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黒田長政、嫡男の袴着式にて・古郷物語Ver

2011年08月22日 22:59

529 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/22(月) 03:16:21.17 ID:14mtRMja
黒田長政の嫡男・万徳丸(黒田忠之)4歳の年の暮れ、長政の伯父黒田図書の屋敷にて、袴着(幼年期から
少年期への移りめの儀式)が行われた。この時黒田家中の主だったものは皆罷出て、万々歳を唱えた。

ところで黒田家重臣・母里但馬守友信は万徳丸の蟇目(懐妊5ケ月目の15日に胎児の健康なる成長を祈って
弓を射る儀式)親であり、万徳丸は常に「祖父祖父(じい、じい)」と呼んで良く懐いていたそうだ。
この時も母里は万徳丸の頭をクシャクシャに撫でながら

「万徳丸殿、早く成人して武辺をなされよ?侍は他に何もいらない、武辺が専一です。とと様よりは武辺を能くしてくださいよ。」
これを聞いて当然ながら激怒したのが長政である。

「但馬何をいうか!このワシより能くせよとは!?わたしの武勇を悪しく思っているのかあっ!?
ワシが若い頃には備後(栗山利安)、次には其方を指図し、朝鮮でも度々、その後も神戸、関ヶ原の合戦と、
私は武辺を示してきた。その後は天下静謐となり合戦の場数を稼ぐことはできていないが、とにかく私は
其方共に見限られるような武将ではない!それを何だ!?とと様より能くせよとは!全く理解出来ない(一圓分別に能わず候)」

そう叫ぶと大脇差を抜いて母里を睨みつけた。その場の人々『これは何事だ、大事が起こるぞ!?』と
ハラハラしながら見ていると、母里は長政の脇を向き天井の方を眺めながら(つまり激怒している長政を
ガン無視である。失礼にも程がある)

「変なことに腹を立てる人がいるものだ。自分の子供が武辺を能くせよと言われるのが悪いことか?変な人が居るものだなあ。」
と、そのまま長政の方には見向きもせずに言った。この態度に(当然ながら)長政は治まらない

「万徳に武辺をせよというのが悪いのではない!しかし親より能くせよとな何事だ!?」
これに母里は冷笑し(ホントにそう書いてある)

「他人事ではありますが、御心を静めて聞いてください。武辺というのは図ることも出来ず、底も知れないものです。
何度合戦に挑んでも、やりきったと思うことはありません。合戦のたびに『やり足りなかった』と後悔しないことは稀です。
残念な働きだったと思っているのに、周りが『比類なき働きだった!』と言われれば、不承不承そういうものだとしておきます。
そうであるのに、殿は大名であって能き人を多く引き連れ、能き作戦の元に得たお手柄自慢、笑止ですな。
(大名にて能き人を引き連れ、能く計る所の御手柄御自慢、笑止に存候)
勝ち戦ばかりにお会いなされ、いつもこんな物だと思っていたら必ず不覚を取りますぞ!
まあその辺りの事はそれがしより備後に聞いたほうが詳しいでしょう。それはともかく万徳殿、どうか武辺を成し給え」

相変わらず長政をガン無視したままそう言いつつ万徳丸の頭を撫でた。

さてこの時、その栗山備後守利安は次の間で若い衆たちに酒を勧めて回っていたのだが、長政と母里が声高に
言い合っているのを聞きつけ土器と銚子を持って走ってやってきた。そして長政に

「さてさて勿体無い事ですがこれは私にくだされた盃です。憚りながらこれを拝上いたしたいと思います。」
これを長政の方に差し上げ、
「私が若年で小姓だった頃、如水様の御前でやった小笠原流のお酌を(ここは笑う所)、今ここで思い出しつつ、
昔を懐かしみながらお酌致します。」と盃に酒を注げば長政、

「栗山から盃をもらうのはいつものことだが、酌は珍しい」
と笑いながらこれを飲むと、栗山

「その返杯は但馬(母里)に下さいませ」と言って母里の方を向き
「おいキチガイ!こっちに出てきて杯を頂戴いたせ!(気違ひ罷出て、御土器頂戴仕候へ)」

これに母里も「畏れ入り候」と罷出て、頂戴仕った。これで長政も母里も何事もなかったかのようになり酒宴大いに盛り上がる。
ここで栗山一同に申し上げたことには

「若き者共、よーく聞け!お心掛けの深いのも殿様であり、無分別なのも殿様である!
そして大たわけで、かつ頼もしいのも母里但馬。どうだ当家の武勇、末頼もしいとは思わないか!?
平穏なときはこのように目出度い場で、高下の区別なく酒を飲み楽をし、一旦ことあれば槍を突きまくって
すべき事をしておけば、やがて主君になる人(万徳丸)も、何事も許してくれるぞ!さあ歌え舞え!」

