344 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/09(金) 21:21:35.38 ID:cRRPWd/b
堀田加賀守正盛はだんだんに立身し、大身を仰せ付けられた頃、彼は土井利勝の屋敷に出向き、こう尋ねた
「小身の私が将軍家よりお取り立てして頂き、この様に大身の数に入り、家臣も多く召抱えることになりました。
そこでご相談なのですが、家臣を管理する目付役・横目役などを申し付けるべき人品は、どのような人柄の者が
然るべきだと考えていらっしゃるのでしょうか?
土井殿の賢慮をお伺いしたく、こちらへ参ったのです。」
この様にまめやかに尋ねた事に、土井利勝
「それは最初に、良きことに気が付きましたね。
役についての、人柄の吟味は尤もの事ですが、その中でも目付などに適した人品について、私にまで相談されるとは、
誠に奥ゆかしいことです。
あなたや私などは、将軍家のご威光のおかげを以って、方々へ饗応に招かれます。
その膳部は爽やかにして切り目正しく、季節折々の初物も食い甲斐があるように料理されて、
この料理が完成するまでの亭主の奔走はどれほどだっただろうか、などと考えている所に、
勝手より人が出てそっと『あの膾にはハエが止まっていました!あの刺身には蚊が止まりました!』などと
言ってきては、それ自体は何の意味もないことではあっても、聞いてしまってはどうしても気分がよくありません。
総じて、欠けた所のない人というのは稀です。ならばその人に適した分野を見立てて仕事に使うべきです。
酢や煎酒に蚊が入ったことまで、取り上げて尽く申し立てるような器量のものは、目付・横目には無用の人品です。
だからといって、砒素石や斑猫(どちらも毒薬)が堂々と入っているのを見逃してしまうような、
律儀過ぎる者も目付役には適しません。
と言うか、そんな者がもし本当にいたら、、それは毒石や斑猫と同じ有毒な存在です。
であれば、その人物の危険性をいち早く察知し、注進するような侍こそ、真の目付になるべき者です。
この大炊頭が家人に目付を申し付ける時は、例えば、人間の目は横に切れているのが天より与えられた姿であるが、
この目で物陰から覗いたり、目を眇めるなどして物を見ようとすれば、まっすぐに見るのとは違って
見損じもある。であれば、ただまっすぐに見たものを実として、途中に脇目をセず、向こうばかり見るのだと思えと、
そう申し付けています。」
と答えたのだという。
(武野燭談)
土井利勝の目付選抜法、というお話。
347 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/09(金) 22:57:21.58 ID:PMNMRWSA
>>344
土井さんはホント官僚の鑑だな
349 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/09(金) 23:19:30.89 ID:m9LGRbKG
>『あの膾にはハエが止まっていました!あの刺身には蚊が止まりました!」などと
>言ってきては
俺のことか…
350 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/09(金) 23:29:29.88 ID:FsTELhoz
毒をみのがすのが律儀ってのがよくわからん
351 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/09(金) 23:51:49.04 ID:khQPPpsy
人を疑う事を知らない人間性って意味じゃないか
352 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/10(土) 00:12:56.97 ID:77PFQ/KV
訳の問題もあるだろうけどこれが律儀と呼ばれる行為なら
律義者と呼ばれた方の評価が大分変わってくるな
353 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/10(土) 00:17:32.57 ID:ghAmbUb8
>>350
加減を知らないってことじゃないかな
弛める部分も大事だと言われると毒にも気付かないほどリラックスして、
引き締めてやれと言われたらチリひとつ落ちてたくらいで打首だと騒ぐような
354 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/10(土) 02:14:17.51 ID:YaJkWQ2/
つまり目付に適しているかは目付きを基準にしろ、と
堀田加賀守正盛はだんだんに立身し、大身を仰せ付けられた頃、彼は土井利勝の屋敷に出向き、こう尋ねた
「小身の私が将軍家よりお取り立てして頂き、この様に大身の数に入り、家臣も多く召抱えることになりました。
そこでご相談なのですが、家臣を管理する目付役・横目役などを申し付けるべき人品は、どのような人柄の者が
然るべきだと考えていらっしゃるのでしょうか?
