896 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/16(土) 08:37:27.87 ID:Nfp8NyG6
天文二十三年、毛利元就はそれまで手を組んでいた陶晴賢に反旗を翻し晴賢側の安芸の諸城を怒涛の勢いで攻略し始めた。
これに陶晴賢は船岡山の合戦などで高名を馳せていた宮川房長を派遣して元就討伐にあたらせた。
陶軍は各地で兵を募りながら膨れ上がり、その数は2万とも噂されるほどだった。
対する毛利軍はわずか3千余り。
対峙して元就はどうするべきかと作戦を練っているところに、敵方の様子を探らせていた斥候より一報が入る。
情報によると、今夜敵は秘かに軍を動かし兵を川岸に伏せ、明朝未明に合戦を仕掛けるやいなや
不意打ちをしようと目論んでいるとのことであった。
そこで元就は福原貞俊、宍戸隆家の両将に「急ぎ川岸に向かい、敵の伏兵を逆に不意打ちして討ち取れ!」と命じた。
両将は直ちに現場へ急行したが、元就は現場の地の利に不安を覚え
秘かに後を付け川がよく見渡せる川岸手前の小高い丘から現場を見渡した。
空は曇り月明かりさえも届かずあたりは漆黒の闇で、もちろん敵味方ともに伏兵として行動しているので
人馬ともに音を立てずひっそりとして静かであった。
なので丘から見渡しても敵味方の動きは何も見えず、気配すらわらかない有様だった。
ところが、突然に元就は両将へ伝令を送り「直ちに現場から急いで引き上げよ!」と命じた。
両将は命令通りすぐに戻ってきたが、突然の命令であったため不審に思い元就に理由を尋ねた。
これに元就はこう答えた。
「敵陣や伏兵のありそうなところは暗闇で何も見えず全くわからなかったが、ただ川には数多くの蛍火があった。
ところが、突然川下の方で蛍火が乱れ、やがて一つ残らず逃げ失せた。
これは敵軍が我々の行動に気付き、不意打ちをしようとして川下を秘かに渡っているに違いないと思ったので
直ちに兵を引き上げさせたのだ。」
翌日、現場を確認してみると確かに川下を敵兵が渡った形跡があったので家臣たちはこの元就の明察に感じ入ったという。
折敷畑合戦で毛利元就が宮川房長率いる陶軍を壊滅させる数日前の出来事であった。
897 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/16(土) 14:21:32.39 ID:ygzQ02WT
源義家と大江匡房に因んだ創作
898 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/16(土) 14:41:13.16 ID:2XxBulvc
祖先の兵法を知ってても不思議ではない
899 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/16(土) 16:44:39.13 ID:KFV2WIV2
八幡太郎さんの故事を読んだ経験がホタルを見たときにピンと合わさったんだろうな。
それを即自分の戦術に用いるのは良将の知恵
似ているから創作だと決めつけてしまうのがオタ知識
900 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/16(土) 17:49:44.21 ID:WyKotWyo
奇襲の情報はから相手方の罠だったんだろうなあ
それにしても蛍の動きを見ただけで相手の動きに気付くとはさすがに元就は戦上手だな
天文二十三年、毛利元就はそれまで手を組んでいた陶晴賢に反旗を翻し晴賢側の安芸の諸城を怒涛の勢いで攻略し始めた。
これに陶晴賢は船岡山の合戦などで高名を馳せていた宮川房長を派遣して元就討伐にあたらせた。
陶軍は各地で兵を募りながら膨れ上がり、その数は2万とも噂されるほどだった。
対する毛利軍はわずか3千余り。
対峙して元就はどうするべきかと作戦を練っているところに、敵方の様子を探らせていた斥候より一報が入る。
情報によると、今夜敵は秘かに軍を動かし兵を川岸に伏せ、明朝未明に合戦を仕掛けるやいなや
不意打ちをしようと目論んでいるとのことであった。
そこで元就は福原貞俊、宍戸隆家の両将に「急ぎ川岸に向かい、敵の伏兵を逆に不意打ちして討ち取れ!」と命じた。
両将は直ちに現場へ急行したが、元就は現場の地の利に不安を覚え
秘かに後を付け川がよく見渡せる川岸手前の小高い丘から現場を見渡した。
空は曇り月明かりさえも届かずあたりは漆黒の闇で、もちろん敵味方ともに伏兵として行動しているので
