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佐々成政「謙信などという者は」

2012年06月14日 21:07

898 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/13(水) 20:52:17.68 ID:vpGfu2C7
ある時、富山城の佐々内蔵助成政は、城内に桜の馬場が完成したというのでそこに出向くことにした。
そしてこの時、氷見郡阿尾城主であった菊池伊豆入道(武勝)にも出仕するよう申し付けた。

菊池入道は「私はもう隠居した身です。どうぞお許し下さい」と申し上げたが、たっての事だと言われ、罷り出ることになった。

さて、出仕してみると成政は御機嫌で酒など飲んでおり、菊池入道を見つけると、”なますの盃”という秘蔵の盃を取り出し酒を注がせ入道を呼び

「其方、この盃で一献指すがよい」

と言う。菊池入道は喜び「忝き次第です。生前の大慶、これに過ぎることはありません。成政様が
常々おっしゃっているように、この盃は常にはお出しすることのない物です。有難いことです。」

と一盃飲み干し、盃をそこに置いて立ち下がろうとした。と、ここで成政
「その盃をこちらにも指さないか。」

返杯をせよ、というのである。しかし盃を交わすというのは同格かそれに近い者の間ですることである。これには菊池入道恐縮し

「いかに成政様の仰せと言えどもそれは憚るべきことです。どうかお許し下さい。」などと必死にこれを
断ろうとした。しかし成政は

「其の方は常の人並みの者ではない。ただ、私に返杯するのだ。」

これには菊池入道も「重ねて御辞退するのも、憚りのあることです。」
この待遇に感激した菊池入道は、御前に自分が飲んだ盃を置くと

「さてさて忝き次第。この度の返杯の仰せ付け、吾が家の威光となるものでございます。
このためわたくし、御前を憚らず御肴を進上したいと思います。

そう言うと指していた脇差を抜き

「この脇差は鬼神大王と言いまして、上杉謙信が当国に討ち入られました時に私に下されたものです。
上杉謙信は、7ヶ国の管領となりました。殿様もどうか、謙信に御あやかりください。」

と、成政に進上した。ここまではいい話である

これを聞くと成政はみるみる機嫌を損じた
「さてさて年寄りめ途方に暮れ、うつけたことを言い出したものよ!
あの謙信などという者は、私の足元にも及ばない人物だ!それにあやかれとは、どういうことだ!?」

そのように激しく叱りつけた。この時菊池入道は脇差を下げることもできず、だからと言って
進上することも出来ない状況で申し上げたことには

「御尤も千万でございます!上様(織田信長)がお亡くなりになり、今や御前(成政)が天下を得ること、
疑いありません。この年寄り、うつけを申し上げてしまいました。

しかしながらこの脇差を引けとは仰らないでください。お酌をしている小姓の方に、これを差し上げたいと思います。
小姓殿、殿様は天下の主。あなたは殿様の御太刀かげにて、謙信にあやかり、7ヶ国取り給え。」
そうして盃も脇差も小姓に渡した。

「私も頼もしいことです。殿様太刀かげにて一国の主にもしていただけるでしょう。」

これに成政、たちまち機嫌を直し
「尤もである!あれらは謙信にあやかるのが良い!」そう笑った。

さて、菊池入道がその座を立って帰宅するという時、傍輩にこんな事を言い残した
「今日も面目を失ってしまったよ。是非もないことだ。これは私が老耄してしまったせいであり、
今後はもう、公の場所には出ないようにするよ。とすればこの富山城も、今日が見納めか…。」

菊池伊豆入道武勝が佐々成政から前田利家に寝返ったのは、それから間もなくのことであった。
(菊池文書)




899 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/13(水) 21:22:16.49 ID:B3IkbAH6
信長が死んでよほどうかれてたんだな 佐々

900 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/13(水) 22:34:31.62 ID:Mz61eB0V
惜しいな佐々
ちょっと足りない

906 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/14(木) 13:52:04.49 ID:f2rPJSJg
>>899
ノブが死んでうかれる?
佐々,前田、丹羽は、ノブが死んで秀吉が出しゃばって、内心残念な気分では

907 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/14(木) 14:04:27.17 ID:nKUDRsxz
そんな気持ちはさらさら越え
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    軍神と愉快な仲間たち一同「よろしい、ならば闘争だ」

    肥後国人衆「こいよ成政、一人で鎮圧してみろよ」

  2. 人間七七四年 | URL | -

    八甲田山「飛騨山脈がやられたか…なら我々ならどうだ?」
    歩兵第5連隊「お願いだからやめたげて!」

  3. 人間七七四年 | URL | -

    この人って、前田に寝返った際に前田慶次と組
    まされるんだよね。なんか罰ゲームみたいだ。

  4. 人間七七四年 | URL | -

    この菊池伊豆って本当に出来た人物だったんだと思うわ。

    ※3
    前田家連枝の慶次と組むなら、それなりに信頼されてたんじゃないか?