土井殿の賢慮をお伺いしたく、こちらへ参ったのです。」
この様にまめやかに尋ねた事に、土井利勝
「それは最初に、良きことに気が付きましたね。
役についての、人柄の吟味は尤もの事ですが、その中でも目付などに適した人品について、私にまで相談されるとは、
誠に奥ゆかしいことです。
あなたや私などは、将軍家のご威光のおかげを以って、方々へ饗応に招かれます。
その膳部は爽やかにして切り目正しく、季節折々の初物も食い甲斐があるように料理されて、
この料理が完成するまでの亭主の奔走はどれほどだっただろうか、などと考えている所に、
勝手より人が出てそっと『あの膾にはハエが止まっていました!あの刺身には蚊が止まりました!』などと
言ってきては、それ自体は何の意味もないことではあっても、聞いてしまってはどうしても気分がよくありません。
総じて、欠けた所のない人というのは稀です。ならばその人に適した分野を見立てて仕事に使うべきです。
酢や煎酒に蚊が入ったことまで、取り上げて尽く申し立てるような器量のものは、目付・横目には無用の人品です。
だからといって、砒素石や斑猫(どちらも毒薬)が堂々と入っているのを見逃してしまうような、
律儀過ぎる者も目付役には適しません。
と言うか、そんな者がもし本当にいたら、、それは毒石や斑猫と同じ有毒な存在です。
であれば、その人物の危険性をいち早く察知し、注進するような侍こそ、真の目付になるべき者です。
この大炊頭が家人に目付を申し付ける時は、例えば、人間の目は横に切れているのが天より与えられた姿であるが、
この目で物陰から覗いたり、目を眇めるなどして物を見ようとすれば、まっすぐに見るのとは違って
見損じもある。であれば、ただまっすぐに見たものを実として、途中に脇目をセず、向こうばかり見るのだと思えと、
そう申し付けています。」
と答えたのだという。
(武野燭談)
土井利勝の目付選抜法、というお話。
347 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/09(金) 22:57:21.58 ID:PMNMRWSA
>>344
土井さんはホント官僚の鑑だな
349 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/09(金) 23:19:30.89 ID:m9LGRbKG
>『あの膾にはハエが止まっていました!あの刺身には蚊が止まりました!」などと
>言ってきては
俺のことか…
350 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/09(金) 23:29:29.88 ID:FsTELhoz
毒をみのがすのが律儀ってのがよくわからん
351 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/09(金) 23:51:49.04 ID:khQPPpsy
人を疑う事を知らない人間性って意味じゃないか
352 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/10(土) 00:12:56.97 ID:77PFQ/KV
訳の問題もあるだろうけどこれが律儀と呼ばれる行為なら
律義者と呼ばれた方の評価が大分変わってくるな
353 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/10(土) 00:17:32.57 ID:ghAmbUb8
>>350
加減を知らないってことじゃないかな
弛める部分も大事だと言われると毒にも気付かないほどリラックスして、
引き締めてやれと言われたらチリひとつ落ちてたくらいで打首だと騒ぐような
354 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/10(土) 02:14:17.51 ID:YaJkWQ2/
つまり目付に適しているかは目付きを基準にしろ、と
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コメント
人間七七四年 | URL | -
ttp://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-4638.htmlの詳しいバージョンだね
( 2012年11月11日 08:51 )
人間七七四年 | URL | -
家康「律儀すぎるのも困り者じゃ」
佐竹義宣「そういう意味だったの?」
( 2012年11月11日 19:41 )
人間七七四年 | URL | -
どうも近世初期には「律儀」って言葉に「馬鹿正直」「阿呆」って意味があったみたい。
( 2012年11月11日 22:41 )
人間七七四年 | URL | -
孕石「家康殿は、古今、稀に見る律儀者ですな!」
( 2012年11月12日 07:32 )
匿名希望 | URL | -
>>4
家康「その方の律儀な行いの数々、この家康、ひと時も忘れたことはないぞ(ニッコリ)」
( 2012年11月12日 10:15 )
人間七七四年 | URL | -
これは現代でも通用する部分が有る教訓話ですね。
( 2012年11月12日 12:08 )
創造力有る名無しさん | URL | -
目付きは性格出るからな。
神経質だったり抜けてたりする人は目の動きに出る。
( 2012年11月13日 03:12 )
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