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教如、虎口を脱す

2012年06月17日 21:06

教如   
923 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 17:18:21.88 ID:MD1w7Emq
>>842の続き話。
関ヶ原合戦の直前江戸で家康に謁見し後の復権に大きく近づいた
教如上人であったが、その帰路に待ち構えていたのは人生最大級の受難であった。

家康に尾張まで送ってもらうまでは良かった教如一行だが、その先の美濃は
まだ完全に西軍の支配下にある。
散々慰留しようとした教如に逃げられた挙句内部情報を家康に
漏らされてしまった石田三成は、はっきり言ってキレていた。
(西軍が実は内通者の宝庫であり自身の手紙ですら東軍に流出しまくりだとは
夢にも思っていない)三成の怒り様は相当なものだったようで、
教如の帰還を知るや否や兵を送り、なんとまあ教如を殺しにかかったのだ。

墨俣の渡し場で石田勢と遭遇した教如一行はたまらず近くにあった光顕寺に
避難し、上人は本堂の須弥壇(しゅみだん)の下に潜り込んで隠れてかろうじて
追手の目を晦ました。
教如はこの時死をも覚悟したらしく、手近にあった鏡板(現存する)に辞世の句を書きつけている。

散らさじと森辺の里に埋めばや 影は昔のままの江の月


924 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 17:19:11.58 ID:MD1w7Emq
ともあれ光顕寺ではかろうじて生き延びた教如上人だったが、まだまだ京への道は遠い。

ここで近郷の村・寺に教如の苦境が伝わると、無事に教如を帰すための
特別同盟が組織される事になった。
「土手組」(どろてぐみ)と呼ばれるこの集団は屈強な門徒八十二人からなる
精鋭部隊を組織して教如の護衛に付けると共に、道中の二十ヶ寺を拠点に提供した。

新たに彼らの助けを得て出発した教如一行は、西圓寺に入った。
ところがここでもすぐに石田方に所在が知れてしまい、またもや
寺に籠って戦いを繰り広げる事となってしまった。

「上人が危ない」
この情報を聞きつけた近郊の揖斐春日谷の住民たちは
急ぎ屈強な男衆二十七人を選り抜き西圓寺に向かわせたのだが、
こいつらの経歴がまた一段とすごい。

某右衛門「俺は石山本願寺に十年いたから、顕如様を見てるんだぜ」
某蔵「ふーん、俺は長い事長島に居たからよく知らねえなあ」
某右衛門「そういや長島じゃ大変な目にあったそうじゃないか」
某蔵「おうよ。信長が和議の約定を破った時はさすがにもうだめかと思ったぜ。
   ま、無我夢中で暴れてみたらいつの間にか織田家一門衆を大量に討ち取った上に
   脱出もできたんだけどな。いやあ人間、必死になりゃ何とかなるもんよ、がっはっは!」

…彼らは過去の一向一揆を肌で知っている猛者たちであり、身には襤褸(ぼろ)を纏って顔には鍋墨を塗り、
人とも鬼とも付かぬ異様の形相で得物を引っ提げて西圓寺に向かったという。
この時代至る所にいたであろうモンスターの一種である。

925 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 17:22:10.03 ID:MD1w7Emq
モンスター農民VS西軍の激戦が西圓寺で行われるなか、寺内では一計が案じられた。
西圓寺の住職の容貌が教如と似ている事を利用し、住職が「身代わり教如」となったのだ。
身代わり教如が東へ走る隙に、本物の教如は門徒に背負われ北へと逃げて行った。

身代わり教如は追手に追いつかれ死んでしまったが、本物の教如はひたすら逃げ回った。
身代わりの首を見て偽物である事に気づいた三成は激怒し、尚も百余り人の兵に追跡させる。
街道筋をくまなく押えられた教如は進退に窮まり、国見岳中腹の岩窟に身を隠した。
現在は教如岩とも呼ばれているこの岩窟で教如は数日間隠れ、村人たちの捧げる粗食で
かろうじて命をつないでいた。

まさしく踏んだり蹴ったりの教如であったが、九月十五日には三成が関ヶ原で敗北。
虎口を脱する事ができた教如は村で休養を取った後、国見峠から長浜を経由して京に帰還する。

一連の戦いで土手組の勇士八十二人のうち十九名は命を落としたが、彼らが命を懸けて
守り通したした上人は、後に再び法主として返り咲くことができた。
彼らには供養塔が、そして上人の身代わりとなった西圓寺住職には太鼓塔が建てられ、
現在でも祀られ続けているという。




926 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 17:36:24.62 ID:/y6VeIcN
誰か歌の意の解説お願いします

927 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 17:45:08.17 ID:/WaaTE0C
石山長島生き残りの一向門徒ってムチャクチャ強そうw
宗教信者ってより歴戦の傭兵みたいなものだったろうし

928 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 18:22:59.26 ID:ki6yvYI/
北斗の拳に出てくる南斗の中途半端な拳使う大男とかのイメージ

929 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 19:03:53.68 ID:LF71Jdc7
そう考えると
かのヒャッハー富田さんが700の兵で3万の一向宗を蹴散らしたのって相当やばい事だよな
正規兵と互角に戦ってるような連中を・・・