  5. 人間七七四年 | URL | -

    ※4
    や、慶次さん、阿尾城代になったはいいけど、
    ここって多頭体制だったもんだから、(しかも
    相方は一族じゃない)かなりむくれたそうな。
    伊豆さんも慶次の機嫌取ってやんなきゃで、大
    変だったろうなー、と思って。

  6. 人間七七四年 | URL | -

    つか基本的にノブノブの織田過信団って「強くて勇敢で野心があって運が強い」ひとばっかりなんだよなあ

    ついていけないと死んじゃうし…

  7. 人間七七四年 | URL | mQop/nM.

    ※6
    坂井さんとか簗田さんとか、原田さんとかですね、わかります。
    ただまぁ、あんだけ支配地域を広げながらであれば、他と比べて家臣の損耗率が高いってワケでもないと思うけどね。

  8. 人間七七四年 | URL | -

    >強くて勇敢で野心があって運が強い

    鬼武蔵「お、おう・・・へへ、恥ずかしいだろ!」

  9. 人間七七四年 | URL | -

    ※7
    そうそう、坂井さんとか簗田さんとか、原田さんとか、橋守さんとか関守さんとか・・・アレッ?

  10. 人間七七四年 | URL | -

    >>5
    まぁ立場的に一門衆の相方が裏切ってきた奴とかそりゃ面白くないわな
    俺の扱いはこの程度か。とむくれる気持ちも解る

    ましてや慶次は経緯が経緯だし

  11. 人間七七四年 | URL | -

    ※10
    実際そんな感じなんだけど、慶次の不満の矛先
    は菊池さんよりも、片山延高とか高畠定良みた
    いな、前田家臣に向けられてて。連中も慶次に
    対しては、微妙な感情があってね。中途採用の
    くせに一門面して、みたいな。んで、慶次があ
    んな性格だから、菊池さんもあちこちに気を使
    いまくり。

  12. 人間七七四年 | URL | -

    ※11
    調子に乗りやすいワンマン社長のところからケチな社長のいるライバル会社に転職したら人間関係ガッタガタで、転職してきた人なのに社長関係者と先輩社員達との折衝役になってしまったのか…

  13. 人間七七四年 | URL | -

    自尊が強すぎて士卒の心を獲る事を平素
    怠ってたのかなと思わせるエピソードだな
    萎れて帰っていく伊豆入道可哀想・・

  14. 人間七七四年 | URL | A75NpKCQ

    伊東清蔵「強くて勇敢で野心があって運も強けりゃ、武具なぞ要らんよね」

  15. 人間七七四年 | URL | -

    佐々佐々成政後ろ盾失って以降は越中一国すら維持出来なかったからこういう増上慢エピソードが増えるのかな
    それともやっぱり単純に高慢傲慢増上慢な人だったんだろうか

  16. 人間七七四年 | URL | -

    菊池さんにとっちゃぁ大事なお宝でも
    敵対して戦ってきた上杉の偉人にあやかれって言われりゃ
    おもしろくない気持ちもわからないでもないけどね

  17. ?? | URL | oM6tt0T6

    作り話を根拠に悪く評価されてばかりの哀れな成政さん。
    思惑通り、後世の人間がたくさん釣れて前田家ほくほく・・・。

  18. 人間七七四年 | URL | -

    羽柴方(前田)と上杉に挟まれて苦戦してる時期に「上杉の武勇にあやかる」なんて出来るわけない。入道は遠回しに降伏を勧めたようにも見える

  19. 人間七七四年 | URL | -

    ※1
    「一人で行く必要はないな」
    ※2
    「不謹慎」
    「不謹慎」

  20. 人間七七四年 | URL | kBxNf4jA

    ※17
    4年も前のコメントにアレだけど、

    三成擁護の人もそうだけど、後世に残された悪評のすべてが捏造という態度はちょっと、ね……

    成政は富山での統治に功績があったことはしってるけど、だからといって成政に人格的・政治的欠陥がなかったことにはならないだろう(武田信玄・伊達政宗・石田三成・加藤清正・明智光秀その他の大名武将にも農業生産力の向上や河川修築事業などの民政面での功績があるが、人格や政治家としての評価は微妙なところもある)
    正直信長に従った武将連は人格的に偏った連中多いから、成政の後世の悪評がすべて事実でもそんなにおかしいとは思わないな。前田家によって捏造されたものも確かにあるんだろうけど

    ※19
    成政さん7000人も連れて行ったのに負けちまったね……
    別のところで、秀吉は最初から成政に国人の反乱を鎮圧させるつもりだったんじゃないかっていう意見みたことあるけど、この人数じゃ無理だよねぇ……(肥後国人側は35000人)
    といって立花宗茂は食料の補給を1200人でうまく包囲をかいくぐって成功させてる
    こういうところ成政をあんまり高く評価する気にならないところだわ
    成政をみょうに擁護するのってやっぱり地元の人なんだろうか?

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