これに長政すっかり機嫌も直り「備後の申すようにすべきことをした者には、許しもしてやらないとなあ」と言い、
そのまま夜明けまで酒宴をしたそうだ。(古郷物語)




530 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/22(月) 03:30:09.33 ID:i/FOXGZQ
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-1508.html
こっちは常山紀談の同じ話
古郷物語を元にしたのだろうか

532 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/22(月) 03:36:30.81 ID:7Ea1Vr1Y
>>530を見ると常山紀談は表現がずいぶんマイルドになっているのが解るなw
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    似たもの同士だからこんな態度がまかり通ってたとか?
    自分には見下してるようにしか思えなくなってきた・・・
    黒田家臣団が長政を皮肉なしで誉めてる逸話をたくさん見たい・・・

  2. 人間七七四年 | URL | -

    ※1
    古郷物語はどうも長政によって閑職に追いやられた老臣の愚痴みたいな側面を感じるので、どうしてもこんな書き方になるかもしれませんね
    普通に黒田家譜とか読めば、長政マンセーです

  3. 人間七七四年 | URL | -

    どうしよう。
    ここの黒田家逸話を見るにつけ、
    黒田家の肝は栗山利安なんじゃないかと思えてきた。
    オカーチャンな利安が長政の尻をつねり母里の後ろ頭をはたく絵面が
    頭の中から消えないお……

  4. 人間七七四年 | URL | -

    えーと。。。
    ここ見てると、こういうのは黒田家の日常で周りは「またやってるよ」程度にしか思ってないんだろうなぁ。と思えてしまいます。

  5. 人間七七四年 | URL | -

    こう考えるんだ

    これだけ言い合ってても殿が馬鹿にされてても大名家として成立していることが黒田家の凄みなんだと

  6. 名無し | URL | -

    栗山さんのフォローの安定感半端ねぇ…

    祝いの席で御酌して廻ってたとか、日頃から周りに気配り目配りが利いた人物像。

  7. 殿にはっきり物が言えないようになったら黒田家は終わり。

  8. 人間七七四年 | URL | -

    K山T膳「はっきり物を言っていたら殺されそうになりました」

  9. 人間七七四年 | URL | -

    *3
    流石に黒田家譜みたいな公式編纂物でマンセーされてなけりゃ、長政はお家公認の暗愚になっちゃうw

  10. 人間七七四年 | URL | -

    やべぇ黒田めんどくせぇ。
    だがそれがいい(キリッ)

    そういや乱高下って造略語だから読めなくても恥ずかしくねぇよって書き込みが昔あった(別のサイト)けど、高下の別なくって表現がある以上、乱高下って上から下まで入り乱れて組みつ解れつ(くんづほぐれつ)って意味にも読めるな。
    黒田武士のくんづほぐれつ…ゴクリ

  11. 人間七七四年 | URL | -

    ※8
    おまえもトーチャンからワガママ主君のいなし方を教わっとけよ。

    大好きなじいやが父上のことをケチョン×2に言ってるのを見て育った忠之が
    ああなったのも、さもありなんという気がしないでもない。
    息子の前では父の威厳を保ってやらないと情操上よくないと思う。

  12. 人間七七四年 | URL | -

    母里家も栗山家も初期黒田家にとっては恩のある家だから
    わりと直言し放題になるのもしょうがないw

  13. 人間七七四年 | URL | -

    米9
    そんなマンセーな黒田家譜ですら、長政は音痴!とか書いちゃうんだけどねw

  14. 人間七七四年 | URL | -

    こんなに頼りになる栗山さん、なんで信長の野望に出ないんだろう

  15. 人間七七四年 | URL | -

    >14
    そりゃコーエーの開発者の見る目が無いからでしょ?
    (嵐世紀からより武将数がプラスされていけば良かったのに・・・)
    まぁアレは年々向かって居る方向が斜め上になっている気もしますがね。
    街道が主役って・・・・。

  16. 人間七七四年 | URL | -

    ヤバい、俺には母里の言ったことのどこが、長政を怒らせたのか分からない。

    お父さんより強くなってね、だろ?

    長政が小心者に見えちまう(笑)

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