930 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 20:48:44.58 ID:7QCKMaGX
和睦破りの攻撃(恐らく後の信長の和睦破りはこの報復)とはいえ氏家ト全殺して、柴田勝家もやりかけた
一揆勢のベテランだからなぁ……。

931 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 20:54:52.41 ID:MD1w7Emq
>>926
正しいという保証はありませんが…
川の上から照らす昔と変わらぬ月の光を、
方々に掻き消えてしまわないように森の辺りに埋めてしまいたい…
というのが直接的な解釈。
実はこの和歌が記された光顕寺周辺は森部と呼ばれている事から、
「森辺」と「森部」が掛っていると考えられます。
従って自分は、江の月の光が教如自身でありその自分がこの森部で散る(死ぬ)ことの
ないよう、須弥壇の下といわず地中までも潜り込みたい、という
切羽詰まった状況の描写の意味を込めているのかなと捉えています。


932 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 21:34:48.31 ID:/y6VeIcN
>>931
ありがとうございます

散らさないように森に埋めたのに、なんで影(江に浮かぶ月?)があるのかわかりませんw
仏教的な寓意が込められた歌なのですかね?

935 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 21:55:40.59 ID:wvINmDXU
揖斐から小谷をショートカットする国見峠を通った時に
確かに教如ゆかりのようなものがあったなあ
ちょっと道から外れてたから通り過ぎたけど

森辺は前田利家が織田家への帰参が叶う活躍をした森部の戦いの地だな

937 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 22:03:41.33 ID:CijZPTMV
坊さんが埋まるていうから信西かと思ったわ

940 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 22:39:13.89 ID:MD1w7Emq
>>932
古語では「影」は「光」を意味します。
そのため「月の影」はそのまま月光を意味すると考えて差し支えないかと。

941 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/18(月) 00:10:29.19 ID:h1Qqt6Oo
つか何でそんな無理して帰ろうとしてるんすか…ちょっと待ってりゃ良いものを。
本気で一揆やる気だったのか?うーん怖い怖い。


942 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/18(月) 00:16:57.25 ID:MtlzuaqH
ちょっと待ってる間に西軍が勝っちゃったらもっとヤバいからじゃないか。

943 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/18(月) 00:19:30.68 ID:W9oqS2v7
1日で終わるとは誰も思ってなかったんだろ。
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    身には襤褸(ぼろ)を纏って顔には鍋墨を塗り

    まんま民兵のゲリラ戦の嗜みそのものじゃねえか。

    正規兵と戦うにはこうあるべしって古今変わらないのね。

  2. 人間七七四年 | URL | -

    モンスター怖いお…

  3. 人間七七四年 | URL | -

    モンスター農民怖いお(´・ω・`;)

  4. 人間七七四年 | URL | -

    >923にある

    >西軍が実は内通者の宝庫であり自身の手紙ですら東軍に流出しまくりだとは
    夢にも思っていない

    これは三成側の証言としてなんか残ってるの?
    味方になるかどうかも分からん連中含めて手紙だしてるんだから、最低でも徳川方に付いた連中から漏れるのは織り込み済みじゃないか?

  5. 人間七七四年 | URL | -

    >屈強な門徒八十二人からなる
    >ところがここでもすぐに石田方に所在が知れてしまい

    これって、この時期大人数でウロウロしていたから、見つ
    かったんじゃないの?しかし、逆に土手組が居たからこそ
    助かったともいえるし。宗教絡むと怖いわ~。

  6. 水無月葉月 | URL | -

    >>926
    死にたくねぇとこんな人里離れたところで隠れてるけど、お月さんは昔とかわんねぇなぁ。

    で、命さえ危ういところまで落ちぶれた自分の身を、いつまでも変わらない月と比べて嘆いた歌

  7. 人間七七四年 | URL | -

    ホント戦国は地獄だぜ
    ただの農村まで武装集団だからなあ
    もう北斗の拳のイメージしか浮かばない

  8. 人間七七四年 | URL | -

    米6さん
    死にたくないと森部に身を隠す身となったが、阿弥陀さんの本願の光はこんな状況でも変わらず私を照らしている

    と真宗的な解釈をしてみました

  9. 人間七七四年 | URL | -

    幕末も鴉組(侠客)、山国隊(山民)、奇兵隊(相撲取り、部落民etc)といった武士以外の層の強い兵団が活躍してるよね。尚武の気風の強い時代だったのでしょう

  10. 水無月葉月 | URL | -

    米8殿
    言葉に込められた意味や解釈の仕方が一つではないところが、日本語と句の奥深さですね。

  11. 人間七七四年 | URL | -

    トップを守る為に犠牲を払うのは
    大名であれ坊主であれ一緒やね

  12. 人間七七四年 | URL | -

    日清戦争のときも、義勇兵を組織したけど、さすがに近代戦なので、断られたという話もある。

  13. 人間七七四年 | URL | -

    ※7 むしろ・・・
    力無き民を野盗が「ヒャッハー! 汚物は消毒だー!!」って襲うのが北斗の世界
    んで、
    「ヒャッハー! 汚物は消毒だー!!」と襲い来る野盗達相手に
    「あいつら迎え撃って金目のモン奪えるだけ奪うぜ ヒャッハー!」と
    当然のように現地住民が迎撃に当たるのが戦国時代

    ・・・そんなイメージ

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