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曲淵庄左衛門の訴訟2話・いい話

2008年11月22日 00:03

659 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2008/11/21(金) 14:03:15 ID:DmGvCfZJ
曲淵と訴訟(その1)

曲淵庄左衛門は板垣信形の草履取りから、板垣衆の武将に成り上がった勇将であったが、
生来協調性に欠けトラブルメーカーであった。さて、板垣信形が討死したあと息子の信憲
が後を継ぎ、庄左衛門は信憲の寄子となった。
信憲は父同様に寄子から段銭という年貢を徴収した。段銭とは軍役のために寄親が寄子に
課す税金であるが、父・信形は庄左衛門をかわいがっていたので特別に徴収を許されていた
という事情があった。ところが板垣信憲はこれを強要したのだ。

信憲の言い分はこうである。
「他の寄子が払うのに、庄左衛門だけが払わないのはおかしい。父が目をかけていたとはいえ、
この度からは違う。わがままを言うのにもきりがある。」
すなわち、租税賦課の平等適用を主張したのである。

すると庄左衛門は、カンカンになって主人の板垣信憲を怒鳴りつけた。
対する庄左衛門の言い分はこうである。
「先代の殿様の仕方を尊重するのが子としての筋であろう。わしはビタ一文たりとも払わねえ!!
どうしても払えと言われるのなら、貴様の首を打ち落としてやるぞゴルァ!」
すなわち、租税免除の慣習法の適用を主張したのである。

 困った信憲は家老の山県・原に、
「信玄公に申し上げてらちをあけてくれるように協力してくれ」と頼んだが、
両人は「また、例の庄左衛門の病気かwww面倒に巻き込まれるのはやだよ。」と取り合わなかった。
仕方ないので、長坂と跡部に助力を依頼し、やっとこさ信玄にこの紛争を取り次いでもらうことが
できた。

両者の言い分を聞いた信玄は、腹を抱えて笑い出した。信玄がこれほど笑ったことがないと言う程に
大笑いした。
「曲淵めはものを知らぬやつだ。犬のような奴ではないか。犬は花壇を踏み荒らし、棒で追われると
その人に吠えつくモノだ。
しかし、鹿や狐を追わせると他の者ではまねができない。ああいう変わり者を家中に1人や2人いた方が、
面白いではないか。
曲淵は20か所の戦傷のある歴戦の勇者であり、彼ほどの勇者だからこそ広言を吐けるのだ。ゆえに、この件
で曲淵を許してもだれも税金支払い拒否のマネはしないであろう。」

結局この紛争はうやむやになったという。
(甲陽軍鑑)



660 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2008/11/21(金) 14:20:31 ID:DmGvCfZJ
曲淵と訴訟(その2)

庄左衛門は無類の「訴訟マニア」で、気に入らないとすぐ難癖を付けて公事奉行所に訴えるという
悪癖があり、なんと、43歳までに訴訟提起は75回にも及んだ。
しかし、そのほとんどが「いいがかり」であったから、勝訴1回・和解1回あっただけで後は敗訴73回
という有様であった。

ある時、庄左衛門はいつものようにいいがかり訴訟を提起して案の定敗訴した。
敗訴した庄左衛門は、
「今度のは負ける訴訟ではなかったが、負けたのは、奉行に賄賂をしなかったせいでござろう。わしの
在所にはさらし柿がどっさりあるから、この次はその柿を賄賂としてもって参りましょう」
と公然と奉行を侮辱した。
公事奉行の一人の桜井安芸守はその侮辱に対して、
「曲渕殿の言い分は信玄公を軽んじるものであろう。われわれは上様が定めた法度にしたがって裁いて
おる。再度訴訟を提起するならば、今度は正しい理屈をもって参られたい。
たとえ賄賂を山ほど積んで参っても負けは負けというもの。お分かりであろうな?」
それを聞いた庄左衛門は、
「それがし小身にて桜井殿には地位や肩書きではたしかに負けます。しかし、斬り合い
ではそれがしの勝ちですぞ。口惜しく思いなさるなら、勝負してやろうか。またたくまに、
貴様の頭を切り砕いてやんぞ。わかってんのか、ゴルァ!!」
と言って脇差に手をかけた。

奉行衆は青ざめて一言も発せず帰宅したが、これほどまでに侮辱されて泣き寝入りはできず、
信玄のもとに庄左衛門の所業を訴えにいった。
桜井は悔し涙を浮かべて、
「法の正義もあったものはありません。あんなモンスター原告の庄左衛門を成敗しないかぎり
奉行をやめたいです。」

それを聞いた信玄は、
「たしかに、そちたちの言い分は正しい。曲渕めはけしからん。神聖なる法廷でそのような侮辱
をしたということは、法度を制定した、わしをも軽んじたことになる。
しかし、まあ聞いてくれ、わしが前に板垣信憲を寺に押し込めたのは皆も存じておろう・・・
といって庄左衛門の昔話をはじめた。

庄左衛門の主人・板垣信憲は郡内の仕置きも余りよくなかったため寺に押し込められ、板垣衆は
解隊された。
ところがアイツは、山県隊への転属を命じたにも関わらず、信形に世話になったからその恩は忘れ
られないと申し、バカ息子の信憲を守護して寺にいた。ろくでなしの信憲でも主人と思ってな。
そんな折り、信憲はたまたま用事で来た本郷八郎左衛門とトラブルになって本郷に切り殺された。
本郷に聞いてみると、切られた信憲の方が悪いことが判明したので本郷を特に処罰しなかった。
しかし、曲渕は何を勘違いしたのか、本郷がわしが差し向けた刺客と勘違いして、主人の仇討のため
に、このわしを付け狙いおったのだ。
そのとき、流罪にでもしようかと思ったが、わしは正左衛門を呼びつけて叱っただけで済ませた。利に
付かず、よく信形の恩を忘れぬ心根にわしはひどく感心したのだ!

あのようなものはまるで猫のようなものじゃ。猫というものは飼い主にも心なつかず、きれいな部屋の
中にも平気で糞をするというわるさをする。しかしネズミを良く捕って役に立つ。
ネズミもとりつくすと猫は自分のわるさを忘れて主人に重宝されていると傲慢になるものじゃ。
曲渕も猫じゃ。合戦の功名はネズミにとるのに等しい。そして、アイツの手柄は歴戦の勇士というにふさ
わしい。
ああゆうやつもいなくては、我が家は大きくなりえないであろう。

どうだ、わしに免じて許してやってくれ。わしからその方たちに頭を下げて頼む。
古より「良匠は材をすてることなし、明君は士をすてることなし」というではないか。勘忍の2字で考えてくれ。」
といった。

こう言われては、さすがに庄左衛門を成敗を要求できず、とうとう許したという。
(甲陽軍鑑)




662 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2008/11/21(金) 16:28:15 ID:jypY5W5E
曲渕は犬ともいへ猫ともいへ

663 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2008/11/21(金) 18:14:07 ID:pbawBMLS
ぶっちゃけそういう執念深い性質だったから下手に改易したりすると
命狙われそうで持て余してたんじゃね信玄さん。

669 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2008/11/21(金) 20:36:25 ID:+l5NO4zd
曲淵の逸話はいつも、最終的に頭のいい人に言いくるめられるってパターンだよなw

672 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2008/11/21(金) 23:28:56 ID:wVJOSfbX
>>659
>>660
信玄の例え話能力は異常
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    今福浄閑斎要する公事奉行衆もこいつには敵わんかwww

  2. 人間七七四年 | URL | -

    モンスター原告www

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