人馬ともに音を立てずひっそりとして静かであった。
なので丘から見渡しても敵味方の動きは何も見えず、気配すらわらかない有様だった。
ところが、突然に元就は両将へ伝令を送り「直ちに現場から急いで引き上げよ!」と命じた。
両将は命令通りすぐに戻ってきたが、突然の命令であったため不審に思い元就に理由を尋ねた。
これに元就はこう答えた。
「敵陣や伏兵のありそうなところは暗闇で何も見えず全くわからなかったが、ただ川には数多くの蛍火があった。
ところが、突然川下の方で蛍火が乱れ、やがて一つ残らず逃げ失せた。
これは敵軍が我々の行動に気付き、不意打ちをしようとして川下を秘かに渡っているに違いないと思ったので
直ちに兵を引き上げさせたのだ。」
翌日、現場を確認してみると確かに川下を敵兵が渡った形跡があったので家臣たちはこの元就の明察に感じ入ったという。
折敷畑合戦で毛利元就が宮川房長率いる陶軍を壊滅させる数日前の出来事であった。
897 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/16(土) 14:21:32.39 ID:ygzQ02WT
源義家と大江匡房に因んだ創作
898 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/16(土) 14:41:13.16 ID:2XxBulvc
祖先の兵法を知ってても不思議ではない
899 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/16(土) 16:44:39.13 ID:KFV2WIV2
八幡太郎さんの故事を読んだ経験がホタルを見たときにピンと合わさったんだろうな。
それを即自分の戦術に用いるのは良将の知恵
似ているから創作だと決めつけてしまうのがオタ知識
900 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/16(土) 17:49:44.21 ID:WyKotWyo
奇襲の情報はから相手方の罠だったんだろうなあ
それにしても蛍の動きを見ただけで相手の動きに気付くとはさすがに元就は戦上手だな
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コメント
人間七七四年 | URL | -
源義家の逸話は、
雁の隊列が乱れていたのでしたっけ。
( 2012年06月17日 00:49 )
人間七七四年 | URL | -
この頃の蛍はブンブン飛び回ってそうだからな。
( 2012年06月17日 01:27 )
人間七七四年 | URL | -
元就はこういう鋭い観察眼があったからこそ数多くの戦をしてもほとんど負けなかったんだろうね
( 2012年06月17日 11:41 )
人間七七四年 | URL | -
※2
生き物全般やたら強いもんね
人食い蛍がいても俺は驚かないよ
( 2012年06月17日 14:34 )
人間七七四年 | URL | WJ9iU69.
>4
70年ほど前の欧州には鋼鉄の豹や虎を食らう蛍が居てだな(違
……最も、欧州の蛍には、成虫になっても他の昆虫を捕食する奴が居るそうだが
( 2012年06月17日 14:49 [Edit] )
人間七七四年 | URL | -
安芸の銀山城攻めの際に川へ火を付けた草鞋を流して松明抱えて渡河しているようにみせかけて自落させたとかの逸話もあるから夜間の状況分析では光の評価ってのはデフォなのかもね
( 2012年06月17日 15:23 )
人間七七四年 | URL | -
やはり戦場は、自然との闘いでもあるのですね。
天候だけでなく、昆虫や獣にも気を付けないとは。
>米5
そのファイアフライじゃないwwww
(シャーマン・ファイアフライの意)
( 2012年06月17日 18:27 )
人間七七四年 | URL | -
チハタソ「僕もその蛍くらい強かったらな・・・・・・」
( 2012年06月18日 00:24 )
人間七七四年 | URL | -
蛍ってそんなに遠くからみえry
( 2012年06月19日 08:57 )
人間七七四年 | URL | -
??「わしはこぼれ蛍であった。シクシクシク」
「でっ、出たーーーー!!」
( 2012年06月19日 20:46 )
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