FC2ブログ

小早川隆景と天狗山伏問答の事

2012年06月01日 21:01

490 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 01:05:55.50 ID:Y4jH3miA
朝鮮出兵の前、秀吉が小早川隆景に渡海の為の造船を命じた。
豊前の彦山(現:英彦山)には楠の大木が沢山あるので、
これを切り出してきて大船を造れと言う。
隆景はさっそく彦山に行き、その旨を告げた。
この彦山、羽黒山や熊野大峰山と並ぶ修験道の山で、
天正9年に大友義統の軍勢に攻め込まれるまでは、
数多くの僧兵を有した一大勢力だった。
そんな山だったので、山の座主は色々理由を並べて木材伐り出しを拒否したのだが、
隆景が「関白殿下の仰せだ」と伝えると座主は納得し、
隆景を座主の坊にしばらく滞在することとなった。

さて、ある夜のこと。
外は秋雨が降っており、深山は寂寞たる風情であった。
隆景は一人灯りをともして心を澄まし、古詩を吟じていた。
すると風がさっと吹き、どこからともなく身の丈七尺はありそうな山伏が現れた。
頭巾をかぶり鈴懸を付け、数珠を持って隆景の前に座し、
大きな目を突き出して睨みつけてくる。
隆景は「これは何かありそうな山伏だ。
きっとこの彦山に棲むという豊前坊という大天狗に違いない」
と冷静に判断し、少しも騒がず、瞬きもせずに静かに山伏と睨み合った。

491 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 01:07:11.69 ID:Y4jH3miA
暫くして、山伏は話し出した。
「左金吾殿、この山の木は開基千百年の昔から一度も伐られたことがない。
これは人々が神仏を敬い慕うがゆえに守られてきたことだ。
それなのに、隆景が何の恐れもなく木を伐採し、舟具に用いるとはなんと奇怪なことか。
貴公は仁義の大道に尽力し、仏神に帰依の心も深い。
この末法の世には有り難い名将だと聞き及んでいたのに、
こんな悪逆無道のことをするとはいかなることか」
と声を荒げて言いつのった。

しかし隆景は答えた。

「これは貴公のような山伏の仰せとは思えない。
この彦山の樹木を、この隆景の私用の為に伐るのであらば、
そのようなそしりを受けもしよう。

しかしこれは関白殿下の御命であり、隆景はその奉行として罷り出でたのだ。
この山の木を伐らせるのに前例がないからと言って殿下の命に背くのであれば、
それは天下の下知に背くのと同じことだ。

“普天のもと、王土にあらずということなし”という。
秀吉は天子ではないが、畿内は天子の直轄地であり、そのほかは将軍の令を守るものだ。
天下の下知に背くのはいかなる道理があっても罷りならぬ。
ゆえにこの命に背くなどあってはならないことだ。
 

492 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 01:09:20.99 ID:Y4jH3miA
次に、この隆景のことを悪逆と言ったが、
山伏殿の方こそ自分勝手なことばかり言っているではないか。
役行者(修験道の開祖)以来、山伏の法には、
私利私欲を優先して世の法を破れとでも書いてあるのか。
もしそうなのであらば、山伏は邪魔外道の法で、正法のものではない。
正法は私欲を禁ずる。ならば樹木に執着し、縛られるとはいかなることか」

すると山伏は、
「“普天のもと、王土にあらずということなし”とはもっともなことだ。
貴公の科ではないというのも歴然だ。ではお暇申し上げる、さらばだ」
と言い残して、掻き消えるように姿を消した。

隆景が少しでも臆していれば、こんなふうに理詰めで天狗に相対出来ず危険なことになっていたに違いない。


この話には「小早川隆景と天狗山伏問答の事」とタイトルが付けられている。
あの叔父上、問答じゃなくて、どう見ても天狗を説教してるようにしか見えません。




493 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 01:11:42.19 ID:HcCfmW67
誰だよ、隆景さんを勇気が足りないとか評した猿は

495 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 01:52:11.15 ID:5Asxeie0
鬼武蔵なら「これ幸い」とばかりに斬ってた
というわけで、隆景さんは勇気が足りないんですたぶん

496 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 01:56:07.24 ID:L/m9IHAJ
>>490
これ浮世絵なかった?
国芳か芳年か

497 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 02:14:23.29 ID:Y2ggbcaz
>>496
これか
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/6e/Yoshitoshi_Kobayakawa_Takakage.jpg

498 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 02:14:29.43 ID:O+KsRu1y
なんか似た様な話で幽斎様が歌詠んで坊主言いくるめた話なかったっけ?

499 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 03:44:19.94 ID:9LvqZDiA
>隆景が「関白殿下の仰せだ」と伝えると座主は納得し、…

>しかしこれは関白殿下の御命であり…

結局二人とも秀吉の名前出されてビビっただけだろw

500 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 04:19:19.06 ID:L/m9IHAJ
最初の座主は秀吉の名前出してきたから一応退いておこう
あとで怖そうなやつを隆景んとこ行かせて
恫喝か丸め込むか説得するかすれば材木出さなくていいかも!
…そう考えてた時期もありましたが、いざやってみたらあっさり相手に論破されて帰りました

、と読んだ


501 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 04:43:08.30 ID:dCFC8XPh
山伏「(関白の命令とか聞いてねーし…あの座主後で覚えてろよ!!)」

502 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 07:29:12.77 ID:ZSZ38JEh
やっぱりあの時代に殿下に逆らう輩は少ないんだな

503 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 08:20:46.35 ID:vp+u21JC
外国を攻めようって時になんなのこの会話w

504 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 09:31:34.72 ID:+srNOLeV
実際はこれくらい必死だったんじゃね?


