を開始した。
この高取山、山の半分は既に豊前というまさに境界線の山で、黒田家では、『越中守(細川忠興)はこの築城に
必ず妨害してくるであろう。そうなったら、合戦だ!』と家中のものを残らず動員。侍分のものには完全武装させ、
合戦との違いは指物を差していないだけ、という状況だった。

さて、山の腰に小屋を懸け、黒田長政自身が縄張りをした。だが城主に予定の母里但馬と尽く意見が合わない。
長政が「石垣の高さは2間にしよう」と言えば但馬「いいえ、3間にすべきです」、長政が「では3間にしよう」といえば
但馬「いや、やはり4間にしましょう!」、長政が「切岸は5間にしよう」と言えば但馬「いいえ、10間必要です!」
尽く長政の言う事の倍の、大規模な普請を要求するのだ。

このため縄張りは全くまとまらず、栗山、井上といった重臣たちが但馬に意見したがそれも聞き入れない。
話の進まないことに長政も手持ちぶたさであったが、いつもの事なので腹をたてることもなく(例の事なれば腹も立てず)
色々と説得したものの、但馬は石垣が高くなくてはならない理由を断固として主張した。
これに長政

「但馬、おまえはよく解っていないようだ。この城は長く籠城するためのものではないぞ?当面の手当のための
要害なのだ。いかにも安々とした防備であったほうが良いのだ。」

母里但馬、これに激怒した
「この城をそれがしにお預けになると仰せになってから、私はこの地に自分の墓をつくりました!
一城を預けていただくのは武士たるものの本望であり、忝いことこれに過ぎるはありません!
そのため、偏にここを自分の墓所と存じ定めたのです!

ところが、先ほどおっしゃった事は何ですか!籠城をしない城である.から、もし敵が寄せてくればすぐに城を捨てて
引き退けと!?敵を見たら逃げるための城に、この但馬が居る必要はありません!

黒田の御家もずいぶん大きくなりました。敵を見たら逃げたいと思っている者も、捜せばきっと居るでしょう。
そういった者を、そういう城には置かれるべきでありましょう。私は嫌です!(某はいやにて候)」

そう言い捨てて自分の小屋に引き込んでしまった。

さてさて、これが普通の主君なら、こんな家臣はそのまま押し詰め成敗してしまっただろう。
しかしそこは黒田長政、腹を立てながらも

「あれを見たか!?備後(栗山利安)やわしが言ったことは、理由のあることなのだ。
皆も知っているように、今我々が植木(福岡県直方市大字植木)に大軍を駐屯させても大丈夫なよう
しているのは、いざ合戦となれば細川忠興は大敵であるからだ!

しかし黒崎と、この高取の城をそのままにしては、小倉から筑前に手出しはできない。
そのため細川は必ず、この城を攻めてくる。
いざ開戦となればわしは軍勢を集め植木に集結させ、細川が軍勢を出し高取の城を攻める準備をした所を、
ここから三里足らずの植木より駆けつけ、一撃で蹴散らすつもりなのだ。
一当てして敵がひるむのを見ればこの城の留守居を但馬から、旗本の確かなものに交代させて、
但馬は先手の右備えに据え置くので、この城に置くようなことにはならない。

こういう事を聞き分けず訳もなく腹を立て、全く沙汰の限りだ。嫌ならあいつ次第だ!」
と引き取ろうとすると栗山利安が止めて言った

473 名前:2/2[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 16:44:40.30 ID:1wq76Zlx
「御腹立はご尤もですが、いつもの事です。(御腹立御尤に奉存候。いつもの事にて御座候。)
私が但馬殿を呼び出してきますので、その間にどうかご機嫌よく、御縄張りを完成させておいてください。
そもそもキチガイ同然になっている人間のいう事をまともに取り上げたのが良くなかったのですよ!
(気狂ひ同前の者の申上候儀を。御取上げなされ候事、然るべからざる)」

と長政に釘を差しておいて母里但馬の小屋に行き、長政の意図を説明し
「今に始まったことではないがその我儘、いい歳して不相応にも程があるだろ!まったく沙汰の限りだ!」
としたたかに叱りつけると、但馬

「そういう事ならワシも腹をたてることはなかったんだよ!あんなナゾナゾみたいに言わず、最初から考えていること
全部打ち明けてくれればいいじゃないか!全く根性曲がりが!(いな曲の男なり)」

と別方向に腹を立てつつも栗山と共に長政の御前に戻り、
「先程は敵を見かけたら逃げろとおっしゃったのだと思い、殊の外腹を立てました。しかし只今備前に御内意の趣を
承り、そういうことであれば私も聞き分けることが出来ます。

それがしが石垣を高くし、堀を深くすることを望んだのは、3日を5日、5日を7日なりとも攻め崩されること無く、
敵を百人殺す必要があるのなら、二百も討ち取り、大敵をこの城に受け止めて日数を送らせることこそ、忠節であると
考えたからです。

私は、死にさえすればご奉公に成るなどとは、考えたこともありません。
生きて与えられた使命を実行させるため、大規模な普請を望んだのです。これは全く臆病から言ったことでは
ありません!その事をよく理解していただきたい!」

これに長政、
「引く敵の相手などに、但馬ほどの人間は必要ない。申す所神妙である!」

そう声をかけ、その後君臣機嫌よく、城の縄張りを共に完成させたという。
この時長政は但馬のことを大変頼もしく思い、その目には涙がにじんでいたそうだ。

筑前高取城築城の際の逸話である
(古郷物語)

和解したのでいい話ではあるのですが、何より黒田家の連中の口の悪さがスゴイのでこっちにw


関連
黒田長政、母里太兵衛に高取城を守らせる・いい話
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-725.html


