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遠藤喜右衛門の諫言

2012年06月28日 21:02

202 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/27(水) 21:13:38.31 ID:zrrGgult
永禄11年8月5日、上洛を開始した織田信長は7日、馬廻の侍わずか二百四五十で、妹婿である
浅井長政の待つ近江佐和山城に入り、初めての対面を果たした。このとき京童たちは
『婿入りも無き先の舅入りとはこの事よ』と言いはやしたという。

その後各地の情勢報告が行われたあと、信長一行は近江柏原の成菩提院という天台宗の寺に座を移し
そこに一泊した。この寺において接待のため長政から浅井縫殿助、遠藤喜右衛門、中島九郎次郎が
付けられた。様々なもてなしに信長も非常に機嫌がよく、夜すがら打ち解け、酒宴の後就寝した。

これを見届けると遠藤喜右衛門は早馬に鞭を当てて急ぎ小谷へはせ帰り、長政を諌めて申し上げるには

「信長という人物は、大変に表裏の深い大将です。彼の行跡をよくよく見れば、その知略の早いこと、
サルが梢を伝うようです。我が浅井家を縁者として組み込み、こちらに参って懇切に言ってくるのも、
ただ上洛のための、当面だけの事です。功成り名を遂げたならば、朝倉も当家も必ず敵とするでしょう。
また、終始信長の気に入るように出来るかと考えても、なかなか想像のつかないことです。
そうして信長の怒りを買った時に戦うことになったとしても、必ず討ち負けて後悔しても手遅れとなります。

であれば、今夜柏原において、二百人ほどの供の者たちも皆町家に寄宿し、信長自身は酔いつぶれて
寝入っております。彼の側には14,5歳の小姓2,3人が眠っているに過ぎません。

ここで、どうか私一人に仰せ付けください。今夜中に柏原に罷り帰って、信長を安々と討ち取って
見せましょう。二百あまりの供侍たちも、大将が討ち取られればその上は、我先にと逃げ出すでしょう。
それを追って美濃に入り、岐阜の城を攻めるなら、城主はなく家督を継ぐ嫡男も幼少であり、彼の地の武士たちも
我も我もと味方に参り、美濃・尾張両国は時を移さずして攻め取ることが出来るでしょう。
そうなれば、その威勢に乗じて六角親子を押し倒し、帝都へ攻め上がって天下の仕置を助ける立場になることも…
誠に当家の興廃は、ただこの一挙にあるのです!」

こう言葉を尽くして説得した。これに長政はしばらく迷い、家老や一族を集めて密かに相談したが、一同が言うには

「信長はあれほど当家に対し懇切で、心やすく打ち解け、頼みまいらせているではありませんか。
そんな良好な関係を失い、公方様の上洛を妨げ、その上酔いつぶれて寝ている人を殺すというのは、
籠の中の飼い鳥を殺すのと同じ事です。

それに今のような時節に信長を討ち取れば、人望に背き、天の冥加も恐ろしく、侍の本意が立ちません。
そんなことは、絶対にあってはなりません。」

長政もこの意見に同意し、遠藤の諌めを用いず、彼に早々に帰って明朝も又接待をするようにと命じた。
しかし遠藤が重ねて申し上げる

「天の与えることを取らなければ、災に会うと申します!信長は表裏の大将です!必ず当家を
押し傾けようとするでしょう。その時、この判断が返って災いとなること、私には鏡に写したように
見えるのです!
どうか、どうか私の申し上げたことにご同心ください!」

そう、涙を流して訴えた。しかし長政は頑としてそれを聞き入れなかった。
遠藤も是非に及ばず、何事かブツブツと呟きながらその夜、柏原に引き返していった。

後にこれは信長の運の強さの現れだと言われた。
(総見記)





204 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/27(水) 21:22:30.85 ID:JEjEBXW+
>>202
信長の運の強さは異常

本当になんか憑いてたんじゃないか?

205 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/27(水) 21:40:40.85 ID:WXxewK+D
遠藤「もう手遅れですわ」(ブツブツ・・・)

215 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/28(木) 08:47:45.14 ID:4lvFuVTE
>>202
遠藤さんは素晴らしい武士だな
もっと評価されるべき

216 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/28(木) 09:23:46.25 ID:zaxIDqfm
もう出てるけど、長政が離反を決意したときには逆に、もう討つには手遅れだから止めなさいと諫めるんだよなあ

217 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/06/28(木) 09:29:30.47 ID:DFjGMWq7
まあ裏切らなきゃ別段潰されはせんだろ
気付いたら家臣になってるだけで
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コメント

  1. 人間七七四年 | URL | -

    光秀「寝ているところを襲おうとするなど、全くけしからん!」

  2. 人間七七四年 | URL | -

    ※1
    義鎮「だよねー」
    義鑑・塩市丸「ちょっと表出ろ」

  3. 人間七七四年 | URL | -

    信玄「表裏の者はさっさと討つべし!」

  4. 人間七七四年 | URL | -

    昌幸「!?」

  5. 人間七七四年 | URL | -

    松永弾正「ワシに裏などありませんよ(笑)いつだって表です!(ドャッ」

  6. 人間七七四年 | URL | -

    >3
    今川氏真・北条氏康「じゃあアンタを討つとしようか」

  7. 人間七七四年 | URL | mQop/nM.

    >>217
    >まあ裏切らなきゃ別段潰されはせんだろ
    我々も、そう思っていた時期もありました。 by佐久間、磯野、安藤、北畠

  8. 人間七七四年 | URL | JalddpaA

    この人と長政って政宗と小十郎みたいな感じともとれるんだよな
    時代が変わっていれば腐女子にキャーキャー言われていたのはこちらのほうだった
    可能性が微レ存・・・!?

  9. 宇喜多直家「姑息な騙し討ちの暗殺など武士のやる事ではありませんぞ。備前の銘酒を飲ませればたいていの方は理解してくれます。」

  10. 人間七七四年 | URL | -

    大義名分も無い上に親戚関係結んだばかりの相手を夜討ちで殺そうとか
    戦国時代でもさすがに無理しすぎだw

  11. 人間七七四年 | URL | -

    まあ浅井は裏切らなくて潰されただろうな
    岐阜にも京都にも近い北近江は立地が悪すぎる
    尾張喉元抑えてた似たような立ち位置の水野信元の運命考えたら、無事で済むとは毛頭思えん

  12. 人間七七四年 | URL | -

    家康「織田殿の本拠地の方が遠ざかって行った」

  13. 人間七七四年 | URL | -

    ガラッ!
    隆景「話は聞かせてもらった!浅井家は滅亡する!」

  14. 人間七七四年 | URL | -

    NGMS「つまり、浅井詰みってこと?」

  15. 人間七七四年 | URL | -

    >>215 216
    しかもこの遠藤直経、姉川で壮絶な死に方するんだよね
    浅井家はもっと評価されるべき

  16. 人間七七四年 | URL | -

    潰されはせんと思うが
    国変えはさせられるだろうが

  17. 人間七七四年 | URL | -

    まあ、信長の(婚姻の)手駒の中でも上位であろう市を嫁がせてるんだから要地に国替えはあっても潰す事は無いと思いますけどね

  18. 人間七七四年 | URL | -

    ※10
    直家「え?俺んとこではいつものことだよ。」

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