     )、._人_人__,.イ.、._人_人_人_人
   <´ 関白じゃ、関白殿下の仰せじゃ! >
    ⌒ v'⌒ヽr -、_  ,r v'⌒ヽr ' ⌒ヽr ' ⌒
// // ///:: <   _,ノ`' 、ヽ、_ ノ  ;;;ヽ  //
///// /::::   (y○')`ヽ) ( ´(y○')    ;;|  /
// //,|:::     ( ( /    ヽ) )+     ;| /
/ // |:::     +  ) )|~ ̄ ̄~.|( (       ;;;|// ////
/// :|::       ( (||||! i: |||! !| |) )      ;;;|// ///
////|::::    +   U | |||| !! !!||| :U   ;;; ;;;| ///
////|:::::       | |!!||l ll|| !! !!| |    ;;;;;;| ////
// / ヽ:::::       | ! || | ||!!|    ;;;;;;/// //
// // ゝ:::::::: :   | `ー-----' |__////

505 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 10:29:28.25 ID:4bIeu5sk
天狗がワシの意に背いておると?

山を焼き狩りたてい

506 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 11:15:32.23 ID:O+KsRu1y
            , ;,勹
           ノノ   `'ミ
          / y ,,,,,  ,,, ミ
         / 彡 `゚   ゚' l
         〃 彡  "二二つ
         |  彡   ~~~~ミ      はいはい、わしのせい わしのせい
     ,-‐― |ll  川| ll || ll|ミ―-、
   /     |ll        |   ヽ
  /       z W`丶ノW     ヽ
 /        \\   / /      |
/    天      \`i / /  狗   |

507 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 11:20:44.47 ID:6C1Tg7XK
>>499
オール殿下だね。

508 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 12:54:04.48 ID:twKtTH9W
平安時代あたりの大寺社の坊主なんて、天皇さえ恐れず文句言ったのに(その文句が正しいかはともかくw)……。

509 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 13:25:43.71 ID:ruAwSseb
関白「よし、じゃあ死ね」

510 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 14:59:00.51 ID:V3R0q1DF
まあどう考えても関白様>天狗だよな。
中ボスとラスボスくらいの差はある。
スポンサーサイト





コメント

  1. | |

    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

  2. 人間七七四年 | URL | -

    >>504
    隆景さんいったいどんな顔して言ってんだよ
    あのすました肖像画からは想像できん・・・

  3. 人間七七四年 | URL | -

    ※2殿
    輝元「裏の顔は…」

  4. 人間七七四年 | URL | -

    天狗よりも恐い太閤殿下

  5. 人間七七四年 | URL | -

    自称新八幡ですし……

  6. 人間七七四年 | URL | -

    よく読むとこれ秀吉はどーでもよくて天下の下知に背いてるのはお前の方だって言いたいだけなんだよね。
    天狗が反論できなかったのはやっぱり後ろめたいところがあったからなんだろう。

  7. 人間七七四年 | URL | -

    天狗「いや、そんな素で返されると……
    なんかやりにくいなぁ、こういう人」

  8. 人間七七四年 | URL | -

    >“普天のもと、王土にあらずということなし”という。
    >秀吉は天子ではないが、畿内は天子の直轄地であり、そのほかは将軍の令を守るものだ。
    >天下の下知に背くのはいかなる道理があっても罷りならぬ。
    >ゆえにこの命に背くなどあってはならないことだ。

    まさに官僚の鑑だな、隆景

  9. 人間七七四年 | URL | -

    美形で頭脳明晰、理路整然とした物言いに武人の矜持、そして愛妻家。
    なんだかなぁ~(嫉妬)

  10. 人間七七四年 | URL | -

    こう言う物怖じせず理詰めで反論するのって、結構格好良い逸話ですね。
    でも良々考えて見ると、「殿下がおっ怖無いから」って意味な気もするw

  11. 人間七七四年 | URL | -

    ※9
    忠興「いやいや、そんなに褒められると照れるなぁ」

  12. 人間七七四年 | URL | -

    秀吉「何を言うか!斬るのは嫌いだとあれほど・・・」
    左金吾「太閤様は『斬る』以外の方法をお好みなんだよね~
       釜茹、火炙り、干殺し・・・ect、君達はどれがいい?」
    山伏「ガクブル」
    座主「ガクブル」

  13. 人間七七四年 | URL | -

    すみません、>>494は>>486に対するコメントではないでしょうか?

  14. まとめ管理人 | URL | wZ.hFnaU

    ※13
    ご指摘ありがとうございます。直しておきましたー

  15. 天狗ごときがラスボスに逆らうなんぞ不可能

  16. 人間七七四年 | URL | -

    信長「禿げ鼠ごときが・・・」

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://iiwarui.blog90.fc2.com/tb.php/6464-346b8c30
この記事へのトラックバック