474 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 16:59:22.49 ID:gZwOFPTR
毎度の事ながら勝手にやってろよと言いたくなる家中にござる。

475 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 17:37:22.41 ID:BtRlLjQX
そもそも後詰めとか理解しないで切れてる時点で成敗しろよ

476 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 18:53:08.67 ID:7lDfepe4
この逸話既出だね

477 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 18:53:26.31 ID:JcaNIPb7
古郷物語の筆者には感謝しても仕切れんな、面白すぎるだろこの家w

478 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 18:58:54.38 ID:WaBORbi2
本音しか言えない、それが黒田のルールだ。
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    何度読んでも面白いなあ。
    このなかで栗山さんがいちばん長生きしてるんだよね。
    ワガママと基地外に挟まれて苦労したろうに。

  2. 人間七七四年 | URL | -

    なんかもう、酒入りとはいえ母里をからかった福島の方がすごいと思えてきた。今までは福島=猛将、母里=その次くらい、だったのに(まぁその後日本号取られたが)笑

  3. 人間七七四年 | URL | -

    何回読んでも面白い逸話だけど、NGMSが年貢持ち逃げしたせいで険悪になったのに、ここまで敵視される三歳様が気の毒だw

  4. 人間七七四年 | URL | -

    なんか新喜劇なみに落ちが決まっている寸劇のようだw

  5. 人間七七四年 | URL | -

    面白いなぁ、当時から「毎度のこと」ってどんだけなんだよwww

  6. 名無し | URL | -

    栗山さん「また殿とアイツ喧嘩してんな・・・(´・ω・)」とか思いながら仲裁してたんだろうな。
    栗山さんが早く死んでたら大変な事になってたろ

  7. 人間七七四年 | URL | -

    > 例の事なれば腹も立てず
    > 御腹立御尤に奉存候。いつもの事にて御座候。

    忍耐強くなっていく長政と、それを越えていく家臣の口の悪さに涙が出る(笑いで)
    自分が就職するには向かない御家だけど、悪い職場じゃないよなぁ、きっと

  8. 人間七七四年 | URL | -

    確かにこんな殿と弟分残しては、死んでも死にきれないわな。
    栗山さん「俺が死んだら黒田はおしまいだ!」って話があったような。
    大将の分際で前線に突っ込むNGMSを止める人がいなくなるって理由で。
    きっと母里のことも心配だったんだろう。

    しかし栗山さん、母里を叱るときに皆の前で叱らず、
    母里の面目を保ってあげるとか、細かなトコでもいい人。
    部下にして欲しいです。
    こんな上司なら死ぬ気で尽くせる気がします。

  9. 人間七七四年 | URL | -

    ちなみに栗山さんが死んだ後くらいから息子が暴走します…。

    長政はこれでも太兵衛大好きだからなー。
    彼が病に臥した時なんかはこまめに見舞いの手紙送ってるし。

  10. 人間七七四年 | URL | -

    主君と家臣の間柄だけど他のところと違って家族に近い。

    また面倒くさくないのが好感がもてる。

  11. 人間七七四年 | URL | -

    >※8様
    一般ぴーぽーの、上司にしたい歴史上の偉人ランキングとかあるけど、いい悪いスレでのランキングが見たくなりました。

  12. 人間七七四年 | URL | -

    >そもそもキチガイ同然になっている人間
    栗山「じゃあ、殿の依頼でこんなところ(高取山)へお前を潜り込ませたのは無駄じゃなかったんだな」

  13. 人間七七四年 | URL | -

    伊藤忠商事の2代目伊藤忠兵衛も、代替わりした後、先代からの番頭連中にボロッカスに・・・もとい、愛のムチを打たれ、しかも、お前、当主だから給料なしなとか言われて大変だったそうな。できる人の後を継いだ2代目の宿命かも知らん。

  14. 今日もこのスレの黒田家は平常運行だなw

  15. 人間七七四年 | URL | -

    別の意味で扱い難しいな黒田武士

  16.   | URL | IY7bLZJE

    でも三河はこれよりめんどくさいんですよねw

  17. 人間七七四年 | URL | -

    黒田家中では、
    如水(一番上の兄貴)

    家臣

    長政(一番下の弟)
    の様な感じだったとか?

  18.    | URL | -

    >>16
    こっちも十分に面倒くさいよ・・・w

  19. 人間七七四年 | URL | -

    栗山利安「なに、多少面倒な方が、働き甲斐もあるというもの」
    土井利勝「そうそう、みなかわゆいものです」

    黒田武士と三河武士はそんなイメージ。

  20. 人間七七四年 | URL | -

    >>16
    こっちの方が面倒臭いよ…
    三河武士は言い分はこねるけど、根は純粋だし

  21. 人間七七四年 | URL | -

    長い…

  22. 人間七七四年 | URL | -

    >米10
    家族みたいな君臣の間柄でなんか立花家連想したw

    宗茂は当初から家臣ウケもよかったみたいだけど・・・

  23. 人間七七四年 | URL | -

    超風通しのいい職場だな

  24. 徳川や黒田家にスパイとして潜り込むのは無理だね。
    めんどくさくないとすぐ見破られる。

  25.   | URL | -

    ※17
    何か、飼い犬から見た飼い主(人間)の序列を思い出した。
    お父さんがボス、お母さんがその次、子供は俺(犬)の下、って感覚で
    子供に自分の言うことを聞かせるが、よその誰かが子供を攻撃すると、子供を守るんだよな。

  26. 人間七七四年 | URL | -

    ※25
    だから彦左は三河武士は犬だって言ったのか・・・激しく納得

  27. 名無しの日本人 | URL | -

    新喜劇も、これくらいのクオリティあれば見るんだがなぁ。
    新喜劇のつまらなさには、欠伸も出ない。

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